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不自由で自由なビール

こんなイベントに行ってきました。

THE OYATSU Vol.6
不自由で自由なビール

http://theoyatsu.com/the-oyatsu-vol-6/

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登壇者は、赤坂「sansa」の橋本一彦さんと、代沢「Salmon & Trout」の森枝幹さん。 

ビール好きにとって、とても示唆に富む内容でした。

まずタイトルが最高ですね。

不自由で自由なビール。

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日本酒やワインと違って、ビールは副原料に寛容。

つまり、酵母や水のほか、日本酒は米しか使わないし、ワインはブドウしか使わない。

一方で、ビールは穀類のほかにホップを入れるし、ほかにスパイスでも、ハーブでも、フルーツでも、コーヒーでも、何を入れたって基本的にOK。

つまり、醸造プロセスそのものに自由がある。

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ここからは壇上のトークを聞いての私見ですが、もうひとつ、アメリカンクラフトが拓いた自由があるように思います。

ブルワリーを中心としたコミュニティの自立や、大企業に支配されないモノづくり、あるいは新奇な試みが歓迎される寛容さであるとか、ビールを巡るあらゆるレイヤーの自由を確立してきたのが、アメリカに端を発するクラフトビールムーブメントに違いありません。

醸造プロセスおける自由。

そして、経済的、社会的、政治的、文化的、精神的な自由。

このふたつの自由は、たぶん無関係ではない。

橋本さんの話を聞きながら、そんなことをつらつらと、勝手に考えていました。

さて一方で、ビールの不自由さとは何でしょうか?

ビールの自由を謳歌するためには、歴史や伝統を理解する努力や、知識や修練などが必要とされたり、なにがしか、ある種の「不自由」をともなうはずだ。

そんな風に橋本さんは言っていたと記憶しています。

さらに、森枝さんによれば、こんなに自由なはずのビールなのに、ガストロノミーの世界では明らかにワインや日本酒より、地味な存在にとどまっているそうです。

またまた勝手に考えるに、それは長年にわたる大企業による産業ピルスナーのイメージ刷り込みによって、みんながビール本来の自由さを、すっかり忘れてしまったからじゃないかなあ。

これが、一番の不自由だと思う。

この不自由から、自由を取り戻すための運動が、苦いビールや、酸っぱいビール、いろんなビールがあることを知って、それを料理に合わせたり、いろいろやって楽しむこと。

これこそが自由なんだ、って気がします。

会場で振る舞われた橋本さん考案の“Oyatsu”は、胡椒のアイスクリームにbfmボンシェンをかけた“アフォガード”。

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アイスに、ボンシェンをかける。

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美味しかった!

複雑な味と香りをともなうボンシェンの酸、アイスのクリーミーさと乳製品の油脂、存在感ある胡椒のスパイシーさ。

すごく自由な組み合わせだけれど、味覚の本質はとらえているから響いて来るんだと思います。「オヤツ」っていうより料理でした、完全に。

形骸化したルールや、教条主義的な縛りから、ビールは最も自由なお酒だと思いますが、その本質というものは厳然と存在していて、そこをとらえなければ「自由」とか「何でもアリ」とか言ってても意味がない。そういう普遍性から人間が自由になれるはずがない。だから、不自由とも言える。

ボンシェンのアフォガードを食べながら、例によって勝手に哲学してみました。

以上、お二人のトークを拝聴しつつ、勝手に私個人の脳内で展開した内容をメインに書いてみました。ほとんどイベントのリポートにはなっておりませんので、あしからず。

そうそう、会場で気になっていたこの本を手に入れました。

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ここにある橋本さんの言葉。

「スペック至上主義的な考えを、ねじ伏せたいですね」

もう一度、sansaに訪問しなければ。
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by brd | 2016-07-27 00:13 | 東京 | Comments(7)

第3回 『クラフトビール革命』イベント <クラフトビールはなぜ盛り上がっているのか?>@名古屋

Far Yeast Brewingの山田司朗さんと、The Japan Beer Timesの熊谷さんによる大好評の読書会シリーズ、《クラフトビールはなぜ盛り上がっているのか?~近年の最重要書籍で『クラフトビール革命』で読み解く~》の第三回が名古屋で開かれることになりました。

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下記がFBページです。
https://www.facebook.com/events/1319573268054633/

上記にて申し込み方法など詳細をご確認ください。

当日は書籍『クラフトビール革命』も販売します。

下記にFBページのテキストをコピー&ペーストしておきます。

・・・・・・・・・・・・・・

アメリカ東海岸を代表するクラフトビール・メーカーであるブルックリンブルワリー創業者、スティーブ・ヒンディ著『クラフトビール革命』(和田侑子・訳/DU BOOKS・刊)を読み解く会を開催します。

本イベントでは、本書を読んで刺激を受けたという、Far Yeast Brewing(クラフトビール「馨和 KAGUA」「Far Yeast」を販売)の代表・山田司朗さんと、『The Japan Beer Times』誌の上級記者として数多くの地ビール醸造所を取材し、国際的なビール審査会にも参画しているJinya Kumagaiさんに、突っ込んだ視点で「クラフトビール革命」の読み方を探ってもらいます。

山田さんは、英国ケンブリッジ大学 Judge Business School MBA(経営学修士)修了。ベンチャーキャピタリストとしてキャリアをスタートさせ、IT業界でIPO(株式上場)や数々のM&A(企業の合併と買収)を担当しました。その後3年間のヨーロッパ生活でビールの魅力に取りつかれ、帰国後準備期間を経て、2011年9月、日本クラフトビール(現Far Yeast Brewing)を設立したのです。

つまり、ビールについてはもちろんのこと、近年頻繁に報道されるクラフトブルワリーのM&Aなどの証券まわりの理解や、起業や資金調達の苦労への理解も欠かせない米国のクラフトビール革命について、参加者と一緒に考えるのに日本で最適な方の一人なのです。

クラフトビール・ムーブメントの始まりは、フリッツメイタグ氏が倒産寸前のビール会社「アンカー・ブルーイング社」を買収し、アメリカ初のクラフトビールの醸造所として立て直しを開始した1965年。それから今年で50年経ちました。50年かけて2兆円産業に成長したモノを「ブーム」とは呼ばないだろう。そう、山田さんは言います。

その他、巨大ビール会社とマイクロブルワリー(小規模クラフト会社)の「ビール戦争」や、ビール業界のM&Aについて、「ローカル」を重んじるビール会社と地元の関係、ビールとインターネット、そして山田司朗さんの実体験もふまえたマイクロブルワリーの起業などについて、『クラフトビール革命』に登場するテーマを巡りながら日本のビール業界の立場から考えます。

昨年12月に東京、今年3月に札幌で開催されて満員御礼、好評を博した読書会が、満を持して名古屋で開催です。内容も東京、札幌とは変え、特に「コミュニティー」についての視点を盛り込みます。

【出演】
山田司朗(Far Yeast Brewing株式会社 代表取締役)
Jinya Kumagai(記者・編集者・翻訳者、『The Japan Beer Times 』上級記者、国際ビール審査員)

【日時】
2016年7月23日(土)
14:00~16:00 (13:30開場)

【場所】
ヒンメル
住所:愛知県名古屋市千種区今池5-9-5
電話番号:0527353370
地下鉄「今池駅」より徒歩1分
http://www.beer-himmel.com/

【入場料】
前日までに店頭で前払い:2500円
当日お支払い:2800円
(いずれも現金にて。6銘柄のうちお好きなビール1杯付き)
※同日17時から開催される「ビールと寿司のマリアージュワークショップ」にも参加される方は、合計額から500円割り引きいたします。
https://www.facebook.com/events/1228889993788315/?active_tab=highlights
※キャンセル料について…1〜2日前:各入場料の50%、当日100%ご負担とさせていただきます。
【定員】
20名、要予約

【ビールの追加注文】
6銘柄を特別サイズですべて500円で注文可能。

・・・・・・・・・・・・・・

コピー&ペースト以上です。

ふるってご参加ください!
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by brd | 2016-07-17 12:33 | 愛知 | Comments(1)

香港クラフトビア・ツアー <その4> 益新

<その3>の続き。

香港・湾仔の有名店「益新」へ。

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名物料理はレモンチキン。

そして・・・、最近は評判の料理とともにクラフトビールが楽しめるというウワサをキャッチした。

カンで、これは今回の「香港クラフトビール・ツアー」でフォローしておかなければと、店に急いだのである。

さっそく、おすすめクラフトビールをくれ、と注文したら・・・

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ノースコーストのPuck、NZのトゥアタラAPA、そして、な、なんと、われらがFar Yeast社の馨和Blancのボトルがテーブルに並んだのである!

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こんな、それっぽいビールのリストもあった。

よく見れば、「益新」のロゴの上あたりに“What is Craft Beer?”とかいう見出しで、お勉強っぽい能書きが書いてある!(笑)

店を何度も利用している地元在住の友人は「クラフトビールなんて置いてるの知らなかったよ」という。

たとえば神田「味坊」が自然派ワイン置いているのと近いニュアンスか、とか誰かが言うが、いや、それとは違うと誰かが否定する。

そんな感じで、「クラフトビールがどうたら」とか言い合っていたら、

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若旦那っぽい人(左)が出てきて、みずからビールをサーブ。

どういうわけかテーブルの周りに従業員が集まり、なんだか沸き始める。おぉ、こんなところでもクラフトビール・ムーブメント!

料理は、もちろんなかなか良い。

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あひるのローストや、

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順徳料理のミルクと蟹の炒めもの、

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五目野菜の南乳風味土鍋煮込みなど、どれも安定感あり。

さらにビール。

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ノースコーストのル・メルル・セゾン、

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スクリムショー・ピルスナー。

ちなみにノースコースト・ブルーイングは『クラフトビール革命』に出てくる88年組のなかの一社。

これでもかとビール。

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アンダーソン・バレーのオートミールスタウト。

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そして、ベルギーのシュフオブロン・ダブルIPAトリペル。

なんとなくクセのあるセレクションで面白い。

いわゆるローグとかシエラネバダとかっていうっ感じでもないし、ブリュードッグやミッケラー、みたいな感じでもない。

香港のこの種の店でワインが揃っているのは珍しくないみたいだが、こうやってビールを揃える店がもっと出てくると面白い気がした。

いまんとこ若旦那の趣味でボトルを置いてるだけっぽいけど、もう、思い切って樽生を置けばいいのにね。

あと、地元や大陸のブルワリーのビールを置いてもいい。

日本人好事家の勝手な意見ですけどね。

つづく、かも。
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by brd | 2016-05-09 22:36 | 香港 | Comments(1)

香港クラフトビア・ツアー <その3> HK BREW CRAFT / Beer & Fish / TIPPNG POINT

<その2>のつづき。

中環のホームブルーイング・ショップ、HK BREW CRAFTに行ってみた(香港はビールの自家醸造が合法)。

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ビルの上の方にあって、ちょっと場所がわかりにくかったので、たどり着くまで少し迷った。

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棚の奥は、ホームブルーイングのワークショップを行うスペースになってる。

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ホームブルーイング関連用品と、ボトルビールも置いてある。

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ボトルビールの棚。

日本の常陸野ネストや馨和もあった。

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スタッフに香港のブルワリーのボトルを並べてもらって撮影。

左からMOONZENgwei-loHONG KONG BEER

こっから何本か購入してみた。



やっぱりクラフトビールといえば、中環。

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かわいらしい概観のビアパブ「Beer & Fish」を発見。

ドラフトは4種。

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<その1>でブルワリー見学してきたヤングマスターのスパイス・ポーター、gwei-loのイングリッシュ・ペールエール、ローグのIPA、エピックのベルジャン・ストロング・ダークエール。

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こういうグラスで出てくる。

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鬼佬(gwei・lo)って広東語で「外人」とか「毛唐」(!)みたいな意味らしい・・・。

The Redefinitionとか言って、ここにいろいろ書いてある。



こんなとこにも寄ってみた。

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TIPPNG POINTというブルーパブ。

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ゲストドラフトの中の香港クラフトとしては(九龍)Nine Dragons Breweryがオンタップしてた。

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<その4>につづく。
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by brd | 2016-05-08 04:29 | 香港 | Comments(0)

香港クラフトビア・ツアー <その2> The Roundhouse Taproom / Q Club

<その1>のつづき。

中環のビアパブ、The Roundhouse Taproomへ。

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タブレットのメニューからあれこれ物色。

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Roundhouseのオリジナルビールや、

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香港のBlack Kiteや、

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上海のBOXING CATやら、

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北京の京Aなどの中華クラフトを中心に味わう。

ベルジャンセゾンに花椒とか、面白い。

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中華クラフト以外のオンタップは、ブリュードッグ、ミッケラー、スティルウォーター・アーティザナル、ローグとか、そういう感じ。

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フードはこういう感じのをオーター。

ビアパブの食事としては、ありがちな気がしたけれど、クオリティは悪くなかったと思う。

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ソースがいろんな種類あったりして。

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フレンチフライも。

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壁に貼ってあったコースターとか。

さて。

このRoundhouseの隣にあるこの「Q Club」というスーパーマーケットのビールの品揃えが、やたらとアメリカンなんですよ。

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外観は、一瞬おしゃれっぽく見えるんですが、中はほんとに普通のスーパーです。

冷蔵庫がこんなことに。

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ローグ、ラグニタス、フルセイルに、ソノマ・サイダー。

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バラストポイント、グースアイランド、アンカー、コナ。

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ドッグフィッシュヘッドとかもあった。

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アンカーのクリスマス用マグナムボトルも。

フツーに洗剤とかお菓子とか売ってるスーパーなんですがね。

Roundhouseに行ったら、話しのタネにちらっと寄るもよし。

<その3>につづく。
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by brd | 2016-05-07 00:26 | 香港 | Comments(0)

香港クラフトビア・ツアー <その1> Young Master Ales

昨年(2015年)末にわれら【美味しい世界旅行!】が(勝手に)催行した香港クラフトビア・ツアーの様子を、さくっと写真中心に紹介していきます。

全体的な印象としては、香港、けっこう盛り上がっていると思いました。

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まず、クラフトビール醸造所「Young Master Ales」のブルワリー見学。

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Young Master Alesは、香港島の端っこにある小さな島、鴨脷洲の、

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こんな工業ビルの一角にある。

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4階です。

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エレベータを降り、殺風景な廊下を歩いていくと、

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Young Masterの看板が。

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5種ビールテイスティングとブルワリーツアーで150HKD。

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テイスティングを行うタップルームはこんな感じ。

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窓の外は海で、気分が良い。

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タップはこんな。

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ライ・オン・ウッドと名づけられたライ麦のビール。

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木の棒のようなものは、オーク樽を使わずしてステンレスタンクに沈めておくだけでビールにオーク香つけるための器具。

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こちらは、ちょうどシーズン(2015年12月訪問)だったスパイシーなクリスマスポーター。

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シナモンやクローブなどなど、ビールに使ったスパイスの入った瓶を見せてくれた。

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テイスティングが済んだら、醸造施設の見学へ。

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見学ツアーは英語と広東語が選べて、所要時間は20分くらい。

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タップルームでビールをサーブしてくれた彼が見学ツアーのガイドも担当。

これから作るサワーエールに使うというライムの実も見せてくれた。

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別れ際、彼に『クラフトビール革命』献本。

日本語だから読めないけど、日本人が来たら宣伝してくれるって^^ 

お返しにということで、Young Master AlesのTシャツくれた。

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これがヤングマスターのTシャツ。

多謝!

<その2>につづく。
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by brd | 2016-05-05 22:41 | 香港 | Comments(0)

『クラフトビール革命』のおさらい

東京ビアウィーク2016に参加した「ECODA HẺMのクラフトビール革命 with 常陸野ネストビール」も大盛況のうちに終了。

本イベントの開催にあたり、翻訳書籍『クラフトビール革命』のおさらいを、翻訳者みずからFBにアップしました。

https://www.facebook.com/oishiisekairyoko/posts/593842944114509
https://www.facebook.com/oishiisekairyoko/posts/594219044076899
https://www.facebook.com/oishiisekairyoko/posts/594640537368083

上記テキストのアーカイブです。



「革命」なんて大げさなタイトルがついているこの本。

でも、おいしいものが社会を変えてしまったという、楽しい革命の物語なのです。

ここでは『クラフトビール革命』の概要から、「ECODA HẺMのクラフトビール革命 with 常陸野ネストビール」までの流れをささっとお伝えしますね。

<禁酒法、そして大量生産の時代に>

1920年、禁酒法施行。これにより、アメリカでは、ビール醸造所がほぼ壊滅してしまいました。それ以前は、ビールを手作りする醸造所が無数にあり、多くの人が近所の醸造所からビールを買って楽しんでいました。

流通も工業化も、今のように進んでいない時代。自然とそうなっていたのですね。

1933年、禁酒法がようやく廃止。その後、醸造所も徐々に復活したのですが、そのころには工業化の大きな波が押しよせ、流通手段も発達。力の弱い小さな醸造所は淘汰され、気がつくとビールは、大手企業の商品がほとんどになっていました。工場で大量生産された薄いビールがあたりまえの状況になってしまっていたのです。

と同時に、アメリカでは公害問題が悪化したり、かつて栄えた工業都市が荒廃してしまったり、都会の中心地もスラム化して危険地帯になったりと、人びとの生活環境が悪化していました。また、食品の大量生産化にともない、食事の味もイマイチに。人びとの健康にも暗雲がたちこめる状況となっていたのです。

<クラフトビール醸造所が4000軒を超えた>

二次大戦後の好景気のあと経済が下降していったアメリカ。過疎の村で、産業がすたれた中堅都市で、大都市のスラム街で・・・。あちこちにクラフトビールの醸造所がどんどん生まれました。

1960年代にたった一軒からスタートし、現在ではなんと4,000軒をこえています。

そんなクラフトビール醸造所に共通する理念は、なるべく地元産の厳選した材料を使った手作りビールを作ること、そして、地元に貢献し、地元とともに繁栄すること。

地元の生産者を育てれば、安全で質の良い食材が手に入りやすくなり、そうしてできた美味しいビールが評判になって人が集まるようになれば、街も活気をとりもどし、人々の暮らしも向上してビールをたくさん買ってくれる。そして人々は安全で質の高いビールで、美味と健康を享受できる。

これが、クラフトビール革命の真髄です。なんとも幸せな革命ですよね。

本書によると、これが成功し、周辺の地域をよみがえらせた醸造所がたくさんあるのだとか。

著者のブルックリン・ブルワリーの地元であるブルックリンのウィリアムズバーグも、醸造所たちあげ時は、バーが一軒しかない寂しい状態だったのが、今ではNY随一のお洒落エリアとしてにぎわっています。

<政治と経済、そして消費者の意識変革>

とはいえ、社会を変えるのに苦労はつきもの。

醸造所をたちあげて経営を成り立たせるだけでも相当に大変なのですが、初期の醸造所たちは不屈の精神で市場をゼロから拡大していきます。

さて、革命という大きな変化を起こすには、法律も変えなくてはなりません。

醸造所たちは協会などを結成して力を合わせ、ロビー活動などを慎重かつ粘り強く展開。法律の改訂に成功し、業界の成長をうながしていくのです。

また、少ないコストで最大効果をねらったマーケティング方法をあみだしたり、流通の方法を工夫したり・・・ありとあらゆる方法を駆使します。

このように、送り手側の血のにじむような努力があったことはもちろんですが、大きな変化が起きるにはその受け皿も必要です。

昨今のアメリカでは消費者の方も、地元を成長させることに熱心で、安全でおいしい商品を売ろうとする業者のものを特に積極的に買おうとする姿勢が強いそうです。

投資家も、クラフトビールの醸造所というと積極的に投資してくれる傾向が強いとか。

さらに、業界の情報を発信する出版社や、ネット業者もかなり効果的にビール情報を提供しているようです。

<江古田でも・・・>

そんなこんなで、1960年代にゼロから始まったクラフトビール業界も、今や日本のビール市場全体をゆうに上回る2兆5千億円規模! 毎年10%代の成長率でのび続けています。

クラフトビールが特に盛んなコロラド州ではなんと、醸造所の創業者が州知事になったうえに、その知事の名が今年の大統領選候補にあがるまでに。そのうちクラフトブルワー大統領まで誕生したりして・・・!?

ビールは、品質を高める技術は難しいながらも、数週間で製造できる意外に手軽な飲みもの。だから各地に普及しやすかったのかな・・? などと想像してしまいます。

しかし、著者も本書の巻頭でほのめかしていますが、同様の動きは、ビールのみならず、チーズ、パンなど、ほかの食品にも起きていそうです。

おいしいものを食べられて、地元もうるおって、健康になれて・・・いやあこんな楽しい革命はありませんよね。詳しいお話しは、ぜひ『クラフトビール革命』を読んでみてください!

さてそんなわけで、「ECODA HẺMのクラフトビール革命 with 常陸野ネストビール」では、わたしの地元・江古田を代表するベトナム料理店ECODA HẺMさんと協力。

店主・足立さんの故郷、茨城を拠点に、ブルックリンラガーも醸造する常陸野ネストビールさんもここに加わり、なんとなんと、お店オリジナルのクラフトビールを醸造することになりました。

本格的な上に、料理としてのレベルも高いECODA HẺMさんのベトナム料理。おなじみのベトナムや東南アジアの有名ビールといただくのも旅情豊かで楽しいのですが、手作りのクラフトビールとあわせてみると、味覚の世界がひろがり、深い満足感が味わえるのです。

言葉ではいい表しにくいので一度体験してみてください。エスニック料理とクラフトビールを合わせること自体、まだそれほど多くはないので、ちょっとした新しい味の世界を体験できるという感じです。

都内にしてはちょっと寂しい練馬区。ECODA HẺMさんのクラフトビールが人気になって、練馬区江古田の名物が増えたらいいな。アメリカのクラフトビール革命と比べると随分とささやかではありますが(笑)、「ECODA HẺMのクラフトビール革命 with 常陸野ネストビール」が成功しますよう。

Cheers!

翻訳者・和田侑子
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by brd | 2016-04-29 07:30 | Comments(0)

【ECODA HEMのクラフトビール革命with常陸野ネストビール】のFERMENT BOOKSTORE

東京ビアウィーク2016参加イベント【ECODA HEMのクラフトビール革命with常陸野ネストビール】も4/24までとなりました。

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本イベント内で、美味しい世界旅行!/ferment booksが出店した本の屋台〔FERMENT BOOKSTORE〕の様子です。

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こんな感じ。

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品揃えは、ECODA HEMの足立由美子さん関連本ほかベトナム料理、そしてベトナム関連本。さらに、『クラフトビール革命』をはじめとするビール関連本、その他、『味の形』などもおかせていただきました。

やっぱり、じっくり本を見てくれるお客さん、買っていただいたお客さんはビール好き、ベトナム好きのディープな方たちが多くて、お客さんとあれこれお話したり、情報交換などもさせてもらったり、いろんな交流が生まれました。みなさん、ありがとうございました。

さて、ベトナムの屋台感覚で、本屋をやりながら、ちょっと一杯いかせていただきます。

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常陸野ネスト、アマリロフレッシュ セッションIPAの生。

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赤米エールにセゾン・ドゥ・ジャポン。

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コムディア。

非常にイイ感じです。

ゆるゆる本の屋台をやりながら食事をしてたら、仲間がやって来てくれて、外の席にて春の夜空を見上げながら一緒にクラフトビール。その様子を見た通りがかりの人が入ってきて、一緒になってビールとベトナムおつまみで歓談の輪が広がる・・・そんなリラックスしたイイ感じの雰囲気が生まれました。

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FERMENT BOOKSTORE。

次なるおもしろ企画もあたため中です。
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by brd | 2016-04-24 11:11 | 東京のベトナム | Comments(2)

東京ビアウィーク参加イベント「ECODA HEMのクラフトビール革命with常陸野ネストビール」続報!

江古田のベトナム料理店「ECODA HEM」にて、東京ビアウィーク参加イベント「ECODA HEMのクラフトビール革命with常陸野ネストビール」が4/24まで続いております(火・水曜定休)。

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下が、イベントのフライヤーです。

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ECODA HEMのクラフトビール革命with常陸野ネストビールの後半戦は、HEMオリジナルのクラフトビール「酔っ払いベトナムコーヒースタウト」が注文できるそうです(売り切れの可能性あり。お店に要確認!)。

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これが、酔っ払いベトナムコーヒースタウト。

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ベトナムコーヒースタウト、練乳を入れてもおいしい

ECODA HEMオリジナルのベトナムコーヒースタウトに使用されているのは、ハノイの有名コーヒー店「Cafe Mai」で、お店のスタッフが選りすぐった豆だそうです。

Cafe Mai
https://www.facebook.com/maicafe1936/

他にも通常メニューや、常陸野ネストビール三種類とベトナムフィンガーフード三種類のペアリングコースも提供。

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いちおう、写真はイメージです。

どんなペアリングか、詳細はお店にお問い合わせを!

そして、4/23(土)には本の屋台「FERMENT BOOKSTORE」も出店予定です。ビールとベトナムをテーマに選書しております。

オススメ本は、

・『クラフトビール革命』 スティーブ・ヒンディ 著
・『バインミー ベトナムのおいしいサンドイッチ』 足立由美子 著
・『はじめてのベトナム料理』 ふだんのごはんとおつまみ、デザート 足立由美子,伊藤忍,鈴木珠美 著
・『わたしのベトナム料理』 有元葉子 著
 (※足立さんたちもこの有元さんの本を読んでベトナム料理に目覚めた、とか)

などなど。

先週のFERMENT BOOKSTOREは、こんな感じ。

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みなさん、ぜひ。
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by brd | 2016-04-19 09:24 | 東京のベトナム | Comments(0)

ECODA HẺMのクラフトビール革命 with 常陸野ネストビール

江古田のベトナム料理店「ECODA HẺM」のイベントに、美味しい世界旅行!/ ferment booksが参加します。

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ECODA HẺMのクラフトビール革命 with 常陸野ネストビール

4/9(土)、ECODA HẺMがベトナムフィンガーフードと6種類のクラフトビールのペアリングコースを提供します。

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予定されているビールは・・・

・ブルックリンラガー

・だいだいエール

・レッド・ライス・エール

・セゾン・ドゥ・ジャポン


上記、いずれも常陸野ネストの4種類にプラスして、

・こぶみかんとレモングラスのホワイトエール

・ベトナムコーヒーの酔っぱらいスタウト


ECODA HẺMオリジナルビールが2種類お披露目になります!

オリジナルビールはHẺMのスタッフの手によって、常陸野ネスト「手造りビール工房」で醸造されました。

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醸造所には、おなじみのフクロウマークの木彫りの看板が。

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小さめの釜にモルトを投入し、煮込んで麦汁を仕込みます。

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ビールに加えるベトナムコーヒーやハーブの用意も、念入りに。

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「こぶみかんとレモングラスのホワイトエール」「ベトナムコーヒーの酔っぱらいスタウト」の麦汁の味をみる。どんなビールになるか、期待の高まる一瞬。

さて、

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上の写真は、いつだったか姉妹店のマイマイでいただいた、ブルックリンラガー。

ベトナム料理に333やサイゴンビールもイイ感じですが、美味しい料理とクラフトビールをあわせると、やっぱり満足感が違います。

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以前、マイマイでいただいたベトナムフィンガーフード。見た目もかわいらしい生春巻き。

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ホタテのクリームチーズ乗せ。

今回はどんなお料理がクラフトビールとともにいただけるのでしょうか、ワクワクです!

美味しい世界旅行!/ ferment booksはイベントタイトルにも使っていただいた『クラフトビール革命』ほか、ビール関連書籍、ベトナム関連書籍を紹介する本の屋台「Ferment Bookstore」を会場に展開します。こちらもぜひ冷やかしに来てください。

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イベント詳細、申し込み詳細はこちらから

また、東京ビアウィーク2016期間中(4/15~4/24)には、常陸野ネストのビール3種類とベトナム料理のペアリングコースを提供するイベントも行われます。詳細はこちら
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by brd | 2016-04-06 08:18 | 東京のベトナム | Comments(1)


旅の食卓と食卓の旅。ferment booksより『味の形 迫川尚子インタビュー』発売中。姉妹ブログ【ワダ翻訳工房】もどーぞ。ツイッターは @oishiisekai @fermentbooks


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