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カレー&スパイス伝道師・渡辺玲さんのサザンスパイスでプライベートディナー その2

渡辺玲さんのサザンスパイスでのプライベートディナー。

その1のつづき。

今回のメインカレーは以下のとおり。

カレー&スパイス伝道師・渡辺玲さんのサザンスパイスでプライベートディナー その2_e0152073_7521323.jpg

キッチン前のテーブルにセッティングされたのは、ターメリックライス、南インド風ブラックペッパーのきいたチキンカレー、サンバル。

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チキンカレーの鍋。

メニュー名としては「チキン・ペッパー・フライ」というのが正しいのだとか。ただ、フライといっても揚げものやフライパン炒めではなく、この場合、黒胡椒のきいた濃厚グレービーのチキンカレーを意味する。

胡椒のピリッとした風味が鶏肉とマッチして、とても美味しい。ここまでかなりの品数で、実はけっこうお腹にたまってきているのだが、ターメリックライスにかけて食べると、ごはんがすすむすすむ。美味しいチキンカレーのイメージとして脳裏に定着しそう。

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サンバル。

南インドのミールスの基本は、このサンバルとラッサム。

今回のサンバルは、ナスとパプリカが入って、仕上げにギーも加えたリッチな仕上がり。豆のカレーに油を合わせると、なんとも言えないコクというか、旨味のような濃厚さが出て美味くなる。渡辺さんのレシピで初めてムングダルカレーを作ったとき、仕上げにバターで熱したクミンをジャッとかけた、そのあとの味わいの変化に驚いたけれど、あれと同じ効果が出ているのだろうか。

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ラッサム。

本場と同じ、さらさらの仕上がり。

よく、ラッサムはインドの味噌汁だとか、ラッサムをかけてライスを食べるのはお茶漬けのようだ、みたいな言われ方をするが、渡辺さん曰く、ライスと雑炊的に煮合せる「ラッサム・ライス」というのもあるらしい。これもリクエストさえあれば再現していただけるとおっしゃっていたのだが、食べたり、話をお聞きしたり、取材したりの間に、ついついお願いするのを忘れてしまった。残念。

サンバルとラッサムの違いがあんまりないような店もある、と渡辺さん。たしかに、そういうミールスを東京で何度か食べた記憶がある。

ミールスの食べ順は、ダール→サンバル→ラッサム。

つまり、濃いカレーから、薄いカレーへ、である。

これで、カレーは終了。

以下、メインのカレーの付けあわせ的にいただいたインド風の炒めもの。

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ゴーヤーのマサラフライ。

ゴーヤーは種と綿つきで炒めるのがポイント、種がカリカリして美味しい。これは渡辺さんの『カレーな薬膳』にレシピが掲載されていて、わが家でも夏になると頻繁に作る一品。

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カリフラワーガーリックペッパーフライ。

南インドの炒め物だがココナッツファインが入らないからポリヤルではない。かといって、北のサブジとも違う。料理名の言語表記は、cauliflower mulugu peratuであると渡辺さんにのちほど教えていただいた。原語表記がわかると日本語以外のページが検索できるので、ネットで得られる情報がひろがる。

などなど、料理の説明をお聞きしていたら、高橋幸広さんの歌声が。

けっこうファンには知られているが、渡辺玲さんは、もと音楽業界でお仕事をされていた関係でロックに詳しく、もちろんインド音楽にも造詣が深い。だから、サザンスパイスにはそういう感じの音楽がずっと流れており、料理の間に渡辺さんご本人がCDを選んで、音は途切れない。

そんななか、日本語の歌が。しかも幸広。

これなんだろう、と思って記憶をたどれば、そうそう、サディスティックミカバンドの『天晴』というアルバムだった。

これ懐かしいですねー、と思わず言うと、料理の説明とまったく同じ調子で「桐島かれんを起用した第二期ミカバンドですよね。かつてのファンからはイメージが違うとかなり批判されたんですが、いま聴くと、けっこうイイんです」とのコメント。思わず微笑んでしまう。

桐島かれんさんといえば、参院選には弟の桐島ローランドさんが立候補していたのだった。そうだ、まさにこの日は、あの参院選の当日だったのだ。脱線ついでに書いてしまうけれど、渡辺玲さんのFBでの政治関連のコメントにはかなり大賛成なことが多いので、そのうちそういうお話もしてみたいと思っている。脱線終了。

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カードライス。

ちょっと変わったものを、ということで最後のシメは、ヨーグルトご飯のカードライス。本来は白いごはんで作るのだが、今回は炊いてあったターメリックライスで再現していただいた。

ご飯にヨーグルト、というと日本人はギョっとする場合が多いけれど、ヨーグルトの酸味に少々の生姜がきいてアクセントになり、たしかに食事のシメにふさわしい。口内も胃もスッキリするイメージ。

作り方は、まず最初にライスと牛乳を合わせて米粒をつぶすようにこねまぜてなじませてから、ヨーグルトや生姜などを加えて仕上げるのだとか。

思うに、ごはんとヨーグルトはさておき、ごはんとミルクの組み合わせは意外に多い。インドのキールや、フランスのリ・オレなどは甘いミルク粥のようなものだし、そういえば北海道出身の父からは、子供のころ、ごはんに搾りたての牛乳をかけて食べていたという話を聞いたことがある。

カードライスには、ラッサムをかけて食べても美味しい。

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最後に、チャイ。

参加者がチャイに入るスパイスは何かたずねると、生姜とカルダモンのみ、だそうだ。

イメージでは、シナモンとクローブが入る気がするけれど、普通は入れないそう。

インド人にとってシナモンとクローブは外来のイメージがあって、あまり上等な部類のスパイスではないらしい。とくにシナモンのシナ=中国なわけで、インド由来のものではないのである。

やはりインドにも中華思想的なものがあって、そもそも外国人はアウトカーストなのであり、やはりインド人にとってはインドが一番なのだ。

ふと、思う。こうやって日本人がインド料理をマニアックに追求している姿を知ったら、当のインド人はどう思うのだろう。

話を戻すと、逆にカルダモンはとても大切にされているスパイス。

たとえば客をもてなすときにカルダモンを全員のチャイに入れたりする習慣があるそうだ。各々のカップにはカルダモンが一粒ずつ。これで客人を丁重にもてなしているというメッセージになるそうである。

そのほか、チャイの紅茶にはアッサムの安価な「ダスト」が一番だとか、東のカルカッタへ行くとベトナムコーヒーのようにコンデンスミルクを使ったチャイが存在するなどなど、チャイの時間も渡辺さんのお話は尽きない。

いつしか話題は著書執筆にまつわるエピソードや、出版関係の話題やら、共通の知己であるライターや編集者の話、さらにちょっとここには書けない裏話系のエピソードも飛び出して(笑)、とても楽しかった。

食べきれなかった料理は各自ジップロックにつめて持ち帰らせていただいた。

で、翌日のランチは、「サザンスパイス弁当」だったのだが、ん?

これまた美味い!

なんとも説明しがたい、前の晩とは違った美味しさがこみあげてくるのだった。

2日目のカレー、というが、もちろん基本的に作りたてのほうが料理は美味しいはず。職場環境で本格インド料理を味わうギャップから、そう感じるのだろうか。

不思議だ。

<2013年7月>

(よ)

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by brd | 2013-08-04 18:50 | 東京のインド


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