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「寿司」「天ぷら」ではなく「豚キムチ炒め」 タイ料理家・下関崇子さんとの対話 その2

『味の形 迫川尚子インタビュー』(ferment vol.01)の創刊準備号となるフリーペーパー『ferment vol.00 タイ料理家・下関崇子さんとの対話 タイと、日本と、かぼちゃ炒めと。』のテキストを本ブログで公開しています。

前回に引き続き、その2回目(全3回)。

インタビューは2013年9月。

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下関崇子さんとの対話
タイと、日本と、かぼちゃ炒めと。
その2


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バンコクのフードコートのかぼちゃ炒め

下関崇子 プロフィール
しもせき・たかこ。ダイエット目的で始めたキックボクシングにハマって後楽園ホールでプロデビュー。ムエタイ修行のため渡タイ。結婚と出産を経て2006年に帰国。現在はムエタイ、タイ料理、タイ古式マッサージの講師などをつとめる。著書は『闘う女。~そんな私のこんな生き方』(徳間文庫)、『曼谷シャワー』(平安工房)、『バンコク「そうざい屋台」食べつくし』(アスペクト)、『バンコク思い出ごはん』『暮らして恋したバンコクごはん』(ダコトウキョウ)など。

インタビュー・文/(よ)

「寿司」「天ぷら」ではなく「豚キムチ炒め」

よ: 著書の『バンコク「そうざい屋台」食べつくし』[★11]の序文でも書かれてますよね。日本のタイ料理本に載ってるのは「トムヤム」や「ヤムウンセン」「鶏肉バジル炒め」とかの有名料理ばかりで、自分が食べたいものがない。日本の料理で言えば「寿司」「天ぷら」「すき焼き」ではなくて、「里芋の煮っ転がし」や「豚キムチ炒め」みたいな、日常的な惣菜を伝えたい、と。
下: うん。
よ: ヤムヤム総集編[★12]のときのスピーチでも、同じことを言われてましたね。
下: そうですね。
よ: その意識は一貫してる、と。
下: もちろん。タイに住んでいると、日本から来た友だちと一緒に食事に行こうってなりますよね。で、「何食べたい?」って聞くと「カオカームー」[★13]と「ラープ」[★14]とか、なんか組み合わせがバラバラなんです。
よ: 日本のタイ料理屋には全部そろってるけど…。
下: タイだとその料理、一軒で出ないよ、みたいな。
よ: 「カオカームー」は完全に屋台料理だからレストランにはないですよね。「ラープ」はイサーン料理だし。
下: 「カオマンガイ」[★15]なんかもレストラン料理ではないし。とにかく、有名なタイ料理は知ってるけど、それがどこで食べられるのかは知らない。日本に来た外国人に「寿司」と「餃子」を食べたいって言われて困まる、みたいな。
よ: 寿司屋に行ってから、餃子屋に行くしかないですね。
下: でしょ。おなじ店では食べられないし、そういうことがすごくゴッチャになってるのを整理したくて作ったのが『バンコク「そうざい屋台」食べつくし』なんです。

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『バンコク「そうざい屋台」食べつくし』

よ: ボクがタイ料理に興味を持ち始めたころ、森枝卓士さん[★16]や前川健一さん[★17]の本を読んでましたが、それが理論編だとすると、『そうざい屋台』はものすごく使える実践編のような感じです。ボクのブログにコメントをくれるアジア好きの人も持ってるって言ってましたよ。
下: もっと売れてほしいんですけど。
よ: ほんと、もっと売れるべきですよ! この本、実際にバンコクの屋台で惣菜を買って、『DACO』[★18]の編集部に持ち込んで撮影して味をみて…を繰り返して作ったんですよね。
下: 一度に十食とか二十食とか屋台で買ってきて、お皿に盛りつけて、撮影は『DACO』のタイ人スタッフにお願いして。で、ランチとしてスタッフ全員で食べるんですけど、彼らに料理の感想を聞いてメモをとる。で、その作業が一通り終わると、だいたい夕飯の時間なので、それに合わせてまた買いに行くという繰り返しでした。私もけっこう食べてると思ってたんですけど、意外と食べたことがない惣菜が、まだあったんです。
よ: 相当な数ですからね。
下: 気に入った料理ばかり繰り返し食べていたりするんですよ。
よ: どんな料理が気に入ってましたか?
下: そう聞かれると、百くらいばーっと挙がっちゃうけど。
よ: じゃあ、逆に食べてなかったものは?
下: イサーン系[★19]の惣菜はあんまり食べてなかったですね。
よ: 意外ですね。旦那さんの出身はどこでしたっけ?
下: ロッブリー。アユタヤのちょっと上あたり。イサーンのムエタイジムに数年住んでいたので、イサーン料理も食べるんですけど、どっちかと言えば食の好みはバンコク寄りです。
よ: 日本人の場合、身近にいたタイ人の出身地で、タイ料理の嗜好が変わるってことはありますか?
下: それは、すごくあるでしょうね。
よ: 下関さんの場合、タイに来ていきなりムエタイのジム通いだったでしょ。ジムにいるタイの人たちは、どこの地方が多かったんですか?
下: うちはまんべんなく散らばってたかな。ジムによって違うんです。南の出身者が多いジムもあるし。同郷の人を引き抜いてきて、固まってる場合もありますね。
よ: 彼らの食の嗜好に影響を受けたりはしなかったですか?
下: 地方出身の若い男の子たちだから、高級タイ料理には縁がなかったけど、ジムのまかない飯や、地方のお土産とか、近所の美味い屋台とか、庶民の食生活にどっぷり浸れたっていうのはあります。
よ: ムエタイやりながら、自然とタイ料理に関する知識も増えていきますね。
下: ええ、もともと食いしん坊だし。『タイの屋台で食いだおれ』っていうタイ料理コラムをホームページに載せたり。
よ: バンコクでタイ料理は作ってました?
下: 作ってないです。まず、アパートにガス台がない。バンコクに暮らしていると、本当に自炊の意味がないんですよ、外で食べたほうが安いし美味しいし。田舎だと家庭でも作るけど、バンコクじゃほとんど作らないでしょうね。旦那の実家のほうだと、母さんや嫁たちが作ってますけど。
よ: 旦那さんの地元
では何を作って食べているんですか?
下: ゲーンチュー[★20]とかですよ。子供が多いので辛くない料理とか、焼き魚をタイ風のタレで食べたりとか。でも旦那が、母さんより私のほうがタイ料理上手だって言ってましたよ。バンコクのタイ料理レストランでよく食べられるような「アハーン・チャオワーン(宮廷料理)」が元になった料理は、お義母さんは作らないので。

唯一絶対のレシピなんて存在しない

よ: 旦那さんって、料理にうるさいタイプ?
下: 食べるのは好きだけど、うるさくはないです。あと、タイ人にしては日本食をちゃんと食べますよ。
よ: ヤムヤムで下関さんが出されたお豆腐の料理ですけど、あれは旦那さんが…。
下: 旦那の友だちの奥さんがうちに来て作ってくれた酒のつまみをヒントにしてます。作ってくれたと言っても、お皿にお豆腐をカパっとあけて、瓶から出したアンチョビーをのっけて、ナンプラーかけて、パクチーのせただけなんだけど、彼女のタイ人の旦那が大好きみたいで。

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富山の黒づくり+ナンプラー+パクチーの冷奴。ヤムヤム富山にて

よ: ヤムヤムでは、アンチョビーを富山の黒づくり[★21]に置き換えたんですよね。さっき言った、タイ人が食べても日本人が食べても違和感ない料理の、もっともシンプルな形。日本酒にも合うし。ヤムヤム富山で下関さんが考案した料理を形容する言葉を考えてたんですけど、「だまし絵」って言葉が浮かんできたんです。タイ料理と日本料理の共通部分を巧みな見立てでダブらせて、見方によってタイ料理に見えたり日本料理に見えたりするっていう。タイ風日本料理でも日本風タイ料理でもなく、どっちでもあるような感じというか…。空心菜の天ぷらもそうですよね。
下: 日本人なら空心菜と海老のかき揚げにタイ風ソースがついてると思うし、タイ人はパックブントートクローブ[★22]に海老が入ってると思うんでしょうね。
よ: 富山の「べっこう」[★23]とタイの「ウンカイ」[★24]をダブらせた前菜も面白かったです。もともと「べっこう」なんて知ってました?

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「べっこう」のような「ウンカイ」、あるいは「ウンカイ」のような「べっこう」?

下: いや、「富山、郷土料理」でガーッと検索して調べました。「ウンカイ」も、タイでそれほど一般的じゃないかもしれない。
よ: それこそ一般の人には細かすぎて伝わらないけど、わかる人にはわかる、と。
下: でも「ウンカイ」って、15年くらい前に日本で出たタイ料理のレシピ本には載ってましたよ。
よ: 下関さんは、そういう調査が徹底していますよね。
下: もともとテレビ番組のリサーチの仕事をやってたので、まず徹底的に調べるんですよね。
よ: 著書の『暮らして恋したバンコクごはん』にも書かれてますけど、まず作りたい料理のタイ語料理名をタイ語の料理本でチェックして、ネットで検索かけて、You Tubeとかもチェックして、おおよそのレシピを把握する。で、次に代用素材を使う場合は、日本のタイ料理本や、外国に住んでいるタイ人のブログとかを参考に、なにが代用になるか考えたり…。
下: ええ。先生に習ってないので、そういう方法しかないんです。
よ: でも、こういう調査を繰り返しやっていると、おなじ料理のいろんなバリエーションについて考えることになるわけで、自然とその料理の本質みたいなものに迫れそうな気がします。
下: 実は私、けっこう「研究家」なのかな。
よ: やっぱり料理の掘り下げ方が編集者的ですよ。先生に頼るより、料理に詳しくなれそう。
下: 先生に教わるのは、その先生のレシピですからね。で、その先生のレシピは、もしかしたら外国人ウケのする味にアレンジされたレシピかもしれない。タイって、屋台とか食堂だと、お客さんが外国人ってわかると、こちらが何も言わなくても辛さを控えめにしたり、味付け変えたりしますしね。
よ: たしかに。でも、下関さんには先生的な人って一切存在しないんですか? 必ずしも料理のプロじゃなくても、バンコク時代のタイ人のお知り合いとかに、いそうな気がするんですけど。
下: タイ人の先生は…タイ語のレシピ本ですね、私にとっては(笑)。
よ: なるほど(笑)。
下: あと最近、タイ語の動画料理サイトを参考にしてます。けっこうネタになってるから、あんまり教えたくないんだけど(笑)。すごい勢いでレシピがアップされ続けていて、いま全部で300~400くらいあるんじゃないかな。動画に出てくるタイ人のコックさんが何人かいて、西洋料理担当、お菓子担当、タイ伝統料理担当、みたいに担当分けになってる。で、各レシピに対してユーザーのコメントがつくんですけど、「このハーブは別のハーブなんじゃないか?」とか「これ手順が違うんじゃない? うちの地方では…」とか、同じ料理が地方によって、家庭によって、全然違うんだなってわかるんですよ。日本で言えば、肉じゃがのレシピに対して、「うちは豚肉じゃなくて牛肉だよ」とか「最初に肉を炒めないとダメじゃない?」とか「サラダ油じゃなくて、ごま油でしょ」とかコメントされるような感じで。
よ: 唯一絶対のレシピなんて、本当はないんですよね。
下: それはタイ料理も日本料理も同じなのに、日本人はなぜか唯一絶対のレシピをタイ料理に求める傾向ありますよね。正解はひとつだと思い込んで。

<注記>

[★11]『バンコク「そうざい屋台」食べつくし』
2009年2月、アスペクト刊。下関さんのタイ料理本としては初リリースとなったが、企画制作は『バンコク思い出ごはん』が先行していた。
[★12]ヤムヤム総集編
同イベント10回開催を記念して、下関さんをはじめとする歴代シェフ8名が参加の特別イベント。2013年6月開催。
[★13]カオカームー
豚足煮込みかけご飯。
[★14]ラープ
ひき肉などを使ったタイ東北地方のあえもの料理。
[★15]カオマンガイ
蒸し鶏のせごはん。
[★16]森枝卓士
食文化を広くあつかう写真家、ジャーナリスト。タイに関する著作は『食の旅 アジア―タイ・インドシナ半島』(TBSブリタニカ)、『私的メコン物語―食から覗くアジア』 (講談社)など。
[★17]前川健一
紀行作家。タイ関連の著作は『タイの日常茶飯』(弘文堂)など。
[★18]『DACO』
下関さんがコラムを連載する、バンコクで発行の日本語フリーペーパー。
[★19]イサーン系
「イサーン」はタイの東北地方を指す。ソムタムやガイヤーンなどが代表的なイサーン料理だが、ここで下関さんが言っているのはスープ系や和えものなど、もう少しマニアックなイサーン料理のこと。
[★20]ゲーンチュー
辛くないクリアスープ。ゲーンチュータオフー(豆腐入り)や、ゲーンチューウンセン(春雨入り)などがある。
[★21]黒づくり
イカスミの入った真っ黒なイカの塩辛。
[★22]パックブントートクローブ
「パックブン」は空芯菜、「トートクローブ」はカリカリ揚げ、の意味。
[★23]べっこう
富山の正月料理。溶き卵入りの甘辛い寒天。
[★24]ウンカイ
富山の「べっこう」と似ているが、タイではデザートとしての位置づけ。

<つづく>
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by brd | 2015-11-29 17:05 | 東京のタイ | Comments(0)

タイと、日本と、かぼちゃ炒めと。 タイ料理家・下関崇子さんとの対話 その1

前回の記事で、新宿ベルクの迫川尚子さんをインタビューした書籍『味の形』(ferment vol.01)リリースのご案内をしましたが、実はfermentシリーズにはvol.00(創刊準備号)があります。

2013年にフリーペーパーの形で配布した、タイ料理家・下関崇子さんのインタビューです。

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上の写真のように、A3より若干小さいサイズの用紙にリソグラフ印刷した2枚を、すこし変った方法でたたんで配りました。

今回は、vol.01の完成を記念し、vol.00の記事をここで公開しようと思います。

公開にあたっては、下関崇子さんの許可を得、テキストをオリジナルから若干修正してあります。

インタビューしたのは、2013年9月でした。

オリジナルの原稿についている脚注は、記事下にまとめました。

下記より、3回の記事に分けて公開しようと思います。

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下関崇子さんとの対話
タイと、日本と、かぼちゃ炒めと。

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かぼちゃ炒め/パット・ファクトーン(撮影・下関崇子 無断転載禁止)

下関崇子 プロフィール
しもせき・たかこ。ダイエット目的で始めたキックボクシングにハマって後楽園ホールでプロデビュー。ムエタイ修行のため渡タイ。結婚と出産を経て2006年に帰国。現在はムエタイ、タイ料理、タイ古式マッサージの講師などをつとめる。著書は『闘う女。~そんな私のこんな生き方』(徳間文庫)、『曼谷シャワー』(平安工房)、『バンコク「そうざい屋台」食べつくし』(アスペクト)、『バンコク思い出ごはん』『暮らして恋したバンコクごはん』(ダコトウキョウ)など。

インタビュー・文/(よ)

日タイ両方の味覚を同等にふまえる

(よ): 下関さんの活動を拝見していると、ダイエットで始めたキックボクシングであっさりプロデビューしてタイでムエタイ選手として活躍したり[★01]、自然体でほいほい成果を出しちゃう印象です。タイ料理に関しても、きっと同じなんでしょうね。
下関: うーん。タイ料理に関しては私、プロじゃないですよ。
よ: 「しまたい食堂」[★02]でも、告知にあったご自身の肩書を「タイ料理家」から「タイ屋台料理愛好家」に修正してましたもんね。
下: もともと正式な料理の教育を受けたわけじゃないし、誰かに師事した経験もないですから。タイ料理教室にすら通ったことないし。あと、それほどタイ料理を研究しているわけでもなくて、毎日のごはんとして作るものを、お伝えしているだけ。「チャイヤイ」の坂本さん[★03]みたいに、常に新しいメニューを開発しているわけでもないし、サクライチエリさん[★04]のように、レシピの分量を少しずつ変えたのをいくつも試作したりもしてないし。そういうの見ちゃうと、私はあんまり研究してないなって。
よ: 下関さんとの初対面は「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」の富山編[★05]でしたけど、あのときの料理がすごく印象的で。他のシェフの料理と何かが違うなあと。

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ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン富山編での一品。豆乳グリーンカレーのカノムチン・富山の大門素麺

下: そうでしたか。
よ: まず、タイに深く関わっている下関さんは、味覚がタイネイティブに近いのかもしれないな、と思ったんです。さらに、タイ人の旦那さん[★06]のために日常的にタイ料理を作ってるでしょ。もちろん日本人だから、日本の味覚も知ってる。つまり、日タイ両方の味覚を同等にふまえて料理を作る人なんじゃないか、と。
下: ふむふむ。
よ: たぶん、あのときの料理はタイ人が食べても普通に美味しいと思うんです。で、日本人が食べても違和感がない。でも、それって言うほど簡単なことじゃないと思うんですよ。
下: かなり日本寄りにアレンジした料理があったり、本場そのままだったり…。
よ: うーん。
下: なんでしょうね。本当に料理家さんそれぞれ特徴が出ますね。
よ: すごく出ます。それがヤムヤムの面白いところ。

タイ料理家/ものまね芸人比較論

下: これ、フェイスブックに書いた話ですけど、たとえば、ものまね芸人にもいろんなタイプがいるでしょ。
よ: ものまね、ですか?
下: たとえば、コロッケの森進一のものまねって、どう考えても本人は絶対しない動きじゃないですか。
: そうですか?
下: 五木ひろしのロボットとか。
よ: ものまねというより「コロッケのものまね」という別ジャンルの芸みたい、というような話?
下: そうそう。「ご本人」とは全然違うのに、誰が見ても森進一とか五木ひろしってわかる。
よ: たしかに。
下: らーぷさん[★07]って、コロッケなんですよ。
よ: え?
下: らーぷさんって、タイ料理のエッセンスを抽出してタイにはないタイ料理を作るのが得意なタイプだと思うんです。「グリーンカレーいかめし」「野菜のガピ焼き」「チリインオイル枝豆」「ガパオおにぎり」とか、タイにはないんだけど、タイ料理だよね、みたいな。
よ: うーん、なんとなくわかるような気が…。「らーぷさん料理」という独特ジャンル、みたいな。
下: そうそう。あと別のタイプとしては、青木隆治みたいに再現が忠実な人。
よ: 青木隆治さんって、ボク知らない方ですね。
下: ものまねタレントなんですけど。
よ: あー、タイ料理じゃなくて、ものまねのほうですか(笑)。
下: ものまねの人(笑)。青木隆治は、とにかく、ものまねの対象を忠実に再現する人。ほんとにそっくりで、ヤムヤムシェフではサクライチエリさんが、そんな感じ。
よ: タイ料理家/ものまね芸人比較論(笑)。
下: サクライチエリさんは、現地の食材で見た目も味も忠実に再現できる。日本で作るときは多少味を変えているとは思いますけど、スタイルとしては青木隆治的。
よ: なるほど。
下: あと、西尾夕紀みたいに、本業は演歌歌手で歌唱技術がちゃんとあって、かつ、ものまねもうまい人っていますよね。それが両角舞さん[★08]とかだと思うんですよ。
よ: ははは。両角さんは、基礎のしっかりした演歌歌手。
下: しっかり料理を学んでいて、ちゃんとした基礎があって、その上でタイ料理に出会ってタイ料理を作っている。
よ: すごい分析。おもしろい!
下: で、私がものまねの世界で何かというと、「とんねるずの細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」。
よ: ははは!
下: そこ、真似するとこか? みたいな。
よ: 真似する対象がマニアック過ぎ。
下: でも、知ってる人は大ウケ。
よ: この話自体が、細かすぎて伝わらないかも(笑)。
下: たぶん私がやってるのは、それなんですよね、タイ料理の世界で。
よ: 下関さんが注目するタイ料理のポイントは、日本人にとってマニアックすぎる、と。
下: タイ人にとっても微妙すぎるセレクションだと思います。
よ: たとえば?
下: 『暮らして恋したバンコクごはん』[★09]に載せた料理ですけど、「マカロニケチャップ炒め」[★10]とか。日本の料理でたとえると、「ツナマヨおにぎり」。これって、みんなが食べてるけど、料理教室で教えるものでもないし、レシピ本に載せるものでもないでしょ。

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マカロニケチャップ炒め(撮影・下関崇子 無断転載禁止)

よ: そもそも、家で作るものじゃないですよね。
下: 店で食べるものでもないし。
よ: 基本、コンビニで売ってて、料理とすら認識されないような。
下: でも、みんな好きですよね。そういうたぐいのものが、私の本にはけっこう載ってる。
よ: じゃあ、タイ人に見せたら「マカロニケチャップ炒めなんて珍しい」って驚きますかね。
下: 珍しいというより「こんなのわざわざ本に載せるの?」って思うんじゃないですか(笑)。

<注記>

[★01]ムエタイ選手として活動
下関さんのキックボクシング、ムエタイ選手としての活動は、著書『闘う女。~そんな私のこんな生きかた』(2004年、徳間書店刊)に詳しい。

[★02]「しまたい食堂」
瀬戸内海・上島諸島の食材を紹介する食ユニット「しまの食堂」とタイ料理、台湾茶がコラボした2013年10月開催のパーティ。

[★03]「チャイヤイ」の坂本さん
北千住のタイ料理店「チャイヤイ」のオーナーシェフ、坂本広氏。「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」徳島編(2013年4月開催)のシェフ。

[★04]サクライチエリ
タイ料理教室「Sala Isara」を主催のタイ料理家。「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」愛媛編(2012年7月開催)のシェフ。

[★05]「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」の富山編
「ヤム!ヤム!ソウルスープキッチン」は日本各地の食材とタイ料理をコラボさせる食イベント。略して「ヤムヤム」。下関さんは2012年3月開催の富山編シェフを担当。

[★06]タイ人の旦那さん
旦那さんは下関さんの元ムエタイトレーナーだった人。WBU(世界ボクシング連合)フライ級世界チャンピオン。

[★07]らーぷ
「らーぷ」は渋谷のタイ料理店「Laap」のシェフ、鈴木直美さんのニックネーム。2012年5月開催のヤムヤム茨城のシェフもつとめた。

[★08]両角舞
フードコーディネーター。2011年7月開催のヤムヤム長野シェフ。

[★09]『暮らして恋したバンコクごはん』
2012年12月発行。下関さんのタイ料理本としては三作目。

[★10]マカロニケチャップ炒め
ケチャップ&オイスターソース味のマカロニを卵でとじる「タイ風洋食」。少数だがスパゲティを使う屋台もある。

<つづく>
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by brd | 2015-11-27 08:47 | 東京のタイ | Comments(0)

【ferment books】 突然ですが出版レーベルを始めました!

突然ですが、「ferment books」という出版レーベルを始めました!

第一弾の書籍は、これです。

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『味の形 迫川尚子インタビュー』(ferment vol.01)

『クラフトビール革命』フェアでも大変お世話になっている、「新宿ベルク」迫川副店長のロングインタビュー本です。

12月5日にアマゾン、紀伊国屋書店新宿本店、新宿ベルクなどで発売予定。

定価800円+税、です。

アマゾンの紹介文を下記に引用しておきます。

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内容紹介

新宿駅最後の小さなお店「ビア&カフェ ベルク」
迫川副店長に聞いた、食の自由と、味の共感覚。
6万字の記録。

毎日1500人もの利用客が訪れる大繁盛店、新宿ベルクの迫川副店長は、食べものの味覚を形として記憶できるという。食(レシピ)には著作権がない。だからこそ文化本来の姿をとどめている(『食の職』より)。そう主張する副店長が、味に形を見ている。そのことに、なにかとても腑に落ちるものを感じ、ぜひ話を聞いてみたいと思った。--------インタビュアー(よ)

<本書より抜粋>

生マッシュルームの「形」

(よ): 舌といえば、生マッシュルームを食べたときの感覚を説明してくださったツイートが面白かったです。「重さと密度を持ってるマッシュルームは、食べるとつるつるなめらかで軽やかさがあり、クニャでなくパキッとして、舌のデコボコの先をすべっていく大玉ころがしみたいなイメージでした」って。
迫川: あれは、本当にそんな感じでしたね。
よ: 生マッシュルームを食べていた迫川さんが突然無言になったので井野さんが驚いていたという。
迫: そう。ほんとに面白かったです。生マッシュルームは、また不思議な感覚なんですよ。マッシュルームも浸透するものじゃないんです。でも、ファスト・フードのつぶつぶの飲み込みがはやい感じとも違って…。そうそう、マッシュルームの細胞と、自分の細胞のからまり具合がすごく面白かった。なんか、うまく言葉で言えないんだけど。
よ: 「クニャ」ではなく「パキッ」という感覚は?
迫: そう。パキッ、パキッ、としてて。成分それぞれが独立している感じなんですよね。
よ: 大玉ころがしのイメージということは、いっこいっこの成分が大きい感じですか?
迫: いや、それがね、なんていうんだろ、すごくしっかりしたものの集合体という感じ。しっかりした小さな立方体が集合してひとつの形を作っているんだけれども、それ自体は決して固くなくて、流動的で、でもちゃんと組み立てられているっていう、不思議な構造でした。
よ: 新鮮な生マッシュルームだったんですよね。
迫: うん。富士山のふもとで採れたマッシュルームです。鮮度の落ちたマッシュルームだと、立方体のつながりの間の膜が、こう、つぶれちゃってる。その立方体の膜の部分は流動的なんですよね。それが鮮度の良さと、舌の上での転がり具合に関係していると思います。ていうか、…もう全っ然ワケわかんないですよね!(爆笑)
よ: いや、すごく面白いですよ!
迫: だから、いつも食べてる鮮度の落ちたマッシュルームとは、膜が違うんですね。成分と成分の間の膜が。今思い出しながら、そう思いました。
よ: 鮮度が落ちてくると、組織が曖昧になる、っていうか崩れてくるんでしょうね。
迫: 崩れてくるんですよ。細胞と細胞の間に膜がありますよね。細胞膜。それが崩れてくるような。

出版社からのコメント

「ferment」は、食に携わる人たちから、これまでとは少し違った切り口で話を聞こうと試みる不定期刊行のインタビュー・シリーズです。

共感覚とは?

きょうかんかく。シナスタジア(synesthesia)とも言う。文字に色を感じる、音に色を感じる、味覚に形を感じるなど、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく、別の感覚領域におよぶ知覚が生じる現象全般のことを指す。共感覚者とされる有名人には芸術家が多い。画家のワシリー・カンディンスキー、詩人・作家の宮沢賢治などが、共感覚を持っていたのではないかと言われている。

著者について

迫川尚子
さこかわ・なおこ。種子島生まれ。女子美術短期大学服飾デザイン科、現代写真研究所卒業。テキスタイルデザイナー、絵本出版社編集者を経て、写真家に。写真家としての活動と並行し、「ビア & カフェ BERG」の副店長をつとめる。店では商品開発、人事、店内展示を担当。著書に、『日計り Shinjuku, day after day ―迫川尚子写真集』(新宿書房)、『新宿ダンボール村―迫川尚子写真集 1996-1998』(DU BOOKS)、『「食の職」 新宿ベルク: 安くて本格的な味の秘密』 (ちくま文庫)がある。唎酒師、調理師、アート・ナビゲーターの資格を持つ。2013 年より現代写真研究所講師に。

(よ)
編集者。ブログ「美味しい世界旅行! 」を運営。

装画:坂口恭平

装丁:平塚兼右(PiDEZA Inc.)

印刷:山田写真製版所

---------

ferment booksはまだウェブサイトができていなくて、ツイッターとFBのみで情報更新していますが、よろしかったら覗いてみてください。

https://twitter.com/fermentbooks

https://www.facebook.com/fermentbooks/

よろしくお願いします。

(よ)
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by brd | 2015-11-26 00:19 | 本や映画 | Comments(0)

江古田HẺMのバインミー大会

最近、アジアネタが少ないんじゃないかと知り合いに言われた。

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そうかそれならアジアネタを書こう。そう思いながら、なかなか書けないでいたんだが(そもそも記事そのものをあんまりアップできてない・・・)、これは美味しい、楽しいと思って、素早くみなさんにお伝えしたくなったのが、ベトナム料理店「江古田HẺM」のバインミー大会。

当日のメニューはいつものご飯もの、麺ものが一切ナシで、パンもの料理のみ。

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まずは蒸しバインミー、Bánh mì hấp。

これ、日本のベトナム料理店では珍しいんじゃなかろうか。ベトナムではけっこう普通で、家庭でも固くなったバゲットを再生して食べるためにこの料理にしたりするとか。

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こうやって葉っぱ類に包んで食べる。

蒸された柔らかパンとひき肉そぼろが野菜で巻かれて、異次元の食感に。

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こちらはベトナムビーフシチュー。

ベトナム風味に牛肉と大根、ニンジンを煮込んだシチューで、お肉はとろとろ。

これもバゲットがお供。

ベトナム鶏カレーのカリーガーなんかも日本ではご飯にかけて食べるけれど、ベトナムではバゲットと一緒に食べることが多いとか。

そして、これが要予約の本日のメイン。

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ベトナムビーフステーキBò bít tết 。

思えばビーフシチューもビフテキも、ベトナム好きじゃないと「それってベトナム料理なの?」みたいな話になりそうだが、これが実にベトナムの味なのですよ。けっこう食堂っぽい外に席があるような店で朝からみんなこれを食べてたりする。

で、やっぱり、一緒に食べるのはバゲット。

このHẺMのバゲットが、外側パリパリ、中ふわふわスカスカで軽いベトナム風を再現していて実にムードあり。

チョイスしたメニュー的には、バインミー大会というより、バゲット大会かな? いや、ベトナム語ではバインミーBánh mìって単にパンの意味らしいから、こういうチョイスでも十分バインミー大会なのかも。

そうだ。ビフテキにオプションの目玉焼きをつけ忘れたのが悔やまれる。

前にタイのカオパット・アメリカンを取り上げて、日タイの洋食文化について論じたことがあるけれど、ベトナム料理にも洋食的な要素がたくさんあって、それについて掘り下げるとかなり面白いことになるはずと思ったり。

デザートも徹底的にパンづくし。

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アイスのバインミーBánh mì kẹp kem ̣。

アイスはココナッツとタロイモが選べたので、タロイモを。ピーナッツが散らしてあるのが実にイイ。

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こちらは練乳バインミー。

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中はこんな。

コンデンスミルクにマーガリン、ピーナッツ、ココナッツ。ベトナムの地場ムード満点。

クシャって軽いバゲットをつぶしてからいただくのが雰囲気なんだとか。

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カフェスアダーと一緒に。

結局、普通にイメージする惣菜サンドイッチ系バインミーを全然食べてない。というわけで、その手のメニューは持ち帰りしてみることにした。

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こうやってカラフルなベトナムの日めくりカレンダーに巻いてくれたりするのが、これまたベトナムらしい粋さ。

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手前がオムレツ&クリームチーズ。左が揚げ魚とトマトソースとディル。奥がベトナム風の肉団子のシウマイ。

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断面はこんな。

左からオムレツ、魚、シウマイ。

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HẺMはこれからこういうイベントをどんどん増やしていくそうだから、かなり楽しみ。

東京でのベトナム料理の新たな展開が始まる予感・・・。

(よ)
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by brd | 2015-11-23 00:51 | 東京のベトナム | Comments(2)

山田司朗×Jinya Kumagai 『クラフトビール革命』刊行記念トークイベント

下北沢の「本屋B&B」で『クラフトビール革命』のイベントを行います。

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『クラフトビール革命』刊行記念 山田司朗×Jinya Kumagai 「クラフトビールはなぜ盛り上がっているのか?~近年の最重要書籍で読み解く〜」

出演は『Far Yeast』や『馨和 KAGUA』で知られるFar Yeast Brewingの代表取締役、山田司朗さんと、『The Japan Beer Times』の記者で国際ビール審査員でもあるJinya Kumagaiさん。

イベント告知文を以下に転載しておきます。



アメリカ東海岸を代表するクラフトビール・メーカーであるブルックリンブルワリー創業者、スティーブ・ヒンディ氏の著書『クラフトビール革命』(和田侑子・訳/DU BOOKS・刊)刊行記念イベントを開催します。

本イベントでは、本書を読んで刺激を受けたという、Far Yeast Brewing(クラフトビール「馨和 KAGUA」、「Far Yeast」を販売)の代表 山田司朗さんを招き、国際ビール審査員であり『Japan Beer Times』誌の上級記者として数多くのクラフトブルワリーを取材するJinya Kumagaiさんを聞き手に、一歩突っ込んだ視点で日本の「クラフトビール革命」について考えます。

クラフトビール・ムーブメントの始まりは、フリッツメイタグ氏が倒産寸前のビール会社「アンカー・ブルーイング社」を買収し、アメリカ初のクラフトビールの醸造所として立て直しを開始した1965年。それから今年で50年経ちました。50年かけて2兆円産業に成長したモノを「ブーム」とは呼ばないだろう。そう、山田司朗さんは言います。

その他、巨大ビール会社とマイクロブルワリー(小規模クラフト会社)の「ビール戦争」や、ビール業界のM&Aについて、「ローカル」を重んじるビール会社と地元の関係、ビールとインターネット、そして山田司朗さんの実体験もふまえたマイクロブルワリーの起業について、『クラフトビール革命』に登場するテーマを巡りながら日本のビール業界の立場から考えます。

会場では、イベントのために特別に仕入れたクラフトビールを数種類販売。各種の塩とビールの味覚の調和を楽しむ「ミニ・マリアージュ」講座も実施します。

日時
2015年12月13日(日曜日)
19:00~21:00 (18:30開場)

場所
本屋B&B
世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F

入場料
1500yen + 1 drink order(500yen~)



山田司朗さんは本書の発売直後から、読後の感想をつぶやいてくれていました。

ちょっと引用させていただきますね。

「クラフトビール革命」を読むと、アメリカのマイクロ・ブルワリーはローカルとかコミュニティーという概念を尊重し、一見すると昔の日本の地ビールメーカーと似ているように思える。日本で地ビールからクラフトビールへ用語の転換が行われたが、実は本家のクラフトビールは地ビール的なのかも。

ただ、アメリカのマイクロ・ブルワリーの場合は、地域振興とか観光業の活性化という動機よりも、大手メーカーに対して自社がビジネス的に生き残るためにローカルという概念を大事にしている感じがする。

アメリカのクラフト・ブルワリーは総じて起業家精神が旺盛で、ほとんどがビール好きがゼロから立ち上げたスタートアップである点が、日本と大きく事情が違う。

フリッツ・メイタグがアンカー・ブルーイング社を買った1965年がクラフトビール革命元年。今年は50年目ですね。

クラフトビールはブームじゃないのです。50年かけて徐々に大きくなって2兆円規模の市場になったものを普通はブームとは言わない。アメリカ以外の世界も含めたら3兆円かも。だから「ブームが終わったらどうしますか?」という質問には答えようがない。

などなど。

どんなトークになるのか、興味津々。

イベントの申し込みは、下記からお願いいたします。

http://bookandbeer.com/event/20151213_craftbeer/
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by brd | 2015-11-19 21:13 | 本や映画 | Comments(0)

Kødbyen(肉の町)にあるブルーパブ、WARPIGS

コペンハーゲンのブルーパブ、WARPIGSに行ってきた。

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なんでWARPIGSなんて店名なんだろうと思ってググると、その言葉の意味するところはwikiとかに書いてある。ブラックサバスにもWARPIGSという曲があるらしい。

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じつは、このWARPIGSはKødbyen(肉の町)という広大な食肉市場跡にあって、店名はそれにちなんでいるものと思われる。

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Kødbyenにはイイ感じのバーやレストラン、クラブがけっこうあり、コペンハーゲン滞在中の週末の夜に行ったら広大な敷地を利用した野外ライブをやってて、テクノで大勢の若者たちがガンガン踊っていたり、ちょっとヒップな感じが漂う面白いエリアなのだ。

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WARPIGSは、地元デンマークのクラフトビール・カルチャーを牽引するファントムブルワリーMikkellerと、アメリカのビアギークにもの凄い高評価を受けているアメリカ・インディアナ州の3 Floyds Brewingがコラボしたブルーパブ。

つまり、絶対ダサいはずのない、そうとう濃い店。

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オクトーバーフェスト・イベントのポスターもカッコイイ。

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昼過ぎに着たから広い店内はガラガラだけど、夜は相当混む。

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やっぱり、なんとなく肉屋っぽいしつらえにしている。

テキサス・スモーブローという、かなり気になるアメリカンデニッシュなメニュー名もあったけど、結局頼まなかったなあ。どんなスモーブローなのか。頼めばよかった。

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とりえず、ポークショルダー+スペアリブ+コールスロー+ノンアルコールのソーダ飲み放題というランチセットを頼んでみた。

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こんな感じ。

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ソーダは、このマシンで注ぎ放題。

しかし・・・、

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まさか、ここまで来て、ビール飲まないで帰るわけにいかぬ。

などとと言いつつ、バーへ。

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タップハンドルが骨。

ミッケラーのアイデンティティにもなってる、キース・ショアのイラストのネオンサインもかわいい。

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まず、フルーツランビックみたいなサワービール。

うーん、綺麗な酸味がツ~ンと立っていて実に美味なり。

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次に、18th Street HunterのWARPIGSヴァージョンだという、インペリアルスタウト。

コーヒー風味がクリーミーで濃厚。

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別室の醸造施設を、チラ見。

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見学ツアーもあるみたい。

次の記事では、WARPIGSのあるKødbyenで、レストラン・ホッピング(要はハシゴですな)をやった様子を紹介予定。

<2015年9月>

(よ)
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by brd | 2015-11-15 15:32 | デンマーク | Comments(0)

新宿ビア&カフェBERG『クラフトビール革命』フェア 11月も続行です!

【美味しい世界旅行!】の(ゆ)こと和田侑子が翻訳を担当し、(よ)が宣伝部長(笑)をつとめる、『クラフトビール革命』(DU BOOKS刊)

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ベルク店内にぶら下がっています(実物大模型)。

本書のタイトルを冠した新宿ベルクでの樽生クラフトビールのフェアが、11月も続行中です!

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10月中は『クラフトビール革命』の著者である、ブッルクリンブルワリー創業者スティーブ・ヒンディ氏に敬意を表し、ブルックリンブルワリーのブッルクリンラガーをメインに提供。

その他、ニューベルギー、ローグ、シエラネヴァダ、ストーンといった『クラフトビール革命』に登場するアメリカの代表的なクラフトブルワリーのビールも登場しました。

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さて、11月からのメインは『クラフトビール革命』の解説を担当くださった木内敏之さんが取締役をつとめる木内酒造の常陸野ネストとベルクがコラボしたオリジナルビール、アメリカンペールエールです。

ホップのフルーティな香りと、苦味、モルトのコクと甘み、それとスパイシーなニュアンスも感じられる、ちょっと複雑な美味しさを持つビールです。

木内酒造を筆頭とし、ベルクの考える日本のクラフトビール革命を担う、その他のブルワリーのビールも続々登場予定。

月のはじめは志賀高原のポーターがオンタップ。

アメリカのクラフトビール革命から、日本のクラフトビール革命へ。

これからどんなビールがつながるのか楽しみです。

ベルクのリアルタイム樽生情報は、ビール担当である市原さんのtwitterアカウントをチェックしてみてください。

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毎月発行の店内フリーペーパー『ベルク通信』でも、市原さんが『クラフトビール革命』フェアについて書かれてます。お店に行ったらご一読を。

さて、ベルクはビールのお供も、実はかなりハイクオリティ。最近我々がいただいたおつまみを紹介しておきます。

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白ソーセージのヴァイスブルスト。

茹で汁にレンズマメが散らしてあって、これもベルクならではの美味しいポイント。

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フロマージュ(チーズではない)と呼ばれている豚のゼリー寄せテリーヌ。

きゅうりのピクルスとらっきょう(!)が入ってる。

上の写真、よく見たらビールではなく赤ワインでしたが、ワインも日本酒も同じくこだわりのセレクトなので、そちらも要注目です。

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キッパーヘリング。

ニシンの燻製で、これのサンドイッチ、キッパー卵サンドもお気に入り。

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ビールの左下がポークアスピック。

これはもうベルクでもイチオシ級のおつまみなので、機会があったらだまされたと思って頼んでみてください。

ベルクファンには基本ですが、こうしたベルクのシャルキュトリ類を作っているのは東金屋さんという名店です。

右下がラタトゥイユ。

その下が、卵とごぼうのピクルス。通称、鳥の巣ピクルス。

鳥の巣は通常メニューではないのでラッキーじゃないと食べられません。(よ)としては、かなりヒットの一品で、影響を受けて自分でもピクルスを作ったりしています。

あとミックスナッツも写ってますね。

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これも期間限定おつまみの、マスタードソースをかけた蒸し鶏ときのこのサラダ。

お腹がすいているときは、ホットドックやサンドの類もイケます。

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期間限定のブルックリンドック。

そして柿の種も。

よくよく考えると、柿の種なんてものまで置いてあるのがベルクの素晴らしいところ。

そして、ご飯系もかなりイイ。

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五穀米と十種野菜のカレー。

(よ)的にはかなりのキラーメニュー。このカレーをわしわし食べながら、IPAとかホッピーなビールをぐいっと。たまりません。

カレーはもちろんですが、添えてあるピクルスとレーズンも手づくりだそうです。

シーザーサラダも一緒に。

もっとガッツリ行きたいときは

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シメに卵かけご飯。

レンズ豆のサラダとバターをトッピングしてみました。レジ横においてある調味料ボックスから、唐辛子醤油を選んでかけまわし、かき混ぜて食べる。

これも、たまりません。

いつのまにかビールの話じゃなくなってますが、そう、いろんな楽しみ方ができるのがベルクです。

書籍『クラフトビール革命』ほか、ベルク関連著書も販売中ですので、何か買ってパラパラ読みながら一杯もいい具合。

なんか書いてて、飲みたくなってきました。

(よ)
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by brd | 2015-11-05 00:31 | 東京 | Comments(2)


旅の食卓と食卓の旅。ferment booksより『味の形 迫川尚子インタビュー』発売中。姉妹ブログ【ワダ翻訳工房】もどーぞ。ツイッターは @oishiisekai @fermentbooks


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