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クアラルンプール : 代金は好きなだけ払えばいい? インド料理のアナラクシュミ

何年も前にサラ―ム海上さんが書いていたのを見て、行きたいなーと思ってたのだが、その後ずっと忘れていて、ふとKLで思い出したので行ってみたインド系ベジタリアンレストラン、アナラクシュミ Annalakshmi

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インドの慈善団体が経営。インドのチェンナイほか、マレーシアはペナンやジョホールバル、そしてシンガポールにも支店がある。

何より興味をひかれたのが、食べた人が好きなだけ払えばいい料金システム。食事代がドネーションあつかいなのだ。

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インド系の文化施設であり、社会支援も目的としている、The Temple of Fine Artsの1階でやっているのも納得。The Temple of Fine Artsは、音楽や舞踊や美術などインド系のいろんな催しをやっているようだ。次回はぜひ芸術関連のイベントに参加したい。

ともあれ、さっそく入ろう。

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ランチタイム終了の頃あいだったので、もう店内ガラガラ。われわれが最後の客。

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でも、通してくれた。

店内、けっこうフォーマルなムード。

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ブッフェ方式。

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店の人に聞いたら、なんと、ここのレストランはドネーション式じゃないらしい。なんだ、そうなのか。そんなやりとりを見て気をつかったのか、同行のラシディ君がランチブッフェの代金を全部払ってくれちゃって、いくらか教えてくれなかった。ま、そんなに高くはなかったと思うけど。

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ミールスのようにブッフェを自分で盛りつけてみた。

サンバル、ラッサムをはじめ、ライタに豆カレー、ほうれん草のカレーなど。さらにパパドや薄緑のチャトニをのっけたワダ。ごはんの真中にのってる黒っぽい唐辛子はカードチリ(唐辛子の塩ヨーグルト漬け)だろうか。

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同行者の盛りつけ。

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会計のとき、こんなのが売ってたから買ってみた。インド料理関係のミックスパウダーやピクルス系など。ブッフェはまあまあだったけど、こっちはわざわざ買うほどのもんでもなかった。

そして、さらに店の人によく訊けば、この階下に「アナラクシュミ・リバーサイド」という別の食堂があって、そこは好きなだけ払う方式の会計なんだとか。

もうこの時間はランチタイム終了だけど、カフェならやってるとのこと。

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せっかくだから来てみた。アナラクシュミ・リバーサイド Annalakshmi Riverside。

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ここのカウンターに並んで食事をもらい、好きなだけ払えばよい。テイクアウトもできるけど、それは定価だよと書かれてる。

ところで、なんで「リバーサイド」なのか? The Temple of Fine Artsの裏にはクラン川が流れていて食堂から見えるのだった。さっきのレストランは建物のエントランスからすぐの1階にある。そして、地下に下りて「リバーサイド」に入ると外に川が見える。てことは、斜面に建っているのかな?

ここでは、

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チャイと、ちょっと焦げたような香りがほっとさせるチェンナイ式コーヒー。

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あと、インドのお菓子類をいただいた。

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けっこう美味しくて、多少多めに払っておいた。

<2014年9月>

(よ)

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by brd | 2015-01-22 20:12 | マレーシア | Comments(0)

渡辺玲さんのインド料理&音楽トークイベント「INDIA WILL ROCK YOU 2」に行ってきた!

すでに、ひと月ほど経ってしまったけれど、下北沢「カフェ・キック」で行われた渡辺玲さんの料理&音楽トークイベント「INDIA WILL ROCK YOU 2」に参加したので、そのときの模様を記しておきたい。

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看板がナイス。

このイベント、タイトルの通り2回目の開催だが、第1回の様子も本ブログ【美味しい世界旅行】でリポートしているので、よければどうぞ。

さて、まずは料理から。

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写真のお皿、時計9時の位置から時計と逆回転で紹介していくと、まずムングダールのカレー、にんじんの入った(渡辺さんいわく「ハードルの高い」)サンバル、じゃがいもといんげんのサブジ、とても甘い仕上がりのサツマイモとカボチャのクートゥ、マスタードシードやココナッツファインの入った南インド風のキーマカレー、チキンチェティナッド(渡辺さんのチェティナッドの文化の説明が非常に興味深かった)、最近大人気でレシピの需要が高いというアーンドラチキンピックル、ヒヨコ豆のスンダル、そして真ん中がターメリックライス。

さらっとしたダールカレーから、辛さも塩気もがっつりくるチキンピックルまで、さまざま表情豊かな料理を一皿で味わうのはとても楽しかった。

渡辺さんいわく、インド料理通のあいだで「次はこれがブレイクするのではないか」と言われているのが、チキンチェティナッドだそうだ。

南インドのタミルナドゥ州といえばベジとばかり思っていたが、チェティナッド地方はジビエまで食べる肉食文化で味つけも濃い目だという。当地のチェティアール商人たちは貿易商として財をなした人々らしいが、そういえばミャンマーのヤンゴンに行ったとき、現地でミールス風のインドカレーを「チェティ・タミン」と呼んでいたのを思い出した。「タミン」はミャンマー語で「ごはん」の意味だが、「チェティ」は「チェティナッド」だろうか? そんな疑問も浮かんだが、質問しそびれてしまった。

今回の「INDIA WILL ROCK YOU 2」は、渡辺さんの主催した「インド食べ歩きツアー2014 マハーラシュトラ~ゴア編」の報告会も兼ねており、会場には同ツアーに参加した人たちも多かった。暇も先立つものもない(よ)は、ただただ羨ましい限り。

道中の料理はどれも美味そうで興味深く、さすが渡辺さんのツアーと思ったのは、移動中の機内食にまで注目していること。

(よ)もインド旅行で経験があるけれど、エアインディアでも東京発よりバンコク発、さらにインド国内線などの方が機内食のインド料理は本格的。

今回の報告会でツアーに参加した方たちが特に沸いていたのが、オーランガバード行きのジェットエアウェイズ機内で出たサンドウィッチ。え?サンドウィッチ?と思うのだが、パンにはさんであるキャベツのマヨネーズあえに刻んだ青唐辛子と香菜が大量に入っていて、目からウロコ的な美味だったそうな。うーん、そう言われると食べてみたい。

ツアー最後に寄ったデリーにあるムガル料理レストラン「カリムホテル」は(よ)も行ったことがあり、ああ、また食べたいな~と個人的体験を反芻しながらツアー報告を聞いた。

渡辺さんのツアー、いつか参加してみたいものだ。

さて、ツアー報告の次は、お待ちかねのロックコーナー。

今回は、インドに関係するロックというよりは、渡辺玲さんの極私的音楽観をのぞき込むような選曲だった。

以下、渡辺さんのブログから、当日のプレイリストをコピーアンドペースト。

①ジェシ・エド・デイビス『ウルル』1曲目 「レッド・ダート・ブギ・ブラザー」
②キング・カーティス『ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト』の10曲目 「マイ・スイート・ロード」
③ロバート・ジュニア・ロックウッドほか『ブルーズ・ライヴ』ディスク1の1曲目 「スウィート・ホーム・シカゴ」
④イギー&ストゥージズ『ローパワー(スペシャル・エディション)』よりディスク1の7曲目 「シェイク・アピール」
⑤ダムドのデビューアルバムの1曲目 「ニート・ニート・ニート」
⑥ロキシー・ミュージック『アヴァロン』の3曲目 「アヴァロン」
⑦暗黒大陸じゃがたら『南蛮渡来』の1曲目 「でも・デモ・DEMO」
⑧ディック・リー『マッド・チャイナマン』の3曲目 「ムスタファ」

アメリカンインディアンのジェシ・エド・デイビスであるとか、ジョージ・ハリスンのインドに対する思い入れたっぷりの「マイ・スイート・ロード」をキング・カーティスのバンドでソウルフルに歌ってしまうビリー・プレストン。さらにパンクといったらピストルズやクラッシュではなく渡辺さん的にはダムドであるとか、ちょっとひねりのある、いや、はっきり言えば、ちょっとひねくれた(失礼!)渡辺さん的音楽センスがうかがえる、かなり興味深い選曲。

さらに毛色変わって、インド風味の「ムスタファ」を演ってる中華系シンガポーリアンのディック・リー。(よ)的にはまったくノーチェックだった音楽だけれど、なるほどなあと思う感覚アリ。

これは、音楽における渡辺玲的「マサラ・フィーリング」なんじゃなかろうか、なんて思ったり。

そして、渡辺さんと同時代かつ日本の「マサラ」なポップミュージックといえば、じゃがたら。

意外なところでは、ロキシーミュージックの「アヴァロン」をゴアのタクシー運転手に聴かされて意外に堪能してしまったというような思い出ばなしなども、なんか非常にわかるような気がして、さらに、後から効いてきそうなエピソードで面白い(渡辺さんのHPに詳細アリ)。

渡辺さんが元バンドマンで音楽業界に長かった話はわりと有名だが、会場の「カフェ・キック」の店長さんは、渡辺さんの音楽時代をよく知る仲間なのだそうだ。

その店長、なんと店で行っているジャムセッションに渡辺さんをギタリストとして誘っているとか!

さらに当日、偶然に(よ)の隣に座っていたのが、かつて渡辺さんがやっていたバンドのファンだった人で、いろいろと当時のエピソードもうかがってしまった^^

そんなわけで「INDIA WILL ROCK YOU 2」、渡辺玲さんのファンとしては相当に興味深いイベントであった。

3も楽しみ。

(よ)

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by brd | 2014-11-13 02:54 | 東京のインド | Comments(0)

シク教のリベラリズム 映画『聖者たちの食卓』+渡辺玲さんトークショー

もう先月末の話になってしまったが、渋谷のアップリンクで映画『聖者たちの食卓』を観た。

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その後、同劇場で行われた渡辺玲さんによる関連トークショーに参加。

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インド・パンジャブ州のアムリットサルにあるシク教の総本山「黄金寺院」では、毎日10万食の食事があらゆる人たちに無料で振舞われている。映画は、ボランティアたちによる調理風景から、食事、後片付けにいたるすべてをセリフやナレーションなしで淡々と追う。

ドキュメンタリーに分類される作品だとは思うが、インド的時間感覚を意識したかのような美しい映像そのものに陶然となる。

アムリットサルの「黄金寺院」では、誰もがただで食事にありつける。

どんな階層に属していても、老若男女、外国人でもウェルカム。

渡辺さんによれば、このリベラリズムはシク教の精神に由来しているそうだ。

あらゆる人間が同じ場所で共に食事するというのは、ヒンズーやイスラムでは、なかなか実現しない話であることは、なんとなくわかる。

宗教の話からさらに、北インド料理において、パンジャブ的テイストとイスラム的テイストの違いなど(ナンが細い/丸い、とか)、渡辺さんらしいマニアックな話題にもなったりして、単に映画の補助線というだけでない、いろんなインスピレーションをいただいた。

ところで、この映画、謎がひとつある。

出される料理はダールカレー、野菜のサブジ、ライタ、チャパティなのだが、映画のポスターやチラシにも掲載されている、あの人間ひとりがすっぽり入れる巨大な鍋でカレーやサブジを調理している様子がほとんど出てこないのだ。

一方でチャパティを焼いているシーンには、かなりの時間を割いている。

カレーを頻繁に作るようなインド料理好きにとっては、あれ? という感じ。

トークショー後、渡辺さんにその件について質問してみた。

謎が解けたか、否かは、ここでは書かないが、やっぱり気になるポイントだ。

それにしても、誰もが金など払わずに食事できることが常に保障されているという、これほどプリミティブで本質的な助け合いが他にあるだろうか。

渡辺さんの言葉で印象に残っているのが、食べている人たちの顔についてのコメントだった。

みな、とてもいい顔をしている。

よくある心理として、食べものをほどこされたりすると、人はなんとなく伏し目がちになったりするものだが、黄金寺院の人々は実に堂々と、平然と、気持ちよく食事を平らげる。

渡辺さんはそれ以上のコメントはしなかったが、言わんとしていることはわかる。

東京にも無料の食事を振舞うシク教寺院があるらしいので、こんど訪問したいと思う。

(よ)

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by brd | 2014-10-22 03:38 | 本や映画 | Comments(2)

LOVE INDIA 2013 極私的レポート

去年に引きつづき、今年もLOVE INDIAに参加してきた。ちょっと時間が経ってしまったけれど、極私的レポートを。

今年はターリーが二種類。それぞれ料理名と担当シェフ(敬称略)を時計回り→真ん中のライスの順で。

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ターリーA。

ラムコフタ(石崎厳/中村屋)
ジャーキーチキンパニ(藤井正樹/アンジュナ)
ホタテ・モイリー(沼尻匡彦/ケララの風Ⅱ)
トマト、キャベツ、根菜類のカレー(柴崎武志/シバ)
枝豆カレー(田村修司/カッチャルバッチャル)
カレーリーフライス(田中源吾/デリー)

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ターリーB。

ポークカレー(諏訪内健/moona)
ホワイトチキンカレー(伊藤一城/スパイスカフェ)
プローンバルチャオ(山登伸介/シバカリ―ワラ)
いろんな野菜のクランブ(増田泰観/シタール)
ムング・ダール・サンバル(渡辺玲/サザンスパイス)
サフランライス(田中源吾/デリー)

先日、ご自身のイベント「INDIA WILL ROCK YOU」を本ブログで紹介させていただいた渡辺玲さんのカレーは、ムングダールのサンバル。

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INDIA WILL ROCK YOUでもサンバルが出たけれど、あちらはトゥールダールを使った現地の安食堂風のサンバル。こちらはムングダールを使ったもので、より料理時間が短くさらっとした味わいになるという。ドーサなどのティファンにもムングダールのサンバルがよいそうだ。

渡辺さんは、去年のLOVE INDIA 2012でもほうれん草の入ったダールカレーを担当されていた。もともとベジのイメージが強い人ということもあり、トークショーではなかば冗談交じりに「ベジばかりと思われてはなんなので、来年はガッツリ肉料理でも」とおっしゃっていたのだが、公正なるあみだくじの担当料理決めで今年も見事に豆料理担当に決定。また豆カレーを作ることになったと、笑いながらおっしゃっていた。

突然話が脱線するけれど、渡辺さんのブログでこの「美味しい世界旅行」をご紹介いただいたのは、ものすごく嬉しかった!

【ナイスなブログ『美味しい世界旅行』に下北沢イベント『インド・ウィル・ロック・ユーINDIA WILL ROCK YOU』レポート掲載】

さらに、自作リトルプレス“ferment”に掲載した、タイ料理の下関崇子さんインタビューのなかで渡辺さんに関しての言及があるので、LOVE INDIAの会場で一部お渡ししたら、即その場で、(よ)の目の前でお読みになり始めたので、めっちゃ緊張した~! 面白いとコメントしていただけたので、よかった。

さて、今回は前回2012年版にあった踊りや音楽のステージがなく残念だったが、トークショーに関してはますます充実。いくつかのテーマを立て、それぞれのテーマに関して発起人の水野仁輔さんがシェフ3人に訊くというスタイルで、面白かったのは、「たんどーる」の塚本善重さん、「スパイスカフェ」の伊藤一城さん、「ヘンドリクス」の若林剛史さん出演の「新インド料理」の回。

司会の水野さんとスパイスカフェ伊藤さんの共通点は「これから新インド料理探求のため、ロンドンへ行く」ということ。

まえに伊藤さんにロンドンのインド料理店「シナモンクラブ」の本を見せてもらったことがあるけれど、インド系の人たちが多いロンドンで、インド料理が独自の発展を遂げていることは想像に難くない。

外国人である日本人が、外国の日本で、これだけ熱心にインド料理を作り、食べ、熱く語りあう。これって、なにかすごいことだなと思うことがよくある。かつての宗主国であるイギリスと日本では状況が全然違うと思うけれど、インド国外で発展するインド料理という点において、きっと日本人にも大きな刺激と示唆を与えてくれるはず。

イギリスと聞くと、食の後進国のようなイメージがあるけれど、それも昨今変化しているみたいだ。

インド料理の文脈ではないけれど、デザインとアートとファッションをあつかうハイブロウな情報誌『QUOTATION』が、最新号でロンドンの食を特集している。

まだちゃんと読んでないが、巻頭の記事に「食こそ21世紀のロックンロールなのかもしれない」とあった。ロックンロールとは、一時代のカルチャーを牽引した、もっとも突出した表現ジャンルという意味で言われているわけで、これからは食がすべてを引っぱっていく時代が来るのかもしれない。

話を料理にもどすと、当日の伊藤さんのカレーは「シチュー」というカテゴリーの一品。

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南インドにココナッツミルクをベースにした「シチュー」と呼ばれる白いカレー(?)があって、そこから発想した伊藤さんオリジナルの鶏料理。添えられたライムがよいアクセントになっていた。

そうそう。

会場で、伊藤さんの出したスパイスカフェの新商品もゲット。

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「インド風食べるラー油」とでも言うべき「CRISPY SPICE OIL」と、なんとチキンピックルの瓶詰め!

レトルトのラッサムにも衝撃を受けたけど、こんどは瓶モノかー。さすが。

今年のLOVE INDIAも楽しかった!

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これだけのインド料理人たちをたばねて、これだけ広がりのあるイベントを実現できる水野仁輔さんはすごい。

このまえ別イベントでお会いしたら、シャツがユニオンジャック柄だった(笑)。

もう気分はロンドンなんでしょうね~。

きっと新たな息吹を日本のインド料理界に持ち帰ってくれるに違いない。期待しています!

<2013年10月>

(よ)

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by brd | 2013-11-18 08:21 | 東京のインド | Comments(5)

渡辺玲さんトークライブ「INDIA WILL ROCK YOU」に行ってきた

下北沢カレーフェスティバルの関連イベントとしてCafe KICKにて開催された、渡辺玲さんのトークライブ「INDIA WILL ROCK YOU」に行ってきた。

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インドとロックがお題というわけで、レッド・ツェッペリンTシャツで参戦してみたら、まわりにもフーとかバニラ・ファッジなどロックTの人が、ちらほら^^

スティーブヒレッジにトラフィック、ジミーペイジのインド風味なアコースティックギターやら、レッチリ、パキスタンジャズ、一般のロックファンには評判が悪いというデレク・トラックスのインド系の楽曲、ミックジャガーとA.R.ラフマーンのスーパーへヴィまで、インドと接点のあるロックを渡辺さんの解説でたっぷり堪能。

洋楽だけでなく、日本が誇るクレイジーケンバンドの「シャリマール」もしっかりプレイ。この曲、インドじゃなくて日本に来たパキスタン中古車商の歌なんだけど、ラマダン明けに電話するって言って結局それっきり、みたいな歌詞がリアルで聴くたび笑える。

個人的に「ああなるほど」と納得したのは、エコー&ザ・バニーメン「カッター」のイントロの弦がL.シャンカールのプレイするバイオリンだったという事実。知らなかった…。中学か高校のときよく聴いてた、あのサウンド。自分がどういうものに反応してきたか、何かと何かがつながった感覚。

渡辺さんの話を聞きながら思ったのは、60年代的なヒッピーカルチャー経由のインドと、その一方で80年代ニューウェーブ的なインド(エスノ全般?)も存在したりして、ロックのなかのインド文脈もさまざまであろうということ。

当日プレイされた曲のリストが渡辺さんご自身のブログに掲載されているので、興味のある方はご参照を。

用意されていたようだがプレイされなかった、ジョン・マクラフリンとザキール・フセインのシャクティも、ちょっと聴きたかった。ザキール・フセインといえば、個人的にはビル・ラズウェルと組んだバンド、タブラ・ビート・サイエンスも大好きだ。さらに言えば、渡辺さんのクッキングスタジオ「サザンスパイス」の壁にジャケットが飾ってある細野晴臣さんの「コチン・ムーン」の話はひとつも出なかったなあ。

などなど…。

渡辺玲さんのレコード会社時代の話も、もっと詳しく聞いてみたいところ。

イベントでは、もちろん渡辺玲さんのインド料理も提供された。

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スターターに、アーンドラチキンピックルにカプシカム(ピーマン)フライ。唐辛子はカードチリと呼ばれるチリの塩ヨーグルト漬けだという。はじめて食べる物だ。辛くてしょっぱい。ビールがすすむ。何度かおかわりしてしまった。

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メインはバスマティのターメリックライスに、トゥールダールの安食堂風サンバル、カレーリーフの入った南インド風のキーマカレー、トマト多目のチキンペッパーフライ、どじょうインゲンのポリヤル、カリフラワーフライ。

インドとロックの接点を探るのは楽しい。

そして、渡辺玲さんのインド料理に対する厳密さは、マニアックなロックファンの音楽に対する厳密さにも、一脈通じるものがあるような気がする。

さらに言うと、今回のイベントとは関係ないポイントだけれど、ひそかに(よ)がリスペクトしているのは、渡辺さんの料理家らしからぬ社会や政治に対する歯に衣着せぬ辛口の発言。

これこそ、ロックンロールだ!

カレーやロックを楽しめるのも、まともな社会があってこそ。

これから日本はどうなっちゃうんですかね、渡辺さん!

もし、(よ)が渡辺玲さんの著書を自由に作っていい編集者の立場だったら、本のタイトルはもう決まっている。

India, Curry & Rock’nRoll!!!

<2013年10月>

(よ)

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by brd | 2013-10-25 09:45 | 東京のインド | Comments(4)

カレー&スパイス伝道師・渡辺玲さんのサザンスパイスでプライベートディナー その2

渡辺玲さんのサザンスパイスでのプライベートディナー。

その1のつづき。

今回のメインカレーは以下のとおり。

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キッチン前のテーブルにセッティングされたのは、ターメリックライス、南インド風ブラックペッパーのきいたチキンカレー、サンバル。

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チキンカレーの鍋。

メニュー名としては「チキン・ペッパー・フライ」というのが正しいのだとか。ただ、フライといっても揚げものやフライパン炒めではなく、この場合、黒胡椒のきいた濃厚グレービーのチキンカレーを意味する。

胡椒のピリッとした風味が鶏肉とマッチして、とても美味しい。ここまでかなりの品数で、実はけっこうお腹にたまってきているのだが、ターメリックライスにかけて食べると、ごはんがすすむすすむ。美味しいチキンカレーのイメージとして脳裏に定着しそう。

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サンバル。

南インドのミールスの基本は、このサンバルとラッサム。

今回のサンバルは、ナスとパプリカが入って、仕上げにギーも加えたリッチな仕上がり。豆のカレーに油を合わせると、なんとも言えないコクというか、旨味のような濃厚さが出て美味くなる。渡辺さんのレシピで初めてムングダルカレーを作ったとき、仕上げにバターで熱したクミンをジャッとかけた、そのあとの味わいの変化に驚いたけれど、あれと同じ効果が出ているのだろうか。

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ラッサム。

本場と同じ、さらさらの仕上がり。

よく、ラッサムはインドの味噌汁だとか、ラッサムをかけてライスを食べるのはお茶漬けのようだ、みたいな言われ方をするが、渡辺さん曰く、ライスと雑炊的に煮合せる「ラッサム・ライス」というのもあるらしい。これもリクエストさえあれば再現していただけるとおっしゃっていたのだが、食べたり、話をお聞きしたり、取材したりの間に、ついついお願いするのを忘れてしまった。残念。

サンバルとラッサムの違いがあんまりないような店もある、と渡辺さん。たしかに、そういうミールスを東京で何度か食べた記憶がある。

ミールスの食べ順は、ダール→サンバル→ラッサム。

つまり、濃いカレーから、薄いカレーへ、である。

これで、カレーは終了。

以下、メインのカレーの付けあわせ的にいただいたインド風の炒めもの。

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ゴーヤーのマサラフライ。

ゴーヤーは種と綿つきで炒めるのがポイント、種がカリカリして美味しい。これは渡辺さんの『カレーな薬膳』にレシピが掲載されていて、わが家でも夏になると頻繁に作る一品。

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カリフラワーガーリックペッパーフライ。

南インドの炒め物だがココナッツファインが入らないからポリヤルではない。かといって、北のサブジとも違う。料理名の言語表記は、cauliflower mulugu peratuであると渡辺さんにのちほど教えていただいた。原語表記がわかると日本語以外のページが検索できるので、ネットで得られる情報がひろがる。

などなど、料理の説明をお聞きしていたら、高橋幸広さんの歌声が。

けっこうファンには知られているが、渡辺玲さんは、もと音楽業界でお仕事をされていた関係でロックに詳しく、もちろんインド音楽にも造詣が深い。だから、サザンスパイスにはそういう感じの音楽がずっと流れており、料理の間に渡辺さんご本人がCDを選んで、音は途切れない。

そんななか、日本語の歌が。しかも幸広。

これなんだろう、と思って記憶をたどれば、そうそう、サディスティックミカバンドの『天晴』というアルバムだった。

これ懐かしいですねー、と思わず言うと、料理の説明とまったく同じ調子で「桐島かれんを起用した第二期ミカバンドですよね。かつてのファンからはイメージが違うとかなり批判されたんですが、いま聴くと、けっこうイイんです」とのコメント。思わず微笑んでしまう。

桐島かれんさんといえば、参院選には弟の桐島ローランドさんが立候補していたのだった。そうだ、まさにこの日は、あの参院選の当日だったのだ。脱線ついでに書いてしまうけれど、渡辺玲さんのFBでの政治関連のコメントにはかなり大賛成なことが多いので、そのうちそういうお話もしてみたいと思っている。脱線終了。

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カードライス。

ちょっと変わったものを、ということで最後のシメは、ヨーグルトご飯のカードライス。本来は白いごはんで作るのだが、今回は炊いてあったターメリックライスで再現していただいた。

ご飯にヨーグルト、というと日本人はギョっとする場合が多いけれど、ヨーグルトの酸味に少々の生姜がきいてアクセントになり、たしかに食事のシメにふさわしい。口内も胃もスッキリするイメージ。

作り方は、まず最初にライスと牛乳を合わせて米粒をつぶすようにこねまぜてなじませてから、ヨーグルトや生姜などを加えて仕上げるのだとか。

思うに、ごはんとヨーグルトはさておき、ごはんとミルクの組み合わせは意外に多い。インドのキールや、フランスのリ・オレなどは甘いミルク粥のようなものだし、そういえば北海道出身の父からは、子供のころ、ごはんに搾りたての牛乳をかけて食べていたという話を聞いたことがある。

カードライスには、ラッサムをかけて食べても美味しい。

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最後に、チャイ。

参加者がチャイに入るスパイスは何かたずねると、生姜とカルダモンのみ、だそうだ。

イメージでは、シナモンとクローブが入る気がするけれど、普通は入れないそう。

インド人にとってシナモンとクローブは外来のイメージがあって、あまり上等な部類のスパイスではないらしい。とくにシナモンのシナ=中国なわけで、インド由来のものではないのである。

やはりインドにも中華思想的なものがあって、そもそも外国人はアウトカーストなのであり、やはりインド人にとってはインドが一番なのだ。

ふと、思う。こうやって日本人がインド料理をマニアックに追求している姿を知ったら、当のインド人はどう思うのだろう。

話を戻すと、逆にカルダモンはとても大切にされているスパイス。

たとえば客をもてなすときにカルダモンを全員のチャイに入れたりする習慣があるそうだ。各々のカップにはカルダモンが一粒ずつ。これで客人を丁重にもてなしているというメッセージになるそうである。

そのほか、チャイの紅茶にはアッサムの安価な「ダスト」が一番だとか、東のカルカッタへ行くとベトナムコーヒーのようにコンデンスミルクを使ったチャイが存在するなどなど、チャイの時間も渡辺さんのお話は尽きない。

いつしか話題は著書執筆にまつわるエピソードや、出版関係の話題やら、共通の知己であるライターや編集者の話、さらにちょっとここには書けない裏話系のエピソードも飛び出して(笑)、とても楽しかった。

食べきれなかった料理は各自ジップロックにつめて持ち帰らせていただいた。

で、翌日のランチは、「サザンスパイス弁当」だったのだが、ん?

これまた美味い!

なんとも説明しがたい、前の晩とは違った美味しさがこみあげてくるのだった。

2日目のカレー、というが、もちろん基本的に作りたてのほうが料理は美味しいはず。職場環境で本格インド料理を味わうギャップから、そう感じるのだろうか。

不思議だ。

<2013年7月>

(よ)

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by brd | 2013-08-04 18:50 | 東京のインド | Comments(4)

カレー&スパイス伝道師・渡辺玲さんのサザンスパイスでプライベートディナー その1

カレー&スパイス伝道師・渡辺玲さんのキッチンスタジオ「サザンスパイス」で、渡辺さんのプライベートディナーを主催した。

まず、一品目は

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アルチャナチャット。

インド風の豆サラダで、チャナダル(ひよこ豆)、ジャガイモ、大根、にんじんなどを、チャットマサラで味つけしてある。チャットマサラとは、未熟マンゴーの粉末と硫黄の香りがする岩塩などを合わせたミックススパイスだ。

全体に柔らかくなり過ぎないよう火を入れた食材のポリポリした歯ごたえが楽しく、次の料理への期待感がいやがおうにも高まってくる。

さて、このプライベートディナーの参加は今回で2回目。

まず最初に、渡辺さんのプライベートディナーとは何かを説明しておいた方がよいかもしれない。

いつもは渡辺さんの料理教室が開かれている、ここ西荻窪のサザンスパイスでは、教室がお休みの日に、渡辺さんご自身が作る料理を食べることでインド料理を学ぶ、いわば“食べる料理教室”を有志の集まりで主催できるのだ。

前回の様子は、こちらでリポートしているので、よろしければご一読を。

上記リンクの会に参加して味をしめ、なんとかあの素晴らしいディナーをもう一度、と渡辺さんにラブコールを送り続けた結果、各方面から引っ張りだこで多忙をきわめる渡辺さんになんとかスケジュールをやりくりしていただき、今回の会の実現となった。

ありがとうございます。

そもそも店を持たない渡辺さんの料理を味わう機会というのは、とてもレア。まれにインド関連のイベントで渡辺さんの料理をいただくチャンスもあって、そのスペシャルな美味しさのファンになった自分としては、こうして渡辺さんがこしらえるフルコースディナーをゆっくりいただける体験なんて、もう夢のよう、と言ったら言い過ぎかもしれないが、もう前日からニヤニヤドキドキ、不思議な多幸感につつまれながら西荻窪までやってきたのだった。

さまざま考えた結果、渡辺さんには「ちょっと珍しい感じの料理を取り混ぜてください」とだけ事前リクエスト。北か南か、も言わずにおいた。あとは、ぜんぶお任せである。

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アーンドラチキンピックル。

つまり、アーンドラプラデーシュ州風の鶏肉ピクルス。

インドではマンゴーやレモンのピクルスを料理のつけあわせにしたりする。ピクルスといっても「酸味の強いスパイス漬け」のようなもので、けっこう辛さもあり、ヨーロッパのそれとは別もの。瓶詰めも市販されていて、自宅の冷蔵庫にはシンガポールで買ってきた「レモンピックル」を常備。カレーに添えて楽しんでいる。

そして、なんとインドには鶏肉のピクルスまであるのだった。

このあたりがインド料理の醍醐味。「肉のピクルス」なる新たな概念を知ってしまうと、インド料理は掘り下げればさらに未知なものがありそうだ、と想像がふくらむ。いや、そうに違いない。

ところでピックル、インドでは複数系の「ピクルス」ではなく単数形の「ピックル」で呼ぶのが普通。このチキンピックルは、炒めた鶏肉をマスタード・シードなどのスパイスとレモンで一晩ほど漬け込むのだそう。

この種のマニアックな料理を取り入れる店も増えてきており、つい最近も都内のインド料理店でチキンピックルに遭遇したけれど、日本ではなかなか出会えない料理には違いない(渡辺さんのレシピはそのお店のレシピとは異なる)。リクエストに応えてくださっているのがわかり、とても嬉しい。

食べてみると、辛さと酸味と肉の旨味が重なり食欲をそそる。スパイシーチキンマリネ、みたいなイメージか。鶏肉の冷前菜。いや、前菜にしてはけっこうなボリューム感だ。お酒もすすむ。

お酒といえば、プライベートディナーの飲みものは各自持ち込みが原則。今回参加のみんなに案内を出すとき「ワインを持ち込む予定の人は、このページを見ると楽しいかも」と、渡辺さんが出ているサッポロのワインのページを紹介したら、ワインの持参率が高くなってしまった(笑)。

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都内の某カレー店に勤務の参加者は、メドックマラソンに参加するほどワイン好きの奥さんに、インド料理に合いそうなワインを選んでもらったそうな。それが上のボルドーの赤。シャトー・トゥール・カロン'09。ほどよい甘味と果実味とスパイシーさもあり、誰でも飲みやすそう。なるほどカレーにもマッチしていた気がする。

別の参加者は、ポルトガルワインの「ヴァスコ・ダ・ガマ」スパークリングの赤を持参。ヴァスコ・ダ・ガマといえばインド航路の発見というわけで、とてもオシャレなチョイス。実際、赤のスパークリングはスパイシーなアジア料理に合う。夏のイメージだ。

そういえば、前にランブルスコ+タイ料理をやってみた。非常にイイ感じだった。

いま自然派ワインに興味があるわが家からは、ル・フェルム・ド・ラ・サンソニエール プティ・ルージュ2011を。有機な味わいは、インド料理に合うような、そんな気もする。

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バーミセリウプマ。

南インドの軽食、ティファンの一種。あまりインド料理を知らない人にしたら、インドに麺料理があるなんて、これまたけっこう意外かもしれない。

マスタードシードのアクセントや、カレーリーフの香りがなんとも南インド的な感じがする。

調理法だが、バーミセリはまず乾燥した状態で炒めて、具と一緒に蒸し煮にするそうだ。

このバーミセリウプマに合わせるのが、

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トマトチャトニ。

チャトニというのは、日本でいうチャツネのこと。カレーやティファンに添える薬味のような存在だ。今回のトマトチャトはトマトにココナッツや香草もあわせてミキサーにかけてある。

これを、バーミセリウプマにかけて食べる。

うーん、南インド!

やっぱりカレーリーフの香りと、ココナッツのニュアンスだろうか。自分としては強く南インドを感じる、というか、南インドへの旅の記憶が呼び起こされる。

さきほどのチキンピックルは、このバミセリウプマに添えて食べてもよいそうだ。

自分のインド料理遍歴を考えると、そもそも南インドの「ティファン」なるカテゴリーがインド料理にあることを教えてくれたのが渡辺さんの著書だった。もっと言えば、インド料理というのは北と南で大きく違う、いや、広大なインドは各地に料理のバリエーションが無数にあって面白い、その認識自体を与えてくれたのが渡辺玲さんだったのである。

はじめてインドを訪れ、タミルナドゥ州へ向かったときのガイドブックは渡辺さんの『ごちそうはバナナの葉の上に』だった。

その流れで、なぜプットゥ(ケララ州名物のティファン)って、あんなにモロモロ崩れるんだろう、という話をしていたら、渡辺さんのキッチンにプットゥメイカーがあった。写真を撮らせていただくのを忘れてしまったのだが、こんな形の器具

変形したエスプレッソマシンみたいで不思議だ。上の筒のなかに材料のココナッツと米を入れて、下からの蒸気で蒸しあげるのだろう。この大それた器具で、たった1本のプットゥしかできないのも、ちょっと笑える。と思ったら、2~3本できるのもあるそうだ(リンクは渡辺さんのブログから引用させていただきました)。この器具の形も独特。面白い。

なんでわざわざ筒状に蒸すんだろう?

参加者の誰かが「むかしは竹筒で蒸していたんじゃない?」というと、渡辺さんが「そうなんでしょうね」とおっしゃっていた。

今回のメンツは、ブックデザイナー、フードアナリスト、タイ料理研究家、カレー店勤務、翻訳家、編集者などなどの8名で、みんな料理関係の話題ならなんでもござれ。

フードアナリストの女性は、偶然にも数日前に渡辺さんとお仕事を一緒にされていたそうだし、サザンスパイスに置かれていた渡辺さんの著書巻末の出版社自社広告にタイ料理家の方の著書が掲載されているという偶然まで発覚。

カレー、インド、アジア。

こういうキーワードで、みんなどこかでつながっている。

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パオバジ。

おお!これは存在は知っていたが、いつか食べたいと思っていたムンバイの名物料理ではないか。

マッシュポテトとトマトソースをあわせたようなものを、ナンなどではなく西洋式のブレッドにつけて食べる。現地ではかなりオイリーなパンが出てくるというが、ここでは普通のバゲットで。

これはメンバー全員に大好評!

たしかに未知なるインド料理の味というより、なにか食べなれたスナックのよう。すぐになじんでくる。ムンバイでも庶民的な扱いの一品だそうだ。たしかに、嫌いな人が少なそうな定番素材であるマッシュポテトとトマトソースの組み合わせは強力。

ギーをたっぷりつかってあるそうで、スパイスはカイエンペッパーとガラムマサラくらいだとか。けっこうシンプル。トッピングされた生タマネギが味わいのよいアクセントになっている。

もちろんカレーのカテゴリーには入らないような気がするし、ティファンでもない。メンバーからは「アメリカ料理でマッシュポテトにグレービーソースをかけて食べるのがあるけれど、それを思い出した」などの声も。ちょっと面白い。

パオ=パン、バジ=野菜、のことだそうだ。「パオ」はどこか中国語を思わせる。中国では包子(パオズ)で饅頭、面包(ミェンパオ)で西洋式のパンの意味だ。

このパオバジは、渡辺さんの近刊『スパイスの黄金比率で作るはじめての本格カレー』にも、「マッシュポテトとトマトのカレー」として、簡略化されたレシピが掲載されている。

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マハーラシュトラ風フィッシュマサラ。

トマトベースのグレービーに、魚はメカジキ。

これもバケットと一緒に食べると美味しい、と渡辺さんのサジェスト。たしかにトマトの酸味を感じる濃厚なカレーにはパンが合う。今回は出なかったけれど、きっとナンやチャパティなどインドのパン類にもマッチするに違いない。

マハーラシュトラといえば州都にムンバイを抱える州。インドは、実はデリーとタミルとケララにしか行ったことがないけれど、さきのパオバジも食べたいし、ムンバイには近いうち訪問しなければ(一晩トランジットしたことはある)。

さらにムンバイといえば、渡辺さん曰く、グジャラートターリーが美味しいのだとか。グジャラート州はインド西部、マハーラシュトラ州の北に位置する。渡辺さんがムンバイで体験したグジャラート風菜食ターリーのリポートは、こちら。

上記リンクの記事にも書かれてあるが、グジャラートターリーでは食事の前半に甘いものが出されたりする。たとえばインドの一般家庭に訪問した際など、食事の最初にデザートが出てきたりしてビックリすることがあるとか。こういう食文化の相違に思いをはせるのが好きだ。

さて、次は本日のメインのカレー。

つづく。

<2013年7月>

(よ)

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by brd | 2013-08-02 07:48 | 東京のインド | Comments(4)

シンガポール : リトルインディアのミーン・ポリチャトゥ Meen Pollichathu

バナナの葉に包まれているのは、なんでしょう?

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オープン。

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たっぷりのマサラで覆われた、魚。

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焼いたのでもなく、煮たのでもない、バナナの葉で蒸し焼きにしたときにしか出ないであろう、ほっこり感のある魚の白身がほろほろしている。さらにそのほろほろ白身にマサラのスパイシーな風味がじわりと移っていて、なんとも独特な初めての味わい。うーん、コレはかなり絶品なんではなかろうか。魚の身自体は蒸し焼きらしいあっさりした味わいだが、バナナの葉で包んであった外側は、かなりの量の油でべっとりしている。包んだ状態で、多目の油の中に入れて蒸し焼きにしているのだろうか。それも美味しさのポイントかもしれない。とにかく、ほぐした身をそのまま食べたり、バナナの葉の上でマサラと混ぜ混ぜして食べたり、一気に完食。

魚種はなんだろう?

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マナガツオだろうか?(撮影@店の近所のMustafa Centre)

この料理、インドのケララ地方で食べられているミーン・ポリチャトゥ(Meen Pollichathu)。

食べた場所は、

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シンガポールのリトルインディアにあるケララ料理専門店「プリマース・キュイジーヌ PREMAAS CUISINE」

このお店、「ガールダ・パダン・キュイジーヌ」を推薦してくれた人の、おなじくオススメ店だったのだが、やっぱり大当たり。シンガポールでインドネシア人やインド人とつき合いが長い人みたいだけれど、やっぱりその種の情報は信頼できるな~。

実は、例によってこのあとハシゴ予定でして、つまり、セカンドディナーを食べに行かなければならないので(笑)、あんまり大量に食べられないのが心残りなのだが、以下の料理も味わってみることにした。

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エビのケララ風カレー。

詳しい料理名を失念してしまったのだが、たぶんナダン・プローン・カレー(Nadan Prawn Curry)とメニューに記載のあったカレーのはず。

ココナッツミルクベースでタマリンドの酸味もある。

あと、ケララっぽいティファン(米粉や豆粉で作った軽食)類を。

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円筒形でもろもろくずれるプットゥ。

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まん中がすこし盛り上がって、まわりは餃子の羽のように薄くパリパリしている、アッパム。

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ラッシーとマンゴーラッシーは、店で飲むのになぜかプラスティックカップ・・・。

いっこ疑問。

上記リンクのパダン料理店の名は「ガルーダ・パダン・キュイジーヌ」。このお店は「プリマース・キュイジーヌ」。他の例を知らないが、オーセンティックなアジア料理なのに屋号に「キュジーヌ」ってつけるのは、シンガポール的センスなんだろうか?

<2012年9月>

(よ)

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by brd | 2013-04-04 09:12 | シンガポール | Comments(6)

東京カリ~番長 水野仁輔×「料理通信」 夜中のトークショー

Attended the talk show of Mizuno Jinsuke, an Indian cuisine specialist, held at the Tsutaya book store, Daikanyama, Tokyo by "Ryoritsushin", a monthly magazine specialized in food. The event started late in the night from 22:00 P.M., probably reflecting the feature article of the new issue titled "Midnight Kitchen" featuring a curry recipe he recommends to cook at midnight.. [November, 2012]


『料理通信』 2012年12月号。

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第二特集は、真夜中のキッチン晩秋編。

本特集で「赤ワインでじっくり煮込む牛肉カレー」を担当した水野仁輔さん(東京カリ~番長)のトークショーが、本誌発売日の11月6日に代官山蔦屋書店で行われた。

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題して、

東京カリ~番長 水野仁輔氏×「料理通信」
夜中のトークショー


なんとイベント開始が夜の10時。

仕事を終えて食事してから、あるいは、かるく一杯やってからでも来れる大人の時間帯。

なんとなくリラックスした感覚。

終電が気になるけど(笑)。

トークの相方は「料理通信」副編集長の伊東由美子さん。

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もともとクラブのイベントでカレーを出していた目標も計画性もない軟派な集まりが「東京カリ~番長」。一方、マジメにインド料理を探究するために日本インド料理界のサラブレット3人と組んだ硬派ユニットが「東京スパイス番長」、などなど自己紹介めいた内容からスタート。・・・したかと思えば、流れるようにスムースな水野さんのトークはいつのまにやら仕事の本質、いや人生の本質を突くアフォリズムへといたる。

「今夜は料理関係の仕事に就くオーディエンスも少なくないので、ぜひなにかアドバイスを」

という司会者の質問に投げ返されたのが、ずばり、

水野仁輔 3カ条

その1.誰もやっていないことをやる

その2.自分が面白いと思うものを表現=アウトプットしていく

その3.決してやめずに継続する


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その1に関して、水野さんはカレーに関する仕事しか受けないと決めているそうだ。パスタのレシピ依頼とか、カレー以外の仕事がたくさん舞い込んだ時期もあったが、全部ことわってきた。

そして、現在はカレーとワインの関係を突きつめるため、酒はワインしか飲まないとかたくなに決めているという。

ワインは、まったくのビギナーだとか。

たとえば居酒屋で全員生ビールで乾杯、というときも一人だけワインと決めている。

しかも、できればフランスワイン。

フランスワインだけ、と狭く限定することで、なぜかだんだん楽しくなってくるんだそうな。あえてフィールドを限定することによって見えやすくなることも、確かにあるかもしれない。

ところで、水野さんはビジュアルの記憶力に優れている。

飲んだワインのエチケットは全部集めている。

ワインの名前や生産者は覚えられなくても、エチケットのデザインは忘れない。店でリストを見てピンと来ない場合は、ボトルさえ持ってきてもらえば、飲んだことのあるワインかどうか判断できる。だから、店では必ずボトルを見せてもらう。

DJをやっていたときにアナログディスクのジャケットを見ただけでサウンドが頭に浮かぶ、その感覚と同じだそうだ。

そうそう、会場では「料理通信」の編集部からワインがふるまわれた。

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日本産の甲州、マスカットベリーAの赤とロゼ、ブルゴーニュの赤。

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ひとときワインでなごんだ。

ワインスクールに行ったら負け。という話もおもしろかった。

水野さんのワインは自己流。

でも、誰もがワインスクールを勧める。スクールのメリットは、個人でボトルを購入せずとも数多くのワインがテイスティングできる効率の良さだ。

でも、効率って何?

気に入らなかったワインも一度抜栓したら自分で全部飲みきらなきゃいけない。もちろん、そのボトルは「美味いかな、どうかな」と案じながら身銭を切って購入した一本。そんな、みずからの身を切ってやる感覚がなくて、いったい何が身に着くというのか? と昔気質な職人のようなことを言う水野さん。そのルックスの爽やかさ、トークのスムースさと相反する、頑固なこだわりに魅力を感じた。

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さて、誰もやっていないことをやるためには、みんながすでにやっていることを知らなければならない。だから、日々出版されるインド料理の本、カレーの本は、ほぼすべてを購入している。

料理関係で共通して売れているのは、レシピ本だ。でも、水野さんの出版のアイデアはレシピ本にとどまらない。

ここで生まれる疑問。

おもしろいから、売れるのか?

売れている本=おもしろい本か?

自分がおもしろいと思うのに、売れない本は、実はおもしろくないのか?

そこで、三カ条の2.である。

自分が面白いと思うものをアウトプットする。

基本的に商業出版社では、売れない本は出せない。

でも、出版社が出してくれない企画をあきらめて、いいのか?

いいわけがない。

だから、自分で出す。

自分がおもしろいと思う企画は、出版社が出してくれなくても、必ず世に出す。

そこで立ち上げたのが、ご自身の出版社「イートミー出版」だそうだ。

どんな本を出しているかは、上のリンクを見ていただくとして、トークショーで配られたフライヤーに「今後刊行予定のタイトル続々」という欄がある。

そこには、『本物よりおいしい偽者レシピ』『老舗カレー店をめぐる冒険』『カレーよ、さようなら』『オニオンカラーチャート』『勝手にご当地カレー』『フランスワインとインド料理』『WHOLE CURRY CATALOG』『カレー遺産』『タモさんカレーの謎』・・・などなどなど、ざっと20冊以上の未刊行本の企画が並んでいる。とてもおもしろい。

全部本気か。一部ジョークか。いやたぶん、全部本気の企画なんだと思う。そして、きっとすべて刊行されるのだろう。全部、読みたいし。

イートミー出版の刊行予定企画タイトルを見て、ふと思い出したのは、かつて坂本龍一さんが本本堂という出版社をやっていたときに出した、『本本堂未刊行図書目録』。

一瞬、高尚なギャグなのかなとも思ったが、そういうことではなく、これは本と出版システムへの挑発・挑戦だったのであり、そういう意味では、なにか近しいものを感じてしまった。

おもしろいかおもしろくないかは、自分で決めればいい。

おもしろくないとジャッジされたことでも、10年続けていたらおもしろくなるかもしれない。

カッコイイね~。

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でも商業出版だって、もちろん捨てたものじゃない。

こっからは水野さんの話ではなく、ボクの個人的な見解。

10年前くらいにBSE問題が発生したときに、現在『料理通信』編集長の君島佐和子さんがやっていた当時の『料理王国』は、あえて「牛肉、食べてますか」という特集を組んだ。

どこの世界でもネガティブな話題や、あまりにもシリアスなテーマは避けるもの。それこそ、売れないから。でも、あえて食の世界が直面している大問題に真正面から挑んだその気骨に、なんだか惚れてしまった。

ながらく『料理通信』を愛読している、理由のひとつでもある。

こういう話、書いているときりがない。

個人的な見解、終了。

さて。

また水野さんの話に戻ります。

カレーの決め手はスパイスの配合、と思われているけれど、実はそうではない。

水野さんのたどり着いた結論は、脱水。

つまり、カレーを美味しくするか否かは火入れのテクニックがものを言うのだ。いかに食材を脱水するか、火によって水分をとばしていくかにかかっている。そんなテーマも興味深かった。

なんと、この水野説とまったくおなじことを『料理通信』2010年7月号「たとえば、落合さんのレシピは、???が違う!」特集で、落合務シェフが言っていたのだった。

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表1の「???」には、「水分の飛ばし方」が入る。

カレーにおいて自身が独自にたどり着いた結論と、イタリアンのスターシェフが同じことを言っているわけで、これを読んだときは心底驚いたという水野さん。

さらに、火入れの達人として話題にのぼっていたインド料理人が、西新宿「コチンニヴァース」のシェフ。たしかに、真夏なんて汗ダックダクで鍋を振っているシェフの姿を見た覚えがある。

さらに、この夜は気になるトピックがいっぱい。

たとえば、「東京スパイス番長」が行っているインド探求ツアーでは、近々インド・ベンガル地方を訪れる予定だそうだ。そのツアーでは、みんなで魚を釣って料理する計画があり、水野さんは会場の代官山蔦屋で参考図書として開高健の「オーパ!」ヴィンテージ本を購入したんだとか。そんなちょっとイイ話や、真夜中のキッチンで水野さんはグールドのバッハを聴いている、とか、語りたい話はまだまだあるのだが、いつもの記事よりだいぶ文章量が増えてきたので、このへんで。

そうだ、三カ条の3。

続けてさえいれば賛同者が生まれ、出会いがあり、かならず世界が広がっていく。

むしろ、おもしろいことはやめられない。

カレーは、おもしろい。

水野さん、『料理通信』スタッフのみなさん、楽しい夜中のトークショーをありがとう!

<2012年11月>

(よ)

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by brd | 2012-11-11 00:00 | 本や映画 | Comments(0)

「LOVE INDIA 2012」 シェフ7人によるオリジナルカレー7種類のスペシャルターリー

The Love India 2012, an Indian food event with 13 Japanese chefs representing the Japanese Indian food world, was held at Tokyo on October 14, 2012. The highlight was the special thali plate consisted of curries cooked by 7 chefs. My most favorite were Beef Nahari served by Gengo Tanaka from Restaurant Delhi and South Indian Dal with Spinach by Akira Watanabe, an Indian cuisine expert.. [October, 2012]


水野仁輔さんが発起人のインド料理イベント、「LOVE INDIA 2012」に行ってきた。

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入り口で穴の開いたオレンジ色のピザボックスのようなものを渡される。

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これ、今回いちばんの目玉。インド料理シェフ7人による7つのカレーのスペシャルターリー用プレート。段ボールでできていて、カレーの小皿カトゥリを収める穴がすでにあけてある。よく考えたな、と思う。

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それぞれシェフ本人がサーブしてくれる。

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ブースの行列を進むと、じょじょにカレーが埋まっていく。

どのカレーをどのポジションに配置するか、すでにカトゥリのホルダーに名前が書いてあるのも楽しい。

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ターリー完成!

さっそく時計回りに、

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「デリー」田中源吾さんによる、ビーフニハリ(Beef Nahari)から。

一発目にガツン!パンチのある美味しさ。

牛肉の繊維がほろほろにほどけるまで煮込まれた濃縮感ある肉カレー。居酒屋で出る「煮込み」のカレー版のようでもある。たっぷり散らされたコリアンダーと生姜が、煮込みの薬味ネギとだぶる。

個人的な話になってしまうが、「ニハリ」というと思い出すのが、数年前のインド旅行でのちょっとした後悔。

その旅行では、このターリーの作り手としても名を連ねるカレー伝道師・渡辺玲さんの著書『カレー大全』をガイドブックとしてたずさえ、ケララ州コーチンと首都デリーを巡った。

デリーに関しては、編集者の石川次郎さんとテレビの取材で食べ歩いた様子が同書に綴られている。そもそも渡辺さんがインド料理の世界に入ったきっかけは、誰あろう石川次郎さん編集による80年代の『BRUTUS』。「世界の食」特集に掲載された“マハラジャ幻想 インド南北料理旅”(取材:西川治さん)だったそうだ。だから、渡辺さんにとって次郎さんは人生の導師=グルみたいなもの。そんな雰囲気のあるエピソードも印象に残った。

デリーでは、まずパラーター・ワリ・ガリ(パラーター通り)へ。カリフラワーやパニールなどの具をはさんだチャパティのようなパンをたっぷりの油で揚げるようにして焼いた「パラーター」専門店がいくつか営業している。さらに、デリーの超有名店「カリム・ホテル」。ムガル帝国の料理につらなるデリーのイスラム風カレーも堪能することができた。

しかし、最後に訪れるつもりだったニハリ店(渡辺さんは「ナハリ」と表記)には辿り着くことができなかった。いや、行こうと思えばじゅうぶん行けたのに、少々時間切れ気味であせっていて、さらに朝から食べっぱなしで(笑)もう食欲が続かず。うーん、ガッツが足りなかった。

そんなわけでデリーのリアル・ストリート・フード、ニハリを食べなかったのはいま思えば痛恨だが、こんなところで出会えるとは!

田中さんのニハリの味を覚えておいて、今度こそインドでも食べてみよう。

LOVE INDIAに話を戻すと、トークショーで田中さんは「イスラム料理に注目している」と話していた。イスラム料理は日本人に合う、とまでおっしゃっていたと記憶している。思うところあり、そのあたり、詳しく聞いてみたいと思った。料理に限らず、日本とイスラムはある種の親和性があるし、日本人はもっともっとイスラム文化について興味を持つべきだと感じる。牛肉のニハリは、もちろんイスラム料理だ。

さらに、時計回りにカレーを食べすすめる。「シタール」増田泰観さんによる、ゴーアン・シュリンプカレー・ブラウンソース。「シバ」柴崎武志さんによる、モロヘイヤチキンキーマ。「アンジュナ」藤井正樹さんによる、ラーン・エ・シカンダリ(マトンカレー)。「中村屋」石崎厳さんによる、コルマチキンカリー。「スパイスカフェ」伊藤一城さんによる、ドライカレー。と、ここまで食べて、かなりの満足感。

どれも「俺。俺のカレー!」という感じで(笑)、それぞれの個性を強く主張している。

作り手の思いや個性のようなものを確実に伝えてくるカレーたち。7人の料理人による7つのカレーのターリーを味わうことは、7つの個性に一度に対峙することでもあり、ほんとうに賑やかで、ゴージャス、かつ楽しい。

そのことを、さらに強く感じさせてくれたのは、最後に手をつけた、

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渡辺玲さんによる、ダルパラック(南インド風ほうれん草入りダールカレー: South Indian Dal with Spinach)。

感覚的には、これまで直線的にこっちへ向ってきていた強めの美味パワーが、四方八方にふんわりと広がる優しげなエネルギーに変った、というような印象。サンバル・パウダー、ヒング、カレーリーフ、コリアンダーなどを使っているそうだが、スパイスの綾の向こうに豆とほうれん草のやわらかいうまみが立体的に広がっている。

渡辺さんといえば南インドのイメージが強いからベジのカレーは意外じゃないけれど、それにも増して、物静かなのにこだわりの強そうなその人柄とカレーの味わいがダブってきたりもして、ますます激しくターリーを擬人化してしまうのであった(笑)。

トークショーで今回参加の各シェフたちが次回LOVE INDIAへの抱負や目標について語る一幕があり、この件に関して渡辺さんがコメントしていたので、ちょっと面白かった。

いわく、みんながどんなカレーを作るか決定してから、自分はその間を埋めるようなカレーにしたので、みんながやらないベジタリアンになったけれど、次回はがっつりした肉料理でも作ってみたい、と。司会の水野さんが、それじゃ来年は渡辺さんがカレーを決めるまで、みんな一歩も動けないじゃないですか!と反応、会場からどっと笑いが。

あとで渡辺さんご本人に聞いたら、ベジタリアン料理しか作れないと思われたら困るけれど、トークショーの発言は半分ウケ狙いなので真に受けないで、とのこと。ただ、過去のLOVE INDIAもふくめて、どちらかというとプッシュしていく素材と味わいのカレーが多いなか、その隙間を縫うようなカレーを作ったのは、やっぱり意図的なものだそうだ。そして、それが食べ手に強い印象を残したのは嬉しい、とも付け加えてくれた。

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会場でみずからカレーをカトゥリにサーブしてくれた、渡辺玲さん。

さて、このイベントで個人的にもうひとつ収穫だったのは、タブラのu-zhaanさんとシタールのヨシダダイキチさんによるインド古典音楽の演奏。

古典といっても、タブラ+シタールという楽器構成が古典的なだけで、音楽的には4つ打ちテクノみたいに聴こえるパートがあったり、アンビエントっぽい展開があったり、かなり現代的な感覚がミックスしたサウンドで、一瞬たりとも飽きることはなかった。というより、もっと長い時間聴かせてほしかった。この場ではじめてインド音楽を聴く人もいるだろうとの配慮からか、わかりやすくワンパートを短めに場面展開させていたような印象もあったけれど、倍の長さでも自分にはちょうどいいくらいに思えた。

とくにu-zhaanさんのタブラがスリリングでカッコよく、聴き入ってしまう瞬間の連続。

当日は偶然にもお誕生日だったそう。おめでとうございます。

カレーを食べてからu-zhaanさんとヨシダダイキチさんの演奏を聴く体験でフラッシュバックしてくるのは、数年前に行われた青山スパイラルホールの地下にある「CAY」でのイベント。そのときもふたりの演奏があって、インド料理を渡辺玲さんが作り、サラーム海上さんがDJという、これまたインド好きにとってはたまらない、実にゴージャスな内容だった。

思えば、そのときの渡辺さんの料理も目からウロコ、だった。

たしか、ミールス的な南インドのベジタリアンカレーが中心だったと記憶しているが、どの料理も目を閉じて味わいたくなるような非常にデリケートな味覚を醸し出していて、なにかスパイスと素材の組み合わせが味の着地点に向ってすごくコントロールされているような印象を持った。「スパイシー!ホット!強烈!」みたいな、自分のなかに存在していた単純だけれど押しの強そうなティピカルなインド料理のイメージは、たった一口で180度くつがえされてしまったのだった。

多種存在するスパイスを、ホールでつかったりパウダーにしたり、炒ったり焦がしたり・・・、その無限の組み合わせによって、無限のニュアンスが表現できる自由自在な、とてもエレガントかつクリエイティブな料理ジャンル、それがスパイス料理であり、カレーなんだと思った次第。

さらに、LOVE INDIAは物販が充実している。

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公式ガイドと、今回の各シェフによるオリジナルのガラムマサラを購入。

ガラムマサラは、料理がとりわけ印象に残った田中さんと渡辺さんのを選んだ。

来年も期待しています!

<2012年10月14日>

(よ)

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by brd | 2012-10-21 04:23 | 東京のインド | Comments(0)


旅の食卓と食卓の旅。ferment booksより『味の形 迫川尚子インタビュー』発売中。姉妹ブログ【ワダ翻訳工房】もどーぞ。ツイッターは @oishiisekai @fermentbooks


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森枝卓士


『考える胃袋』
『考える胃袋』
石毛直道
森枝卓士


『ごちそうはバナナの葉の上に―南インド菜食料理紀行』
『ごちそうはバナナの葉の上に―南インド菜食料理紀行』
渡辺玲


『食は広州に在り』
『食は広州に在り』
邱永漢


『檀流クッキング』
『檀流クッキング』
檀一雄


『中国料理の迷宮』
『中国料理の迷宮』
勝見洋一


『中国庶民生活図引 食』
『中国庶民生活図引 食』
島尾伸三
潮田登久子


『食卓は学校である』
『食卓は学校である』
玉村豊男


『地球怪食紀行―「鋼の胃袋」世界を飛ぶ』
『地球怪食紀行―「鋼の胃袋」世界を飛ぶ』
小泉 武夫


『世界屠畜紀行』
『世界屠畜紀行』
内澤旬子


『ソバ屋で憩う』
『ソバ屋で憩う』
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『有元葉子の料理の基本』
『有元葉子の料理の基本』
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『ル・マンジュ・トゥー 素描(デッサン)するフランス料理』
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