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屋台で最も衝撃を受けた料理 タイ料理家・下関崇子さんとの対話 その3

『味の形 迫川尚子インタビュー』(ferment vol.01)の創刊準備号となるフリーペーパー『ferment vol.00 タイ料理家・下関崇子さんとの対話 タイと、日本と、かぼちゃ炒めと。』のテキストを本ブログで公開しています。

「その2」
に引き続き、最終回の「その3」を。

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下関崇子さんとの対話
タイと、日本と、かぼちゃ炒めと。
その3

インタビュー・文/(よ)

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イベント「しまたい食堂」で下関さんが調理中のかぼちゃ炒め。豚肉とかぼちゃを炒めてナンプラーと砂糖で味つけし、卵でとじる

屋台で最も衝撃を受けた料理

よ: 著書の『バンコク思い出ごはん』[★25]の版元の平安工房というのは、どんな?
下: まず、『曼谷シャワー』[★26]という本を出したくて検索していたら見つかって、「原稿は募集していませんが面白いものなら…」みたいな感じでした。それを見てメールしたら面白がってくれて、出版することになったんです。
よ: 「ほぼ日」の「担当編集者は知っている。」のコーナーに採り上げられていましたね。下関さんは著者かつ担当編集者でもある、という立場で。
下: 平安工房は出版社ではないですけどね。
よ: もともと古書店ですよね。
下: 書店っていっても実店舗はないんです。オンラインだけで。古本屋さんだけあって、「1円で売られない本作り」がモットー。
よ: 『曼谷シャワー』はタイ生活の面白ネタを綴ったコラム集でしたが、タイ料理本の『バンコク思い出ごはん』も平安工房から出版されて。
下: タイミング的には『思い出ごはん』は『そうざい屋台』の後に出るんですけど、作業的には『そうざい屋台』の前から手がけてたんです。ほぼ、ひとりでやってたから時間がかかって。デザインは『DACO』とか『Gダイ』[★27]をやってた友だちのデザイナーにお願いしたんですけど、構成もデザインも、何度も試行錯誤してやりなおしたし。
よ: 料理のチョイスが、普通のタイ料理レシピ本とは全然違いますね。
下: この本は、もう私の原点です。渡辺玲さん[★28]が、「ファーストアルバムには音楽家のエッセンスがすべて凝縮しているものだが、自分の最初の著作も同じだ」っていうようなことを書いてますけど、この本はそういう本ですね。
よ: 『バンコク思い出ごはん』はタイ料理家、下関崇子のファーストアルバムであると。
下: そうですね。

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『バンコク思い出ごはん』 2015年7月に改訂版がリリースされた

よ: この本に必ず掲載しようと思っていた料理ってあります?
下: 一番最初に載っている「かぼちゃ炒め」。最近、ほかのレシピ本にも載るようになりましたけど、当時は全然でした。で、この本で採り上げたら、タイに住んでる日本人から「これ食べたかったんだよ!」っていう声がすごく多くて。やっぱりみんなそうだよねって、すごく自信が持てた。
よ: バンコク10年以上住んでるボクの友だちも、「食べたい感じの料理がいっぱい載ってる!」って感心してましたよ。ボク自身は、実はかぼちゃ炒めって食べたことがないから、すごく食べてみたい。
下: 私が屋台で最も衝撃を受けた料理です。まず、甘いのにびっくりして。タイ料理にも、こんな甘い料理があるんだなって。これ、バンコクの日本人はみんな食べてましたね。
よ: とくに日本人の記憶に残るタイ料理なんですかね。
下: ほかの料理がとにかく辛いから…。
よ: 辛くないオアシスみたいに、ほっとできるんですか?
下: ほっとできるし、何か安心感があると思う、味に。
よ: 日本料理で近いものって何ですかね? かぼちゃと豚肉を使う…。
下: かぼちゃに豚ひき肉のそぼろ餡を合わせるような料理はありますよね。
よ: タイの「かぼちゃ炒め」の作り方は?
下: すごく簡単。豚肉炒めて、かぼちゃ入れて、水すこし入れて、かぼちゃを柔らかくして、ナンプラーと砂糖で味をつけて、最後に卵でとじるだけ。
よ: まさにファーストアルバムの一曲目。ほんと、食べたくなってきました。
下: これが原点。でも、料理教室で教えたり、日本のタイ料理レストランで出すようなメニューでもないしね。
よ: そうですか?
下: だって本格的な日本料理を習いに行って、ツナマヨおにぎりだったら、どうなの? って(笑)。
よ: ツナマヨほどじゃない気もしますけど(笑)。
下: プロには鰹だしのとり方とか、かつらむきとか、そういうの習いたいじゃないですか。小料理屋なら、ツナマヨじゃなくて鮭のおにぎりを出すべきだし(笑)。あの本は、プロではないアマチュアの私だからこそ掲載できている料理も多いと思うんですよね。
よ: そういうポジティブなアマチュアリズムって料理界に絶対必要ですよ。
下: ほんと、「かぼちゃ炒め」はタイから帰ってきて「これ、タイで食べてたよね」って日本人がすごく多くて。語学留学でタイに行った人が学食のメニューからこればっかり選んでたとか、駐在員の奥さんがタイ人のお手伝いさんによく作ってもらったとか。
よ: タイ在住経験を持つ日本人のソウルフードみたい。そういえば旦那さんも、あまり辛い料理が得意じゃないと書かれてましたよね。
下: そう書くと誤解されるんですけど、私よりも全っ然辛いものいけますよ、旦那は。タイ人にしては苦手ってだけで。私が作る料理を、旦那は「辛くなくて美味しい」って言うけど、タイ料理教室の日本人の生徒さんには「辛いけど美味しい」って言われる。
よ: 辛さの基準が全然違うと。

レシピ本ではなくエッセイ集

よ: で、タイミング的にはファーストより先にリリースされてしまったメジャーレーベルからのセカンドアルバムが『そうざい屋台』ですけど、次のサードアルバムは、またインディーズからリリースされたわけですよね(笑)。これが、傑作です。

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普通のタイ料理本に載っていないレシピ多数。『暮らして恋したバンコクごはん』

下: 『暮らして恋したバンコクごはん』ですよね。タイで印刷したんですよ。
よ: この本はすごい。たとえば、「発酵させた酸味スペアリブ揚げ」とか「イサーン風なれずし」とか「発酵した魚のソーセージ」とかが掲載されてますが、生魚や生肉を室温で数日発酵させるというレシピは、普通の出版社ではNGになりそうですね。
下: 『思い出ごはん』もそうですが、レシピ本じゃないですから。基本的に料理エッセイ集で、作り方に興味がある読者は巻末のレシピを見てくださいっていうスタンス。すごいでしょ、その辺のサジ加減が(笑)。
よ: ばっちりです(笑)。下関さんならではの著者編集兼任の妙というか。あと、生肉ラープ。これもエッセイパートには、日本では生食用の牛肉は売っていないので注意してください、とか書いてあるんですよね(笑)。
下: これ、原稿の段階で『DACO』の元編集の友だちに一回読んでもらったんですけど、「このレシピ、大丈夫?」って言われました。でも、あくまで体験記です(笑)。
よ: その体験記がものすごく参考になります! 生肉はさておき、発酵料理に対しては、みんな不必要にハードル高く考え過ぎですよね。
下: 発酵なんて、ひと昔前まで普通に日本人もやってたわけでしょ。
よ: 甘酒やら、お味噌作ったり。
下: 実は最近、某有名発酵学者の方の本の編集補助の仕事をやって、発酵には詳しくなりました。たとえば、この本にも載ってる「カウマーク/甘酒風味のもち米」。日本の麹って米粒にカビを生やすバラ麹なんですけど、タイでは団子にしたものにクモノスカビを生やすモチ麹。あたりに漂ってる菌が日本とタイじゃ違うんですよね。味は甘酒みたいで、タイと日本の食の共通項って多いなって。
よ: 発酵といえば、この本にはナンプラーの作り方まで書いてある。
下: 本邦初公開レシピも多いので、私のブログやレシピ本がネタ元になってないか、新しいタイ料理レシピ本が出るたびに買ってチェックしてるんですよ(笑)。ただ、私以外にレシピを載せる人はいないだろうと思っていた「蓮の茎のカレー」[★29]はかなり前に出ていた竹下ワサナさんの本[★30]に載ってましたねぇ。竹下ワサナさんの本は良いですね。もっと早く出逢ってたら、私の本も違った形になってたかも。
よ: ボクが一番初めに買ったタイ料理のレシピ本がワサナさんの本でした。
下: 私、日本で出ているタイ料理のレシピ本の約8割くらいは持ってますよ。今アマゾンで購入可能な本は、ぜんぶ持ってると思う。
よ: ほかに好きな本はありますか。
下: 酒井美代子さんの『今夜はタイ料理』[★31]かな。出たのが昔なので、本の作りはおしゃれじゃないんですけど、載ってるメニューは宮廷料理から屋台料理までバラエティに富んでて。最近のレシピ本は、初心者の人を対象にしたのばかり。二冊目に買いたいという本がないですよね。だから自分で作ったというのもありますが。
よ: 『暮らして恋したバンコクごはん』と『バンコク思い出ごはん』の巻頭にある写真は息子さんですよね。味覚というか、食に対するセンスは、どんな感じに育ってますか?
下: 私が作るタイのお菓子とか、美味しいって食べてくれますよ。同じお菓子をウチに遊びに来る同級生の子にあげると、口に入れた瞬間「うっ」となって食べられなかったりするんだけど(笑)。ココナッツ味がダメみたい。親子タイ料理教室で、タピオカココナッツミルクを作ったら、子どもの半数が残しちゃったことがありました。
よ: じゃあ、お子さんは、すくすくと日タイ両方の味覚を育んでるんですね。
下: ええ。

2013年9月 船橋にて

<注記>

[★25]『バンコク思い出ごはん』
2010年5月、平安工房・刊。2015年7月に改訂版がダコトウキョウよりリリースされた。
[★26]『曼谷シャワー』
2007年12月、平安工房・刊。『DACO』連載の同名コラム第100回までを掲載。
[★27]『Gダイ』
『Gダイアリー』。タイの夜の盛り場日本語情報誌。
[★28]渡辺玲
インド料理、スパイス料理研究家。『カレー大全』(講談社)など著書多数。「ファーストアルバム」発言は、著書の『新版 誰も知らないインド料理』(光文社知恵の森文庫)文庫版あとがきにある。
[★29]蓮の茎のカレー
鯵と蓮の茎をココナッツミルクで煮た料理。著書では蓮の茎を蕗で代用。
[★30]竹下ワサナさんの本
『旬の素材でタイ料理』(文化出版局)、2001年6月発行。
[★31]酒井美代子・著『今夜はタイ料理』
1993年7月、農山漁村文化協会・刊。




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by brd | 2015-12-03 00:08 | 東京のタイ | Comments(2)

タイと、日本と、かぼちゃ炒めと。 タイ料理家・下関崇子さんとの対話 その1

前回の記事で、新宿ベルクの迫川尚子さんをインタビューした書籍『味の形』(ferment vol.01)リリースのご案内をしましたが、実はfermentシリーズにはvol.00(創刊準備号)があります。

2013年にフリーペーパーの形で配布した、タイ料理家・下関崇子さんのインタビューです。

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上の写真のように、A3より若干小さいサイズの用紙にリソグラフ印刷した2枚を、すこし変った方法でたたんで配りました。

今回は、vol.01の完成を記念し、vol.00の記事をここで公開しようと思います。

公開にあたっては、下関崇子さんの許可を得、テキストをオリジナルから若干修正してあります。

インタビューしたのは、2013年9月でした。

オリジナルの原稿についている脚注は、記事下にまとめました。

下記より、3回の記事に分けて公開しようと思います。

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下関崇子さんとの対話
タイと、日本と、かぼちゃ炒めと。

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かぼちゃ炒め/パット・ファクトーン(撮影・下関崇子 無断転載禁止)

下関崇子 プロフィール
しもせき・たかこ。ダイエット目的で始めたキックボクシングにハマって後楽園ホールでプロデビュー。ムエタイ修行のため渡タイ。結婚と出産を経て2006年に帰国。現在はムエタイ、タイ料理、タイ古式マッサージの講師などをつとめる。著書は『闘う女。~そんな私のこんな生き方』(徳間文庫)、『曼谷シャワー』(平安工房)、『バンコク「そうざい屋台」食べつくし』(アスペクト)、『バンコク思い出ごはん』『暮らして恋したバンコクごはん』(ダコトウキョウ)など。

インタビュー・文/(よ)

日タイ両方の味覚を同等にふまえる

(よ): 下関さんの活動を拝見していると、ダイエットで始めたキックボクシングであっさりプロデビューしてタイでムエタイ選手として活躍したり[★01]、自然体でほいほい成果を出しちゃう印象です。タイ料理に関しても、きっと同じなんでしょうね。
下関: うーん。タイ料理に関しては私、プロじゃないですよ。
よ: 「しまたい食堂」[★02]でも、告知にあったご自身の肩書を「タイ料理家」から「タイ屋台料理愛好家」に修正してましたもんね。
下: もともと正式な料理の教育を受けたわけじゃないし、誰かに師事した経験もないですから。タイ料理教室にすら通ったことないし。あと、それほどタイ料理を研究しているわけでもなくて、毎日のごはんとして作るものを、お伝えしているだけ。「チャイヤイ」の坂本さん[★03]みたいに、常に新しいメニューを開発しているわけでもないし、サクライチエリさん[★04]のように、レシピの分量を少しずつ変えたのをいくつも試作したりもしてないし。そういうの見ちゃうと、私はあんまり研究してないなって。
よ: 下関さんとの初対面は「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」の富山編[★05]でしたけど、あのときの料理がすごく印象的で。他のシェフの料理と何かが違うなあと。

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ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン富山編での一品。豆乳グリーンカレーのカノムチン・富山の大門素麺

下: そうでしたか。
よ: まず、タイに深く関わっている下関さんは、味覚がタイネイティブに近いのかもしれないな、と思ったんです。さらに、タイ人の旦那さん[★06]のために日常的にタイ料理を作ってるでしょ。もちろん日本人だから、日本の味覚も知ってる。つまり、日タイ両方の味覚を同等にふまえて料理を作る人なんじゃないか、と。
下: ふむふむ。
よ: たぶん、あのときの料理はタイ人が食べても普通に美味しいと思うんです。で、日本人が食べても違和感がない。でも、それって言うほど簡単なことじゃないと思うんですよ。
下: かなり日本寄りにアレンジした料理があったり、本場そのままだったり…。
よ: うーん。
下: なんでしょうね。本当に料理家さんそれぞれ特徴が出ますね。
よ: すごく出ます。それがヤムヤムの面白いところ。

タイ料理家/ものまね芸人比較論

下: これ、フェイスブックに書いた話ですけど、たとえば、ものまね芸人にもいろんなタイプがいるでしょ。
よ: ものまね、ですか?
下: たとえば、コロッケの森進一のものまねって、どう考えても本人は絶対しない動きじゃないですか。
: そうですか?
下: 五木ひろしのロボットとか。
よ: ものまねというより「コロッケのものまね」という別ジャンルの芸みたい、というような話?
下: そうそう。「ご本人」とは全然違うのに、誰が見ても森進一とか五木ひろしってわかる。
よ: たしかに。
下: らーぷさん[★07]って、コロッケなんですよ。
よ: え?
下: らーぷさんって、タイ料理のエッセンスを抽出してタイにはないタイ料理を作るのが得意なタイプだと思うんです。「グリーンカレーいかめし」「野菜のガピ焼き」「チリインオイル枝豆」「ガパオおにぎり」とか、タイにはないんだけど、タイ料理だよね、みたいな。
よ: うーん、なんとなくわかるような気が…。「らーぷさん料理」という独特ジャンル、みたいな。
下: そうそう。あと別のタイプとしては、青木隆治みたいに再現が忠実な人。
よ: 青木隆治さんって、ボク知らない方ですね。
下: ものまねタレントなんですけど。
よ: あー、タイ料理じゃなくて、ものまねのほうですか(笑)。
下: ものまねの人(笑)。青木隆治は、とにかく、ものまねの対象を忠実に再現する人。ほんとにそっくりで、ヤムヤムシェフではサクライチエリさんが、そんな感じ。
よ: タイ料理家/ものまね芸人比較論(笑)。
下: サクライチエリさんは、現地の食材で見た目も味も忠実に再現できる。日本で作るときは多少味を変えているとは思いますけど、スタイルとしては青木隆治的。
よ: なるほど。
下: あと、西尾夕紀みたいに、本業は演歌歌手で歌唱技術がちゃんとあって、かつ、ものまねもうまい人っていますよね。それが両角舞さん[★08]とかだと思うんですよ。
よ: ははは。両角さんは、基礎のしっかりした演歌歌手。
下: しっかり料理を学んでいて、ちゃんとした基礎があって、その上でタイ料理に出会ってタイ料理を作っている。
よ: すごい分析。おもしろい!
下: で、私がものまねの世界で何かというと、「とんねるずの細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」。
よ: ははは!
下: そこ、真似するとこか? みたいな。
よ: 真似する対象がマニアック過ぎ。
下: でも、知ってる人は大ウケ。
よ: この話自体が、細かすぎて伝わらないかも(笑)。
下: たぶん私がやってるのは、それなんですよね、タイ料理の世界で。
よ: 下関さんが注目するタイ料理のポイントは、日本人にとってマニアックすぎる、と。
下: タイ人にとっても微妙すぎるセレクションだと思います。
よ: たとえば?
下: 『暮らして恋したバンコクごはん』[★09]に載せた料理ですけど、「マカロニケチャップ炒め」[★10]とか。日本の料理でたとえると、「ツナマヨおにぎり」。これって、みんなが食べてるけど、料理教室で教えるものでもないし、レシピ本に載せるものでもないでしょ。

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マカロニケチャップ炒め(撮影・下関崇子 無断転載禁止)

よ: そもそも、家で作るものじゃないですよね。
下: 店で食べるものでもないし。
よ: 基本、コンビニで売ってて、料理とすら認識されないような。
下: でも、みんな好きですよね。そういうたぐいのものが、私の本にはけっこう載ってる。
よ: じゃあ、タイ人に見せたら「マカロニケチャップ炒めなんて珍しい」って驚きますかね。
下: 珍しいというより「こんなのわざわざ本に載せるの?」って思うんじゃないですか(笑)。

<注記>

[★01]ムエタイ選手として活動
下関さんのキックボクシング、ムエタイ選手としての活動は、著書『闘う女。~そんな私のこんな生きかた』(2004年、徳間書店刊)に詳しい。

[★02]「しまたい食堂」
瀬戸内海・上島諸島の食材を紹介する食ユニット「しまの食堂」とタイ料理、台湾茶がコラボした2013年10月開催のパーティ。

[★03]「チャイヤイ」の坂本さん
北千住のタイ料理店「チャイヤイ」のオーナーシェフ、坂本広氏。「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」徳島編(2013年4月開催)のシェフ。

[★04]サクライチエリ
タイ料理教室「Sala Isara」を主催のタイ料理家。「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」愛媛編(2012年7月開催)のシェフ。

[★05]「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」の富山編
「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」は日本各地の食材とタイ料理をコラボさせる食イベント。略して「ヤムヤム」。下関さんは2012年3月開催の富山編シェフを担当。

[★06]タイ人の旦那さん
旦那さんは下関さんの元ムエタイトレーナーだった人。WBU(世界ボクシング連合)フライ級世界チャンピオン。

[★07]らーぷ
「らーぷ」は渋谷のタイ料理店「Laap」のシェフ、鈴木直美さんのニックネーム。2012年5月開催のヤムヤム茨城のシェフもつとめた。

[★08]両角舞
フードコーディネーター。2011年7月開催のヤムヤム長野シェフ。

[★09]『暮らして恋したバンコクごはん』
2012年12月発行。下関さんのタイ料理本としては三作目。

[★10]マカロニケチャップ炒め
ケチャップ&オイスターソース味のマカロニを卵でとじる「タイ風洋食」。少数だがスパゲティを使う屋台もある。

<つづく>
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by brd | 2015-11-27 08:47 | 東京のタイ | Comments(0)

タイ・ワイン「モンスーンヴァレー」ホアヒン・ワイナリー訪問記 <テイスティング編>

<見学編>のつづき。

前回に続き、2012年にヤムヤムのウェブサイトのために取材した記事の再掲です。

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象に乗ってぶどう畑を見学する楽しいアトラクションを終えたあとは、待ちに待ったワインとタパス(小皿料理)のマッチングを楽しむ、テイスティング・タイムです。

午前中は人がまばらだった「THE SALA」のダイニングですが、お昼時になると満席に近い状態に。白人観光客が目立ちます。やはりワイナリー訪問は、欧米の文化なのかもしれません。

まず最初は・・・、

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ボクのお気に入りのコロンバールが登場。このワインに合わせるタパスは・・・、

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蟹とリンゴのセルクル仕立て。

ほぐした蟹の身と、小さなキューブにカットされたリンゴ、さらにくるみがマヨネーズでまとめられており、コロンバールによくマッチしていると思います。

次なるワインは・・・、

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シラーズ種100%で作られたロゼ。

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グラスに注いだクリアなロゼが、畑のグリーンに映えて見た目も爽やか。

これには・・・、

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山羊のチーズを合わせます。すこしクセのあるシェーブルに、フルーティーで甘いニュアンスのロゼがベストマッチ。

三本目は・・・、

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シラーズ。樽の香りのするミディアムボディの赤ワインです。

マリアージュを楽しむタパスは、

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鴨とクリスピーなフライドワンタンに、タマリンドのソース。こちらも好相性。トップにエノキダケが2本立っているのがカワイイ。海外のレストランで、日本のENOKIDAKEを使うのがけっこう流行っている気がします。

以上、タパスとワインのマッチングを楽しむテイスティングセットは終了。

ちょうどこの頃、突然のスコールが降ってきました。エレファント・ライディングをすでに終えたわれわれはラッキーですが、雨のなか象に乗っているグループは大変・・・と思って見渡すと、案外、平気そうに見学を続けている様子。テラスにはビニールの雨よけをおろしてもらって、テイスティング続行。

まだまだ飲み足りない、食べたりないわれわれ(当日は4人で訪問)は、まだ飲んでいないサンジョベーゼのロゼをボトルでオーダー。

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さらに、パスタ類にトライ。

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野菜に覆われてパスタがあまり見えないけれど、バジルペーストのフジッリ。

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そして、スパゲッティ・パッキーマオ。

パッキーマオとスパゲティを合わせた、タイ風イタリアン。日本には和洋折衷の洋食がバリエーション豊かですが、タイでもミクスチャーな料理が発展すると面白いと思います。個人的なことを書くと、スパゲッティ・ゲーンキョウワーンは自宅で作ったりしているし、オリーブオイルを使ったカルパッチョ的クンチェーナンプラーなんてのも、ワインに合うかも。

そもそも、タイでワインを作るということ自体が食文化のミクスチャー。日本の食材でタイ料理を表現するヤム!ヤム!ソウル・スープ・キッチンもまったく同じで、異なる食文化をクロスさせる創意工夫には、個人的に強い興味を覚えます。

さて、メインディッシュは・・・、

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ポークチョップのグリル。

野菜とマッシュポテトがたっぷり添えられていて、別添えになった甘いアップルソースをかけて食べます。このソースだけでなく、料理は全体的に甘味が強調された味つけになっていたのが印象に残りました。

ところで、今年2012年はモンスーンヴァレー10周年にあたります。

これを祝して「ウェルカム10トップシェフ・フロム・タイランド」というイベントが、この「THE SALA」で毎月開催されます。タイ国内で活躍するスターシェフ10人が月がわりで登場し、オリジナル料理を提供。それにモンスーンヴァレーのワインを合わせるという、たまらなく魅力的な催しです。

イベント期間は2012年9月から2013年6月まで。本記事執筆時点で、サムイ島の「フォーシーズンズ・リゾート」所属アレックス・ガール氏(9月)、有名料理研究家のマックダン氏(10月)、バンコクの日本料理店「ZUMA」のパトリック・マーテンス氏(11月)がシェフをつとめる回は、残念ながら終了してしまいましたが、これからやってくるシェフには要注目です!

さて。

お腹もいっぱいになったところで、お土産でも買いにいきましょう。

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「THE SALA」のショップには、ワインはもちろん、気のきいたお土産がいくつか。

まず、ワインは紹介した赤、白、ロゼ以外にも・・・、

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本数限定で作られている高級ラインのマグナムボトルや、スパークリングも販売されています。

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甘口デザートワインは、マスカット、シュナン・ブラン、上記2種にコロンバールを加えた3種ブレンド、以上の3種類からチョイス可能。

そのほかに・・・、

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グレープ・リーフ・ティー

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グレープ・シード・オイル

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グレープ・ジャムなどなど・・・、ぶどう由来のお土産が充実。日本で販売されていないアイテムばかりで、ついつい買い込んでしまいました。

次回は、ぜひとも収穫の時期に訪問したいと思います。

ところで蛇足ですが、「新緯度帯ワイン」って日本語としての語呂が悪いですよね。「ニュー・ラチチュード・ワイン」も、ちょっとなじみにくい感じ。そこで・・・、

「熱帯ワイン」

ってどうでしょう? 熱タイ・ワイン。なんちゃって(笑)。

いずれにせよ東南アジアのワイン界を牽引する存在と言っても過言ではないモンスーンヴァレー。われらヤム!ヤム!ソウル・スープ・キッチンの展開とともに、間違いなく要注目です!

モンスーンヴァレー
http://www.monsoonvalleywine.com

ホアヒンヒルズ・ヴィンヤード
http://www.huahinhills.com/

<2012年9月>

(よ)

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by brd | 2015-02-28 00:00 | タイ | Comments(2)

タイ・ワイン「モンスーンヴァレー」ホアヒン・ワイナリー訪問記 <見学編>

タイと日本を食で結ぶ【Yum! Yam! SOUL SOUP KITCHEN ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン】。我ら【美味しい世界旅行】も何かとお世話になっているけれど、ただいま「ご当地グリーンカレー・レシピ・コンテスト」のレシピ募集中(2015年2月13日~28日)で、優勝賞はタイワイン「Monsoon Valley」のワイナリーツアー招待だそうだ。

そこで、(よ)が2012年に同ワイナリーを取材し、ヤムヤムのウェブサイトに掲載した記事を、アーカイブの意味も込めて再掲しよう。

一部情報が古くなっている部分はご容赦を。

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象にゆられながら、ぶどう畑をのんびり巡る。

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タイ・ワインのイメージに、これほどぴったりな風景もないでしょう。

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Yum! Yam! SOUL SOUP KITCHENに、いつもゲストとして参加させてもらっている(よ)です。

今年(2012年)の9月、タイ・ワイン「モンスーンヴァレー」のワイナリーを訪問してきたので、リポートさせていただきます。

さて、ヤムヤムでも毎回のように赤、白、ロゼが提供されている、モンスーンヴァレーのワイン。

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上の写真は、ヤムヤム長野ver.で提供されたロゼと赤。

ヤムヤムではもちろん、日本国内のタイレストランでもけっこうメニューに載っているので、タイ好きにとっては、すでにおなじみのワインかもしれません。

ワイナリーの所在地は、王室の保養地として知られるタイの葉山、ホアヒン。バンコクからは車で約3時間。到着後、まずはワイナリー巡りの起点となる「THE SALA WINE BAR AND BISTRO」へ。

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スタッフが案内してくれたのは、ぶどう畑を一望できる爽やかなテラス席でした。

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天候に恵まれた気持ちのよい見晴らし。どこまでも広がる畑のグリーン、そして山々と空。そんな美しい景色に見とれていると、ウェルカムドリンクが運ばれてきます。

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濃厚な味のぶどうジュースです。爽やかな果汁で喉を潤し、3時間のドライブの疲れを癒したところで、ぶどう畑の見学へ。道中案内してくれるのは「THE SALA」のマネージャー、ヨサワットさん。

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ヨサワットさんと一緒に、幌のついたワインレッドのランドローバーに乗り込んで・・・、

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ぶどう畑見学がスタート!

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気持ちのよい風を受け、ぶどう畑を眺めながら、フレンドリーな語り口のヨサワットさんの解説を聞きます。青々と育つぶどうの木が、見わたすかぎりどこまでも。でも、残念ながらぶどうの果実を見ることはできませんでした。

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9月といえば、ぶどうの収穫まっさかりのイメージですが、日本とまったく気候が異なる通年高温多湿なタイのぶどう収穫期は2~3月。日本やヨーロッパの常識とは違うわけです。

そもそも、かつての常識では北緯・南緯ともに30~50度の地域がワインづくりに適しているとされていました。フランスやイタリアなどヨーロッパの伝統的なワイン産地、そしてカリフォルニアやチリ、アルゼンチン、オーストラリア、南アフリカなどニュー・ワールド・ワインの生産地が、その緯度帯に入ります。

一方、タイはどうでしょう。ホアヒンの緯度はおおよそ北緯12.5度、バンコクで13.7度。適正とされていた緯度から外れています。つまり、これまでの常識を大きくくつがえす「新緯度帯ワイン」(NEW LATITUDE WINE)のカテゴリーに属するのが、タイ・ワインなのです。

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「THE SALA」のエントランスにも、新緯度帯ワインについて説明したパネルが掲示されていました。地図の左端の「13°」=「北緯13度」が大きな文字で強調されていますね。今や新緯度帯ワインは、世界のワインジャーナリズム注目の的なんです。

これまでの常識をくつがえすワイン造りを可能にしたのは、タイ人スタッフの情熱と、ドイツからやってきた女性醸造家の技術だったそう。土壌を改良し、放っておいたら年に2回できてしまうぶどうを剪定の技術で1回にコントロールし、ワインに適した果実を収穫。ホアヒンのこの地は、山々に囲まれている地理条件から、もともと昼夜の寒暖差が大きく、ワイン造りには比較的適していたそうです。

ぶどうも、タイの気候に適した品種が選ばれました。赤ワイン用品種のシラーズと、白ワイン用品種のコロンバールです。

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上がコロンバールの木。一般的にコロンバールはブレンド用の補助品種のイメージで、あまりメジャーではありませんが、ここではコロンバール100%の白ワインが作られています。

しかもこのコロンバール、世界的に権威あるパーカーポイントで87点の高ポイントをゲットして実力は証明済み。さらに、今やミシュランの星を取るよりも、こちらにエントリーしたいと世のシェフたちに言わしめる「世界のベストレストラン50」にランクインしたバンコクのタイレストラン「ナーム」のワインリストにも載っています。

じつは、ホアヒンツアーの前日に「ナーム」を訪問しました。

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モンスーンヴァレー・コロンバールを注文したことは、言うまでもありません。

果実味が豊かで爽やかでありながら、全体的にまあるいふっくらしたイメージでミネラリーな印象もうけます。タイ料理なら和え物のヤム系の料理などにばっちり合うと思います。

コロンバール、そしてシラーズのほか、いまホアヒンではテンプラニーニョ、マスカット、シュナンブランといった品種が栽培されており、来年からはカベルネソーヴィニヨン、シャルドネにも着手するとか。

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また、モンスーンヴァレーのサイアムワイナリー社が保有する別のぶどう畑、「フローティング・ヴィンヤード」(サムットサコン県)では、タイ在来種のポクダム(赤ワイン)、マラガブラン(白ワイン)が栽培されているそうです。

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この「フローティング・ヴィンヤード」、ぶどう畑の中に水路がめぐらせてある様子が上のパネルで確認できるでしょうか。ポクダムとマラガブランに適した栽培システムということで、こちらもいつか見学してみたいものです。

さて、車でひとまわりしたあとは、お待ちかねのエレファント・ライディングの時間!

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何度もタイに行っているくせに象に乗ったのはこれがはじめて。象の背に乗ると意外なほど視界が高く、じっくり畑を見渡せそうなものなんですが、思ったより揺れるのと初体験の興奮でぶどうとワインのことはすっかり忘れてしまいました(笑)。

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象に乗った目線の映像が上の写真です。二頭でゆっくり畑を巡る感覚が、どことなくユーモラスでのんびりしていて、最後はとてもなごみました。

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降りたあとは、象に「おつかれさま」の意味も込めて、1バスケット100バーツのパイナップルを象にあげる余興も。

エレファント・ステーション近くの畑には・・・、

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プリック(唐辛子)ほか、さまざまなハーブ類が植わっています。「THE SALA」の料理で使われているそうです。

さらに、

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上の写真、手前の丘に点々と植えられているのは試験栽培中のオリーブの木。ヨサワットさんによれば、オリーブも商業ベースに乗せる計画があるそうで、そうなるとタイでは初。近い将来、ホアヒン産のオリーブオイルを味わうことができるかもしれません。楽しみですね。

ところで、この頃になると早くワインを飲みたい!そんな気分が募ってきます。ずっとぶどう畑をながめ、ワインの話を聞いているのですが、本日まだ一度も実際のワインを口にしていません。

というわけで、次は「THE SALA」に戻ってワインとタパスのテイスティングです。

<つづく>

(よ)

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by brd | 2015-02-25 00:00 | タイ | Comments(0)

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。 [その2] 

[その1]の続き。

道端の総菜屋さんでも、作り置きのガパオ炒めを売っていた。

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すぐ持って帰れるよう、すでにビニール袋に入れたのを並べてある。

この豚ガパオを、買って持ち帰って、食べてみた。

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わりと肉は細かいけれど、挽肉じゃない不均等なツブツブした食感がある。包丁で叩いてるのかもしれない。なかなか美味しいけれど、ここのが一番辛かった。

さて、スーパーではガパオライス弁当が売られていた。

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鶏ガパオライス弁当。

見るかぎり、鶏は切りっぱなしで、けっこう大きい。もう「粗みじん」という範疇じゃない。こういうのもあるのか。

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こちらは豚ガパオライス弁当。

食べてないから詳しくわからないけど、肉はわりと細かい。

全体的に、鶏が粗く、豚が細かい、という傾向はあるのかな。

タイ料理本にはどう書かれているのか、自分の好きな本をめくって調べてみた。

まず、このガパオ炒め調査のとき(2014年9月)にバンコク紀伊国屋で見つけ、装丁がオシャレっぽいのに惹かれて購入した、アメリカ人タイ料理シェフ、アンディ・リッカーさんの『pok pok』という本。シェフはポートランドやNYで本と同名のタイ料理店をやっている。

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肉については、あっさり「ground chcken or pork」って書かれているだけだった。

つまり、鶏か豚の挽肉・・・。

タイ料理に興味を持ち始めたころ手にした、竹下ワサナさんの『旬の素材でタイ料理』は、鶏ガパオライスが表紙だ(正確には「鶏のイタリアンバジル炒め」。出版が2001年ごろで、まだ一般には手入困難だったガパオの葉をバジリコに置き換えたレシピになっている)。

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写真を見ると、鶏の切り方はけっこう大きくざっくりしている。

レシピ文には、「鶏胸肉は薄切りにする」とある。

[その1]の記事で紹介した、道端の屋台の鶏ガパオに近い感覚かもしれない。

切り方が特に大きかったスーパーの鶏ガパオ弁当も、この路線の延長にある感覚かもしれない。ミンチやひき肉ではなく「薄切り」。

そして、本ブログで何回か書いているけど、「世界一」のタイ料理店「ナーム」のシェフ、デヴィッド・トンプソンさんの著書『THAI STREET FOOD』もチェックしてみた。

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載っているのは、鶏でも豚でもなく、牛のガパオ炒め。

なんでも「ガパオ炒め」は50年くらいに前に発祥した比較的新しいタイ料理で、最初は牛で作られていたらしく、のちに豚や鶏、魚介にも素材が広がって行ったらしい。

で、肉の処理はというと、「I find a rather coarse mince yields the best result - ideally done by hand」。つまり、やや粗めのミンチがベストで、手で処理をすれば理想的であると。ミンサーを使わず包丁でミンチにするってことだろう。下関さんのやり方にかなり近い。

この本に書いてある通り、ガパオ炒めは鶏や豚にかぎらず、魚介を具にしたりもする。

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上は、渋谷の「パッポンキッチン」で食べたムール貝のガパオ炒め。

すでに別の記事で紹介済だけれど、「ガパオ炒めは肉だけじゃないよ」という、このお店らしいマニアックなメッセージかも。

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こちらはバンコクの惣菜屋にあったガパオカイヨーマー。ピータンを肉のガパオ炒めにあわせた惣菜で、ピータンはそのままではなく、いったん揚げてから炒め合わせるのが一般的らしい。

さて。

実のところ普段日本では、そんなにガパオ炒めって食べなかったんだけれど、こうやってガパオ炒めのことばかりずーっと考えていたら無性に食べたくなってきて、先日たまたま通りかかった鎌倉・長谷のタイ料理店「クリヤム」で、ランチのガパオライスを注文した。

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ミンサー系ではないゴロゴロ&テクスチャーのある処理になっている鶏が美味しかった。ただ、タイで食べるのと違うのは、圧倒的に味付けが優しいこと。辛さや塩気も控えめだが、甘くないのが印象的だった。

そして、自宅でも、ガパオライスを作らずにはいられない。

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ちょっと失敗な自作鶏ガパオライス。

どこが失敗かというと、まず鶏肉。

ちょっと叩き方が足りない。

というよりも、このくらいざっくりした大きさで作るなら、もも肉ではなく胸肉を使うべきなのかも。[その1]に出てくる道端の屋台や、竹下ワサナさんのレシピは胸肉だから、ああいうテイストが出ているのかもしれない。

あと、日本のコシヒカリとあわせたら、なんだかヘビーな食べ心地。やっぱりさらっとタイ米じゃないと。

さらに言えば、目玉焼きがタイっぽくないなあ。

もっと、白身の端っこがカリカリに揚がってる感じになっていてほしい。

ガパオ炒めのレシピは、ほかにもいろいろポイントがあって、まずガパオの葉に関する疑問がみなさんいろいろあると思う。手に入りやすくなったとはいえ、やっぱり珍しい食材だ。

そこで出てくるのは、代用すると、どうなのか? という疑問。

イタリアンバジルだと、どう違うのか? ホーラパーでは? そもそも、ガパオとホーラパーってどう違うのか。英語でいうホーリーバジルとスイートバジルって、ガパオやホーラパーと同じものなのか? ところで、これ系の葉っぱって、いったいタイには何種類あるのか?

などなど疑問噴出である。

ちなみに、下関さんの旦那さんは、挽肉だとダメ出しするけど、バジリコでの代用は「美味いね」の感想だそうだ。

うーむ、そのあたり深い何かがありそう。

ガパオの葉はフレッシュなのを買って一回で使いきらない場合、保存するのが難しいが、こんなのも売っている。

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冷凍キューブのガパオの葉。これを解凍して使えば、かなりイイ具合。

同様の商品で、ホーラパーの葉のキューブもある。

冷凍庫に入れておけば、いつでも自宅でタイの味に近いグリーンカレーが作れる。

あと調味料の問題。

オイスターソース、シーユーダム、シーユーカオ、ナンプラー、シーズニングソース、醤油など、何を使うレシピがいいのか? そして、目玉焼きの焼き方は? などなど。

いろんな問題が山積するなか、今回は肉の処理だけにフォーカスした、非常に偏った内容をご覧いただきました。

【おまけ】

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豚肉ガパオライス弁当(自作)。

職場に持っていって、ランチにした。

けっこう半熟な目玉焼きをのっけたので、運搬するとき崩れないかと心配になるが、けっこう大丈夫。

冷めてもまあまあ、だった。

(よ)

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by brd | 2015-02-09 14:39 | タイ | Comments(2)

ガパオライスの肉について、バンコクで調査してきた。[その1]

みんな大好き、ガパオライス。

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写真は、タイ料理家・下関崇子さん作の目玉焼きのせガパオライス。

美味しそうでしょ。いや、めっちゃ美味かったです。

あのチェーン系の弁当屋までがメニューに載せたりして、いまや日本でのメジャー度で言ったら、かつてタイ料理の代名詞だったトムヤムクンを抜いて、グリーンカレーと良い勝負、といった感じのガパオライスだが、考えてみれば、目玉焼きと挽肉炒めがライスにのっている料理って、とても分かりやすくてキャッチーだ。ハンバーグにのった目玉焼きなんかともイメージがダブるし、日本人のDNAにひそむ洋食への憧憬にジャストミートしている感じもする。

おっと、思わず「挽肉炒め」と書いたけれど、じつはこの記事、そこが問題。

下関崇子さんの旦那さん(タイ人)は、挽肉でガパオ炒めを作ると「なんか違う」って言うらしい。たしかに挽肉のガパオ炒めは「そぼろ」みたいになっちゃって、別に悪くはないけど、ちょっとイメージが違う気もする。

売っている「挽肉」はミンサーで挽いてあるわけだが、それは使わずに、かたまりから包丁で粗みじんにして叩いて下ごしらえすると良いのだとか。

確かに、そうやって作ってみると食感が断然良くなる。

これだけメジャーな料理なので流儀はさまざまみたいだけれど、実際どうなのか。バンコクでガパオライスを食べ比べてみた。

まず、ショッピングセンター「エンポリアム」のフードコートのガパオライス。

コックさんが調理風景を撮影させてくれた。

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まずは目玉焼きを作る。

油たっぷりめで、揚げるように焼く。

肉に関しては、すでに下処理済のものを使っているので、調理風景を見ている時点では、どんな感じかわからなかった。

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鶏肉を炒めて調味料を加える前に、スープか水か、レードル1杯じゃばっと入れていた。一瞬、けっこう汁っぽく作っているように見えるけど、火力が強いからか水分はどんどん飛んで、出来上がりはちょうどよい具合になっている感じだ。

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おぉ・・・、確かに、粗めに切った鶏肉が包丁で叩いてある感じだ。

こうなっている方が汁が肉にからむし、食感も複雑になって美味しい。

お次。

道端の屋台でも、鶏のガパオライスを作ってもらった。

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ここでも肉は下処理済み。

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ガパオの葉を投入したところ。

けっこうガッツリ味つけしている。タイのローカルな場所だと、やっぱり日本より辛いだけでなく味そのものがだいぶ濃い気がする。

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出来上がり。

ここの鶏肉は切りっぱなしで叩いてない。けっこう切り方も大き目。

でも、サクサクしたような鶏独特の食感があって、これはこれで悪くない気もする。

さらに、ショッピングセンター「MBK」のフードコートでもガパオライス。

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ガパオ炒めには鶏と豚とあるけれど、今度は豚にトライ。

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これは挽肉かなあ。肉が細かくて汁っぽい仕上がりだった。個人的な好みで言うと、前のふたつのほうが好きかな。

MBKの別のブースでは、作り置きのガパオ炒めが陳列されていた。

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食べなかったけど、挽肉っぽい。鶏だろうか。

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上は「サイアムパラゴン」のフードコートで見かけた作り置き鶏ガパオ。これも挽肉っぽいかな。

[その2]に続く。

(よ)

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by brd | 2015-02-07 22:19 | タイ | Comments(0)

タイのアメリカ炒飯と電車炒飯

カオパット・アメリカンとスパゲティ・ナポリタンの続き。

問題のカオパット・アメリカンを出していると聞いたのは、渋谷にあるタイ料理店「パッポンキッチン」。

でも、当日の黒板メニューにはカオパット・アメリカン=アメリカ炒飯はなく(たぶん言えば作ってくれるとは思うけど)、かわりに「電車炒飯」というのがあった。

なに?電車?

おもわず頼んだ。

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カオパット・ロットファイ。

ロットファイ=電車。

なんで電車なのか。

駅弁とか、長距離電車で売ってるお弁当のカオパット、みたいなこと?

キャベツが入ってて、タイのシーズニングソースが効いてる。そういう、わりとぞんざいなテイストが、らしい感じ。

パッポンキッチンの黒板メニューには、たとえば「ヤム」ではなく「和えもの」って書いてあったり、タイ語のカタカナ表記がないのが特徴で、だから「電車炒飯」って書いてあって、なんとなく印象に残る。

ほかのグループも「電車炒飯で何ですか?」って質問してた。

お店の正式名称も「タイ料理食べる パッポンキッチン」で、タイ語をブロークンな日本語に訳したかのような枕がついてるのがヘンでおもしろい。

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別の場所でポルトガル料理店「クリスチアノ」もやっている店主らしくヴィーニョ・ヴェルデが一種類置いてある。

甘くてすっきり爽やか。タイ料理に合うと思う。

そういえばマカオでヴィーニョ・ヴェルデをたくさん飲んだ。そういう感じを思い出す。

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醗酵させたお肉の揚げもの盛り合わせ。

タイソーセージ、手羽、鶏、豚ばら。酸味のある醗酵肉がからりと揚がってて、くせになりそな感じ。

お肉は「クリスチアノ」製なんだそうだ。さすが。

とくに豚ばらは、もっと食べたいと思った。

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ジャックフルーツのヤム。

これもあんまり東京のタイ料理店で見ない料理かも。未熟ジャックフルーツの水煮缶を開けてクロックで叩いて作っていたけど、ほとんどタケノコのような感じ。

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イサーン風のモツ煮。

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ムール貝のガパオ炒め。

ごはんはついてないんですけどいいですか、なんて言われる。ガパオといえば、ガパオライスっていうのが現代日本人の標準的なタイ料理イメージなんだろうね。

当日はアルバイトの女性とタイ人ご夫婦の料理人さんとしか話ができなかったけれど、トムヤムクンみたいな外国人のイメージにあるティピカルなタイ料理ではなく、アメリカン炒飯みたいにフツーにタイで食べられている庶民的ないろんな料理を出す店を東京でやりたい、というのが狙いみたい。

そういうストリートな感覚に、ソーセージや醗酵肉が手製というクラフトなテイストが混ざり合って、ありそうでなかった感じの雰囲気。

下関崇子さんが「日本料理でいえば寿司、てんぷら、すき焼き、ではなく、じゃがいもの煮っころがしや豚キムチ炒め。そういうポジションにあたるようなタイ料理を紹介したい」って言って、著書にすんごいマニアックな料理をたくさん載せているけれど、基本は同じスタンスかもね。

あ、結局カオパット・アメリカン食べてないじゃん。

また次回。

(よ)

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by brd | 2014-10-15 20:00 | 東京のタイ | Comments(8)

カオパット・アメリカンとスパゲティ・ナポリタン

『LUCKY PEACH』っていう雑誌がストリートフード特集をやっていて、タイのカオパット・アメリカンなる料理を紹介していた。

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カオパット・アメリカン。

つまり、アメリカ風炒飯。

冷凍カット野菜と干しぶどう入りのケチャップ味チャーハンに、目玉焼きがのっていて、鶏の唐揚げとウィンナーの揚げたのが添えてある。

タイ料理なのか?

アメリカ料理、じゃないだろう。

というよりまず、かなりぞんざいそうな料理である。

記事では、チャーハンに添えられたソーセージに注目している。

タイにはサイクロークやサイウアなど美味しいローカルのソーセージがちゃんとあるけど、一方でいわゆる「ウィンナー」も食べられている。カオパット・アメリカンに添えられているのは、そういう袋詰めされてスーパーで売られているようなタイプの「ウィンナー」。

日本でいう脚の開いたタコ型のウィンナー(油で揚げてある)を、記事では「ウィンナー・ブロッサム」と呼んでいて、さらにこのウィンナー・ブロッサムをビニール袋に入れてソースプリックをまぶしたのだけを買うこともできるみたいだ。

正直言えば、タイでこんなの見た覚えがない。

でもきっと、それは自分がわかりやすいタイ料理にしか興味がなくて目に入らなかっただけで、記事に書いてあるとおりバンコクとかには普通に存在する屋台料理なんだろう。

下関さんに訊いたら、やっぱり、タイに住んでいたころはしょっちゅう食べていたそうだ。

長くバンコクに住んで、ある時期タイ料理的な味付けに飽き飽きして来て、なにかタイ料理的ではないものが食べたい。そんな時期に食べていたのが、カオパット・アメリカンなんだそうだ。

なるほどね。

外国人にとっては、良くも悪くもタイ料理っぽくないけれど、タイにしかないストリートフードには違いない。

素材はタイのものじゃないけど、文脈がタイなのだ。と、記事の筆者は書いている。

そういう意味でいうと、日本のスパゲティ・ナポリタンなどは、まさにその種の料理なんじゃなかろうか。日本料理には見えないし、もちろんナポリにも存在しないが、しっかり日本ローカルな文脈において愛されている料理。

日本料理マニアの外国人も、なかなかナポリタンには辿り着くまい。

しかし、日本のイタリア料理史を思うに、伊丹十三の本などでアルデンテという言葉を知り、ナポリタンなどイタリア料理ではない、とか言って真剣に怒ったりする時期があり、そのうちにイタリア料理も北から南で地方ごとにそのテイストは大きく異なる実体を知るにいたり、芯を残したパスタが全てではないとの認識も浸透。そのうちにスパゲッティナポリタンに懐かしい日本の昭和の香りを発見しちゃう懐古趣味もやってきて、老舗の喫茶店であえて昔ながらのナポリタンを注文してみたり、ホテルのダイニングなどが「ちょっと気取った大人のナポリタン」的なメニューを提供したりするのも、もう別に目新しくもなんともない。

そう考えると、なんだかナポリタンは日本の料理史において注目すべき料理のような気がしてこないか。

同じ意味で、カオパット・アメリカンも注目すべき料理なのだろうか。

ケチャップ味というのも共通しているし。

アジア人の欧米への憧憬。その種の分析がいくらでもできそうなネタではある。

記事の筆者Kris Yenbamroongさんは、ロサンゼルスで人気のタイ料理店「NIGHT+MARKET」をやっている注目の若手タイ人シェフらしい。

なるほど~。

そんな経緯でカオパット・アメリカンについて調べていたら、なんと渋谷でそれをメニューに載せているタイ料理店があるではないか。

(つづく)

(よ)

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by brd | 2014-10-11 12:27 | 本や映画 | Comments(13)

バンコク : フリペ編集長が案内してくれたスターシェフの新店「ナムサー・ボトリング・トラスト」

バンコクの日本人女子向けフリーペーパー『Arche+』の編集部に訪問し「どっか面白い店に連れっててくださいよー」とお願いしたところ、その晩のディナーはここに決定。

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シーロムのソイ7にある「ナムサー・ボトリング・トラスト NAMSAAH BOTTLING TRUST」。

ピ、ピンク色のお屋敷。

タイ版『料理の鉄人』である『アイアンシェフ』にも出演し、バンコクやニューヨークで何店も経営しているスターシェフ、イアン・キッチャイさんの新しい店だそう。

さすが編集長、最新トレンドスポット。

この建物、築100年は経っているとかで、最初は宮廷の役人の屋敷、次に銀行のクラブハウス、最後はソーダ水会社のオフィスに使われたそうで、変わった店名はそこにちなんでいる。

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こんな内装。

このトゥーマッチなキッチュさ。タイっぽい感じ。

1階のバーで少し飲んでから2階にあがって食事されますかと促されるが、こちらは6人グループ(子ども2人ふくむ)だったりして、直接2階のテーブル席に座りたい旨リクエストする。

どう考えても男女もしくは男同士などで来る店っぽく、子ども連れはそぐわない気もしたが、そんなミスマッチムードの中あえてのんびり楽しく団らんしてしまうのもまたオツなり、みたいに考えそうなメンバーがそろった。

そういえば、このあいだ銀座のバー街直近の四川料理店(成都出身者オススメ)で同伴の人たちに囲まれながら辛い料理を食べたのもこのメンバーだった。

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カクテルの氷の上にハリボらしきものが乗っていて、子どもたちは喜んでいる。

飲み物のメニューを見ると、「セックス・オン・ザ・BTS」とか「メコン・ゾンビ」とかのカクテル名がならび、なにかすごく若い人向けな感じ。

料理はタイをベースにした創作料理だろうか。

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上の写真はサイウア(チェンマイソーセージ)のホットドック。パンはイカ墨だろうか真っ黒い。しかも靴磨きクリームが入っていそうなチューブが皿に添えてあって中にはアイオリソースが入っていた。

メニューを見ると、シラチャー・アイオリ・ソースと書いてある。ん?

それにしても、照明と壁の色の関係で、どうやって撮っても料理写真が赤く色かぶりするのだった。

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フォアグラ入りパッタイ。

いいとこ突いてる。そして、味も意外に悪くない気がする。

しかし、子どもはフォアグラ嫌いだそうだ。フォアグラをよけてあげてパッタイだけ食べさせる。大人はフォアグラだけ食べる。意味ない。

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シーザーズサラダ。

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モモ。

ネパール料理でイメージするモモじゃなく、ソースのかかった蒸し餃子のようなもの。これは子どもが美味しい美味しいと食べてしまった。

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そのほか、牛肉のレッドカレーなど。

Slow-cooked Beefとメニューには書いてあったりする。

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ライチのパンナコッタ。

ソルベもライチ味。小さいボトルにもライチのソーダ。「ボトリング・トラスト」色を出しているわけか。

実は、こういう女子を喜ばせるための小細工の効いたプレゼンテーションが嫌いじゃなかったりする。

今どきの日本にない感じのバブリーさを堪能した夜、楽しかった。

<2014年9月>

(よ)

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by brd | 2014-09-25 00:55 | タイ | Comments(2)

バンコク : 外国料理についての「勘違い」をめぐって 「SRA BUA by KIIN KIIN」

バンコク : 分子ガストロノミー的タイ料理「SRA BUA by KIIN KIIN」の、つづき。

メインダイニングのテーブル案内される。

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席に座ると、ラウンジで注文した出てきたビールが出てきた。

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ディム・サム・ビアー、だって。

Mikkellerというデンマークのマイクロブルワリーがアジア料理向けに醸したクラフトビールなんだそうな。レモングラスとコリアンダーをブレンドして醸造しているとのこと。

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ラベル。たどたどしげな「虾饺」の簡体字がアヤシイ(笑)。

さて、「スラブア」はコペンハーゲンのタイ料理店「キンキン」のバンコク支店のような存在らしいが、コペンハーゲンといえば言わずと知れた「ノーマ」。来年、期間限定でオープンするノーマ・ジャパンが、なにか食通たちの間で大事件のように言われているけど、どうなんだろう。

「ノーマ」はさておき、北欧ガストロノミー+タイ料理店とくれば、折衷・混淆に食文化のリアルを探る【美味しい世界旅行】としてはチェックしないではいられない(なんて)。

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右は具の入っていないトムヤムスープ。そして、左は胡椒のたくさんかかった温かいマヨネーズソースで覆われたエビ。これを交互にいただく。

つまり、スープと具がセパレートされたトムヤムクン。

なるほどー、という感じ。

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サービスの女性がクロックでなにやらポクポクやりはじめた。

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できたのは、こういうナムチム。

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この料理のきゅうりのつけ合わせのところにかけてくれる。

メイン食材は、右がロブスターのフリット、左がグリルしたイカ。両方の下にしいてある薄緑のクリームはタイ風味のメレンゲ。

ところで、本レストランレポート前半のコメント欄に、ちょっと面白い意見があった。

コメント主曰く、このレストランは西洋式を勘違いしたタイ人がやっているレストランなんじゃないか、と。

勘違い、という言葉をめぐって、すこし考えてみた。

そのコメントには、実はその逆でタイ料理を「勘違い」したデンマーク人がやっているレストランなんですよ、と返答しておいた。

勘違い、という言葉に「」をつけたのは、もちろん彼らが本当に勘違いしているわけではなく、オリジナルのタイ料理を意図的に換骨奪胎していることを言いたいがためだけど、思うに「」がつくのと、つかないのとで、いかほどの差があるだろう。

意図的にやれば創造で、無意識にやれば勘違い。なんだろうけど、両者の違いって実は微妙。

ここまでの正直な感想としては、なにかタイ料理が分子ガストロノミーの「ネタ」になっている感じ。

西洋目線のオリエンタリズムにもとづいた料理、って言ってもいいかも。

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レッドカレーのアイスクリームに、ホワイトアスパラガス。

白いムースもアスパラ味だった気がする。

うーん、もう少し精度の高い盛りつけをしてほしい。

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セロリのひらひらの下には、

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「イエローカレー」と蟹の身。これと交互に、一緒に出た緑色の爽やかな風味のジュースを。

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脱構築パッタイ。エビ味のヌードルに「パッタイソース」。

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さっきと同じシリーズのクラフトビール。

やはりラベルのデザインがオリエンタルポップなニュアンスで、ちょっと不思議。

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骨の上に茄子かなにかのピュレとケープムー、カリカリとハム、というこれまた不思議なスナックなどをはさみ、

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メインは、ハーブとオイスターソース風味の牛肉。

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牛肉はタマネギで作ったというカリカリの下。肉はレアにローストしてからソースと合わせてある。この料理にはジャスミンライスが添えられている。

コース中、ブレッド的なものは出なかった。

さてさて、西洋人がやっているタイ料理レストランということで、同じくバンコクで営業している「ナーム」と比べると、「スラブア」は180度逆向きの方向性だ。

「ナーム」が西洋的なアレンジを排除したオーセンティックなタイ料理を標榜し、タイ料理そのものの洗練や体系化を目指しているのに対し、こちらはさっきも書いたように、タイ料理はあくまで分子ガストロノミーの「ネタ」っぽい。

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デザート一皿目。

パッションフルーツのジュースをかけると、わたあめが溶けて、下のグラスのアイスクリームとともにすべてが混ざる仕組み。

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二皿目。

花の香りをつけた白いアイスクリーム、ソルベ、メレンゲなど。

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三皿目。

バナナケーキとアイスクリーム(何味か失念)。下に敷いてあるのは凍ったココナッツクリームと生のココナッツのフレーク。

さきほどの「ネタ」の話の続き。

バンコクに「ガガン」というレストランがある。ここはインド人シェフがやっているインド料理の分子ガストロ版。

以前、本ブログでもリポートしたけれど、ユーモアがあるというか、インド料理そのものに対する批評性を感じる。さらに、驚きや笑いもあってエンターテイメントとして結構楽しませてくれる。

つまりインド料理を「ネタ」にして表現していることがシャープ。

「スラブア」は、そのあたりのピントがどこに合わせてあるのか、(よ)にはよくわからなかった。

こういう精度の高さを要求される料理を出しているわりに、スタッフのサービスがゆるいのも、そう感じさせる一因かも。

ここで大胆な仮説を。

一度利用したきりのレストランだから、あくまで仮説、というか妄想です。

先ほどのクラフトビールのラベルだが、漢字を使用する日本人として、明らかにネイティブが書いたと思えない「虾饺」の文字には、多少の気恥ずかしさを感じる。

さらに似たような文化ギャップ現象として、例えば「ドラゴンロール」とか、アメリカ式に曲解したスシのような料理に慣れるには、日本人として多少の時間がかかるものである。

これと同様の感覚で、このレストランのタイ人スタッフは、自分たちが出している不可思議なタイ料理に対して、実はほのかな気恥ずかしさ、違和感を感じているのではないか。なんとなく、納得できないというか。

だから、どことなくあいまいなムードにレストランが支配されている。

あくまで仮説ですよ。

※前述の「ガガン」では細かいタパスが連続したあとに出る、カレーやナンのメインコースに「~ Food at last!!!! ~」というタイトルがついていた(笑)。自虐というか、客観というか。

e0152073_21481346.jpg

タイ人は外国人のタイ料理に対して、どんな感情を抱くのだろう。

そのあたりのねじれを味わうために、もう一度訪問してもいい。かもしれない。

<2014年8月>

(よ)

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by brd | 2014-09-20 22:28 | タイ | Comments(6)


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