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ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] 

[その1]の続き。

道端の総菜屋さんでも、作り置きのガパオ炒めを売っていた。

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_22473411.jpg

すぐ持って帰れるよう、すでにビニール袋に入れたのを並べてある。

この豚ガパオを、買って持ち帰って、食べてみた。

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わりと肉は細かいけれど、挽肉じゃない不均等なツブツブした食感がある。包丁で叩いてるのかもしれない。なかなか美味しいけれど、ここのが一番辛かった。

さて、スーパーではガパオライス弁当が売られていた。

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鶏ガパオライス弁当。

見るかぎり、鶏は切りっぱなしで、けっこう大きい。もう「粗みじん」という範疇じゃない。こういうのもあるのか。

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_2249416.jpg

こちらは豚ガパオライス弁当。

食べてないから詳しくわからないけど、肉はわりと細かい。

全体的に、鶏が粗く、豚が細かい、という傾向はあるのかな。

タイ料理本にはどう書かれているのか、自分の好きな本をめくって調べてみた。

まず、このガパオ炒め調査のとき(2014年9月)にバンコク紀伊国屋で見つけ、装丁がオシャレっぽいのに惹かれて購入した、アメリカ人タイ料理シェフ、アンディ・リッカーさんの『pok pok』という本。シェフはポートランドやNYで本と同名のタイ料理店をやっている。

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_2250654.jpg

肉については、あっさり「ground chcken or pork」って書かれているだけだった。

つまり、鶏か豚の挽肉・・・。

タイ料理に興味を持ち始めたころ手にした、竹下ワサナさんの『旬の素材でタイ料理』は、鶏ガパオライスが表紙だ(正確には「鶏のイタリアンバジル炒め」。出版が2001年ごろで、まだ一般には手入困難だったガパオの葉をバジリコに置き換えたレシピになっている)。

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_22525430.jpg

写真を見ると、鶏の切り方はけっこう大きくざっくりしている。

レシピ文には、「鶏胸肉は薄切りにする」とある。

[その1]の記事で紹介した、道端の屋台の鶏ガパオに近い感覚かもしれない。

切り方が特に大きかったスーパーの鶏ガパオ弁当も、この路線の延長にある感覚かもしれない。ミンチやひき肉ではなく「薄切り」。

そして、本ブログで何回か書いているけど、「世界一」のタイ料理店「ナーム」のシェフ、デヴィッド・トンプソンさんの著書『THAI STREET FOOD』もチェックしてみた。

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_22541618.jpg

載っているのは、鶏でも豚でもなく、牛のガパオ炒め。

なんでも「ガパオ炒め」は50年くらいに前に発祥した比較的新しいタイ料理で、最初は牛で作られていたらしく、のちに豚や鶏、魚介にも素材が広がって行ったらしい。

で、肉の処理はというと、「I find a rather coarse mince yields the best result - ideally done by hand」。つまり、やや粗めのミンチがベストで、手で処理をすれば理想的であると。ミンサーを使わず包丁でミンチにするってことだろう。下関さんのやり方にかなり近い。

この本に書いてある通り、ガパオ炒めは鶏や豚にかぎらず、魚介を具にしたりもする。

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_22555173.jpg

上は、渋谷の「パッポンキッチン」で食べたムール貝のガパオ炒め。

すでに別の記事で紹介済だけれど、「ガパオ炒めは肉だけじゃないよ」という、このお店らしいマニアックなメッセージかも。

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こちらはバンコクの惣菜屋にあったガパオカイヨーマー。ピータンを肉のガパオ炒めにあわせた惣菜で、ピータンはそのままではなく、いったん揚げてから炒め合わせるのが一般的らしい。

さて。

実のところ普段日本では、そんなにガパオ炒めって食べなかったんだけれど、こうやってガパオ炒めのことばかりずーっと考えていたら無性に食べたくなってきて、先日たまたま通りかかった鎌倉・長谷のタイ料理店「クリヤム」で、ランチのガパオライスを注文した。

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_2257680.jpg

ミンサー系ではないゴロゴロ&テクスチャーのある処理になっている鶏が美味しかった。ただ、タイで食べるのと違うのは、圧倒的に味付けが優しいこと。辛さや塩気も控えめだが、甘くないのが印象的だった。

そして、自宅でも、ガパオライスを作らずにはいられない。

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_22575747.jpg

ちょっと失敗な自作鶏ガパオライス。

どこが失敗かというと、まず鶏肉。

ちょっと叩き方が足りない。

というよりも、このくらいざっくりした大きさで作るなら、もも肉ではなく胸肉を使うべきなのかも。[その1]に出てくる道端の屋台や、竹下ワサナさんのレシピは胸肉だから、ああいうテイストが出ているのかもしれない。

あと、日本のコシヒカリとあわせたら、なんだかヘビーな食べ心地。やっぱりさらっとタイ米じゃないと。

さらに言えば、目玉焼きがタイっぽくないなあ。

もっと、白身の端っこがカリカリに揚がってる感じになっていてほしい。

ガパオ炒めのレシピは、ほかにもいろいろポイントがあって、まずガパオの葉に関する疑問がみなさんいろいろあると思う。手に入りやすくなったとはいえ、やっぱり珍しい食材だ。

そこで出てくるのは、代用すると、どうなのか? という疑問。

イタリアンバジルだと、どう違うのか? ホーラパーでは? そもそも、ガパオとホーラパーってどう違うのか。英語でいうホーリーバジルとスイートバジルって、ガパオやホーラパーと同じものなのか? ところで、これ系の葉っぱって、いったいタイには何種類あるのか?

などなど疑問噴出である。

ちなみに、下関さんの旦那さんは、挽肉だとダメ出しするけど、バジリコでの代用は「美味いね」の感想だそうだ。

うーむ、そのあたり深い何かがありそう。

ガパオの葉はフレッシュなのを買って一回で使いきらない場合、保存するのが難しいが、こんなのも売っている。

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冷凍キューブのガパオの葉。これを解凍して使えば、かなりイイ具合。

同様の商品で、ホーラパーの葉のキューブもある。

冷凍庫に入れておけば、いつでも自宅でタイの味に近いグリーンカレーが作れる。

あと調味料の問題。

オイスターソース、シーユーダム、シーユーカオ、ナンプラー、シーズニングソース、醤油など、何を使うレシピがいいのか? そして、目玉焼きの焼き方は? などなど。

いろんな問題が山積するなか、今回は肉の処理だけにフォーカスした、非常に偏った内容をご覧いただきました。

【おまけ】

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] _e0152073_2305933.jpg

豚肉ガパオライス弁当(自作)。

職場に持っていって、ランチにした。

けっこう半熟な目玉焼きをのっけたので、運搬するとき崩れないかと心配になるが、けっこう大丈夫。

冷めてもまあまあ、だった。

(よ)

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by brd | 2015-02-09 14:39 | タイ


旅の食卓と食卓の旅。ferment booksより『サンダー・キャッツの発酵教室』『味の形』発売中。ツイッターは @oishiisekai @fermentbooks


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