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釜山 : 観光客向けかと思いきや、意外に満足の「済州屋」鮑粥

釜山の朝食に「済州屋」の鮑粥を食べた。

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鮑のわたとごま油をあわせたこってりボリュームのある粥に、鮑の身がのっている。

わたとごま油。まったく異なる方向のこってり味が交わり、なんともいえないリッチな美味しさに仕上がっている。

済州屋というからには済州島の料理なのだろうか。でもこれ、かなり日本人好みの海の美味だ。

そもそもここは、高級食材の鮑が安く食べられるとやってくる日本人観光客を当て込んだ結構ツーリスティックな店ではあるのだが、そういう店のダメな感じはまるでなく、料理は美味い。

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雲丹とワカメのスープ。

これもいい。

粥がこってり方向の海の味ならば、こちらはあくまでさらっとした海。うにの独特な風味と、ワカメのヨードっぽい磯の香りがぶわ~と口内に広がり、なにかとても幸せだ。海のにおいだ。

絶対に日本人好みだと思う。

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店内、こんな感じ。

あとから家族が入ってきて、なんとなく会話が耳に入ってきて、あれ、意味がわかる、と思ったら日本語だった。

九州か関西の人だろうか。なんとなく服装が派手。店に入ってきたときは地元の人だと思っていのだが、日本人だった。

釜山のイントネーションは、ソウルみたいに尻上がりな感じではなく、日本語に近いブツ切りなしゃべり方らしい。

だから、韓国語が日本語っぽく聞こえたり、日本語が韓国語っぽく聞こえたりするのか。詳しいことは、よくわからないけれど。

ホテルの人に聞いたら、やっぱり日本からは西の人が大部分で、東京から来る人は少ないそうだ。

釜山の街がそもそも、海外旅行に来たというより、どこか日本の地方に来たような感覚もあったりするのが面白い。

流行のチムジルバン(サウナや風呂のある健康ランドのような施設)を体験してみたが、とにかく巨大で、豊島園の「庭の湯」と東京ドームの「ラクーア」を足して、さらに2倍にしたようなところだった(笑)。

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行ったのは、南浦洞にある本店。

ロッテホテル真ん前に、支店もある。

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鮑粥と雲丹スープですっかり気をよくして、ふだんはあまりチェックしたりしない洋服屋に入る。

韓国ブランドのファストファッションcodes combineが気に入った。

この真夏なのに、クリスマスツリーが写っていてスイマセン。

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ニットを衝動買い。

<2012年12月>

(よ)

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by brd | 2013-08-18 22:18 | 韓国 | Comments(4)

北千住 : タイ、徳島、さらに各国をつなぐ「チャイヤイ」坂本広シェフの独特料理世界

ヤム!ヤム!ソウルスープキッチンで知り合い、ヤムヤム徳島ではシェフもつとめた坂本広さんのお店、北千住「チャイヤイ」に行ってきた。

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まずはパクチーモヒートで乾杯!

夏の定番、モヒートのミントをパクチーで置き換えたパクモヒ。パクチーは徳島から届いた品だそうだ。写真のように飲み口に近いところにパクチーを集めておくと、いい感じに香りが漂ってきて爽やかさ抜群。

そうそう。ヤムヤム徳島では、主催の西田さんみずからバーテンダーとなって作ってくれた、ホワイトラム+すだちリキュール+スパイ・ゴールド+すだち+パクチーの三種アルコールのパクモヒが最高だった。南米+徳島+タイのフュージョンぶりが実にヤムヤムらしいし、坂本さんの料理にも合っていたと思う。あれからパクモヒのファン。自宅でも作ったりしている。

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こちらも徳島の神山椎茸さんから届いた椎茸をラープ風に。

肉厚でぶるんとした歯応えがあってジューシーで、しいたけそのものが美味しい。

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パックブン・ファイデーン。

なんとこの空心菜も徳島から!

徳島は坂本さんの出身地。もちろん、徳島の食材に思い入れがある。

わが家もヤムヤム徳島で知った「とくしまマルシェ」の通販をたまに利用している。先日届いたトマトは美味かったな~。サラダで食べたり、ガスパッチョ風にしたりして活用。

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ヒューガルデンも飲める。

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タコのカルパッチョ、もしくは、ヤムプラームックディップ。

あれ、プラームックって「イカ」じゃなかったっけ、と思って調べると、イカもタコもプラームックปลาหมึก(墨魚)でいいみたい。正確には、タコはプラームックヤックปลาหมึกยักษ์(鬼墨魚)というらしい。

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鶏レバーのパテ。

タイ料理ではないけれど、実はこのあたりが坂本料理の真骨頂。ナンプラーや、コリアンダー、クミンなどのスパイスでアジアテイストにつなげてある。

洋タイをつなげる感覚は坂本さんの料理の特徴でもある。

ちょうどソンクランの時期に開催されたヤムヤム徳島でも、坂本さんは以下のようなステキな品々を披露してくれた。

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生しいたけの、すだちマリネ。

もちろん徳島の神山椎茸さんのしいたけ。

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徳島野菜のタイ風バーニャカウダ。

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なると金時とすだち牛のミルフィーユ仕立て。

なると金時の皮をカリカリに揚げたのが散らしてあるのがとても良いアクセントになっていた。

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焼き目のついた巴はもと阿波九条ネギ。

ナムチムブアイ(タイ風梅ソース)と、すだちで。

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ストウブのココットに入ったタイ風アヒージョ。

にんにくはきいているけど、アンチョビーは入ってない。アンチョビーの代わりにタイのプラーインシーケムで作ったチャイヤイ風のアヒージョだ。

日本の地方食材+タイ料理のコラボがヤムヤムのキーコンセプトだけれど、この日ばかりは徳島の食材+坂本料理のコラボ、といった趣。いや、坂本さんはふだんから徳島の食材を使っているわけで、つまりこの日の品々は、かなり純粋に坂本料理だったのかもしれない。

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美味かった。

自然に徳島とイタリアンやスパニッシュそしてタイが混ざり合っている感覚。わざわざ合わせてみました的なニュアンスがなく、とにかく華やかなところがイイ。

タイのマナオ/徳島のすだち。イタリアンやスパニッシュのアンチョビー/タイのプラーインシーケムやナンプラー。そういう各国料理の接点になるキー食材というものがあったりするのだとは思うけれど、食べていて感じるのは、アヒージョやレバーパテやバーニャカウダといった料理が、ラープやゲーンやヤムといったタイ料理と自然につながる感覚。なにか、別種のカテゴリーではないかのような味わい。これが、とても面白い。

チャイヤイで食べた料理もどると、ヤムプラードックフー(ナマズのサラダ)は坂本さんのオススメだった。

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尾頭付き。

ヤムプラードックフーは、ほぐしたナマズの身を揚げたフレークと未熟マンゴーのサラダ。

揚げたてのナマズがサックサクでかなりイイ。普通ならパクパクと一気に平らげるような料理でもない気がするけれど、すぐに完食。

シメに、カオソイを作ってもらう。

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かなり高くそびえているので、笑っちゃった。このくらい斜めにしないと、横位置におさまらない(笑)。

添えてあるのは、レモンとパクチーと冬菜の漬物。

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デザートは、イタリアンのアフォガート。

こういうシメかたができるのが、むやみに嬉しい。

以前コメント欄で「タイ料理、伝統か革新か」みたいな論争めいたやりとりがあったけれど、小難しい話はさておいたとしても、やっぱりこういう、ちょっとでも他と違うことをやろうとする坂本シェフのような人が自分は好きみたいだ。

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お店においてあったタイの料理雑誌、「HEALTH&CUISINE」。

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坂本シェフが取材されていた。

右ページ上のコック帽が、坂本さん。

この記事、日本・タイシェフズ協会のイベント紹介なのだが、坂本さんは同協会の代表理事なのだった。

坂本さん、在バンコク日本人女性向けフリペの「Arche+ アーチプラス」に興味をしめしてくれたので、何冊か献本。お店の本棚に納めていただいた。

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徳島、タイ、そして各国をつなぐ坂本シェフの料理。

これからも楽しみ。

<2013年4月と7月>

(よ)

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by brd | 2013-08-11 20:07 | 東京のタイ | Comments(4)

カレー&スパイス伝道師・渡辺玲さんのサザンスパイスでプライベートディナー その2

渡辺玲さんのサザンスパイスでのプライベートディナー。

その1のつづき。

今回のメインカレーは以下のとおり。

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キッチン前のテーブルにセッティングされたのは、ターメリックライス、南インド風ブラックペッパーのきいたチキンカレー、サンバル。

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チキンカレーの鍋。

メニュー名としては「チキン・ペッパー・フライ」というのが正しいのだとか。ただ、フライといっても揚げものやフライパン炒めではなく、この場合、黒胡椒のきいた濃厚グレービーのチキンカレーを意味する。

胡椒のピリッとした風味が鶏肉とマッチして、とても美味しい。ここまでかなりの品数で、実はけっこうお腹にたまってきているのだが、ターメリックライスにかけて食べると、ごはんがすすむすすむ。美味しいチキンカレーのイメージとして脳裏に定着しそう。

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サンバル。

南インドのミールスの基本は、このサンバルとラッサム。

今回のサンバルは、ナスとパプリカが入って、仕上げにギーも加えたリッチな仕上がり。豆のカレーに油を合わせると、なんとも言えないコクというか、旨味のような濃厚さが出て美味くなる。渡辺さんのレシピで初めてムングダルカレーを作ったとき、仕上げにバターで熱したクミンをジャッとかけた、そのあとの味わいの変化に驚いたけれど、あれと同じ効果が出ているのだろうか。

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ラッサム。

本場と同じ、さらさらの仕上がり。

よく、ラッサムはインドの味噌汁だとか、ラッサムをかけてライスを食べるのはお茶漬けのようだ、みたいな言われ方をするが、渡辺さん曰く、ライスと雑炊的に煮合せる「ラッサム・ライス」というのもあるらしい。これもリクエストさえあれば再現していただけるとおっしゃっていたのだが、食べたり、話をお聞きしたり、取材したりの間に、ついついお願いするのを忘れてしまった。残念。

サンバルとラッサムの違いがあんまりないような店もある、と渡辺さん。たしかに、そういうミールスを東京で何度か食べた記憶がある。

ミールスの食べ順は、ダール→サンバル→ラッサム。

つまり、濃いカレーから、薄いカレーへ、である。

これで、カレーは終了。

以下、メインのカレーの付けあわせ的にいただいたインド風の炒めもの。

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ゴーヤーのマサラフライ。

ゴーヤーは種と綿つきで炒めるのがポイント、種がカリカリして美味しい。これは渡辺さんの『カレーな薬膳』にレシピが掲載されていて、わが家でも夏になると頻繁に作る一品。

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カリフラワーガーリックペッパーフライ。

南インドの炒め物だがココナッツファインが入らないからポリヤルではない。かといって、北のサブジとも違う。料理名の言語表記は、cauliflower mulugu peratuであると渡辺さんにのちほど教えていただいた。原語表記がわかると日本語以外のページが検索できるので、ネットで得られる情報がひろがる。

などなど、料理の説明をお聞きしていたら、高橋幸広さんの歌声が。

けっこうファンには知られているが、渡辺玲さんは、もと音楽業界でお仕事をされていた関係でロックに詳しく、もちろんインド音楽にも造詣が深い。だから、サザンスパイスにはそういう感じの音楽がずっと流れており、料理の間に渡辺さんご本人がCDを選んで、音は途切れない。

そんななか、日本語の歌が。しかも幸広。

これなんだろう、と思って記憶をたどれば、そうそう、サディスティックミカバンドの『天晴』というアルバムだった。

これ懐かしいですねー、と思わず言うと、料理の説明とまったく同じ調子で「桐島かれんを起用した第二期ミカバンドですよね。かつてのファンからはイメージが違うとかなり批判されたんですが、いま聴くと、けっこうイイんです」とのコメント。思わず微笑んでしまう。

桐島かれんさんといえば、参院選には弟の桐島ローランドさんが立候補していたのだった。そうだ、まさにこの日は、あの参院選の当日だったのだ。脱線ついでに書いてしまうけれど、渡辺玲さんのFBでの政治関連のコメントにはかなり大賛成なことが多いので、そのうちそういうお話もしてみたいと思っている。脱線終了。

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カードライス。

ちょっと変わったものを、ということで最後のシメは、ヨーグルトご飯のカードライス。本来は白いごはんで作るのだが、今回は炊いてあったターメリックライスで再現していただいた。

ご飯にヨーグルト、というと日本人はギョっとする場合が多いけれど、ヨーグルトの酸味に少々の生姜がきいてアクセントになり、たしかに食事のシメにふさわしい。口内も胃もスッキリするイメージ。

作り方は、まず最初にライスと牛乳を合わせて米粒をつぶすようにこねまぜてなじませてから、ヨーグルトや生姜などを加えて仕上げるのだとか。

思うに、ごはんとヨーグルトはさておき、ごはんとミルクの組み合わせは意外に多い。インドのキールや、フランスのリ・オレなどは甘いミルク粥のようなものだし、そういえば北海道出身の父からは、子供のころ、ごはんに搾りたての牛乳をかけて食べていたという話を聞いたことがある。

カードライスには、ラッサムをかけて食べても美味しい。

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最後に、チャイ。

参加者がチャイに入るスパイスは何かたずねると、生姜とカルダモンのみ、だそうだ。

イメージでは、シナモンとクローブが入る気がするけれど、普通は入れないそう。

インド人にとってシナモンとクローブは外来のイメージがあって、あまり上等な部類のスパイスではないらしい。とくにシナモンのシナ=中国なわけで、インド由来のものではないのである。

やはりインドにも中華思想的なものがあって、そもそも外国人はアウトカーストなのであり、やはりインド人にとってはインドが一番なのだ。

ふと、思う。こうやって日本人がインド料理をマニアックに追求している姿を知ったら、当のインド人はどう思うのだろう。

話を戻すと、逆にカルダモンはとても大切にされているスパイス。

たとえば客をもてなすときにカルダモンを全員のチャイに入れたりする習慣があるそうだ。各々のカップにはカルダモンが一粒ずつ。これで客人を丁重にもてなしているというメッセージになるそうである。

そのほか、チャイの紅茶にはアッサムの安価な「ダスト」が一番だとか、東のカルカッタへ行くとベトナムコーヒーのようにコンデンスミルクを使ったチャイが存在するなどなど、チャイの時間も渡辺さんのお話は尽きない。

いつしか話題は著書執筆にまつわるエピソードや、出版関係の話題やら、共通の知己であるライターや編集者の話、さらにちょっとここには書けない裏話系のエピソードも飛び出して(笑)、とても楽しかった。

食べきれなかった料理は各自ジップロックにつめて持ち帰らせていただいた。

で、翌日のランチは、「サザンスパイス弁当」だったのだが、ん?

これまた美味い!

なんとも説明しがたい、前の晩とは違った美味しさがこみあげてくるのだった。

2日目のカレー、というが、もちろん基本的に作りたてのほうが料理は美味しいはず。職場環境で本格インド料理を味わうギャップから、そう感じるのだろうか。

不思議だ。

<2013年7月>

(よ)

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by brd | 2013-08-04 18:50 | 東京のインド | Comments(4)

カレー&スパイス伝道師・渡辺玲さんのサザンスパイスでプライベートディナー その1

カレー&スパイス伝道師・渡辺玲さんのキッチンスタジオ「サザンスパイス」で、渡辺さんのプライベートディナーを主催した。

まず、一品目は

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アルチャナチャット。

インド風の豆サラダで、チャナダル(ひよこ豆)、ジャガイモ、大根、にんじんなどを、チャットマサラで味つけしてある。チャットマサラとは、未熟マンゴーの粉末と硫黄の香りがする岩塩などを合わせたミックススパイスだ。

全体に柔らかくなり過ぎないよう火を入れた食材のポリポリした歯ごたえが楽しく、次の料理への期待感がいやがおうにも高まってくる。

さて、このプライベートディナーの参加は今回で2回目。

まず最初に、渡辺さんのプライベートディナーとは何かを説明しておいた方がよいかもしれない。

いつもは渡辺さんの料理教室が開かれている、ここ西荻窪のサザンスパイスでは、教室がお休みの日に、渡辺さんご自身が作る料理を食べることでインド料理を学ぶ、いわば“食べる料理教室”を有志の集まりで主催できるのだ。

前回の様子は、こちらでリポートしているので、よろしければご一読を。

上記リンクの会に参加して味をしめ、なんとかあの素晴らしいディナーをもう一度、と渡辺さんにラブコールを送り続けた結果、各方面から引っ張りだこで多忙をきわめる渡辺さんになんとかスケジュールをやりくりしていただき、今回の会の実現となった。

ありがとうございます。

そもそも店を持たない渡辺さんの料理を味わう機会というのは、とてもレア。まれにインド関連のイベントで渡辺さんの料理をいただくチャンスもあって、そのスペシャルな美味しさのファンになった自分としては、こうして渡辺さんがこしらえるフルコースディナーをゆっくりいただける体験なんて、もう夢のよう、と言ったら言い過ぎかもしれないが、もう前日からニヤニヤドキドキ、不思議な多幸感につつまれながら西荻窪までやってきたのだった。

さまざま考えた結果、渡辺さんには「ちょっと珍しい感じの料理を取り混ぜてください」とだけ事前リクエスト。北か南か、も言わずにおいた。あとは、ぜんぶお任せである。

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アーンドラチキンピックル。

つまり、アーンドラプラデーシュ州風の鶏肉ピクルス。

インドではマンゴーやレモンのピクルスを料理のつけあわせにしたりする。ピクルスといっても「酸味の強いスパイス漬け」のようなもので、けっこう辛さもあり、ヨーロッパのそれとは別もの。瓶詰めも市販されていて、自宅の冷蔵庫にはシンガポールで買ってきた「レモンピックル」を常備。カレーに添えて楽しんでいる。

そして、なんとインドには鶏肉のピクルスまであるのだった。

このあたりがインド料理の醍醐味。「肉のピクルス」なる新たな概念を知ってしまうと、インド料理は掘り下げればさらに未知なものがありそうだ、と想像がふくらむ。いや、そうに違いない。

ところでピックル、インドでは複数系の「ピクルス」ではなく単数形の「ピックル」で呼ぶのが普通。このチキンピックルは、炒めた鶏肉をマスタード・シードなどのスパイスとレモンで一晩ほど漬け込むのだそう。

この種のマニアックな料理を取り入れる店も増えてきており、つい最近も都内のインド料理店でチキンピックルに遭遇したけれど、日本ではなかなか出会えない料理には違いない(渡辺さんのレシピはそのお店のレシピとは異なる)。リクエストに応えてくださっているのがわかり、とても嬉しい。

食べてみると、辛さと酸味と肉の旨味が重なり食欲をそそる。スパイシーチキンマリネ、みたいなイメージか。鶏肉の冷前菜。いや、前菜にしてはけっこうなボリューム感だ。お酒もすすむ。

お酒といえば、プライベートディナーの飲みものは各自持ち込みが原則。今回参加のみんなに案内を出すとき「ワインを持ち込む予定の人は、このページを見ると楽しいかも」と、渡辺さんが出ているサッポロのワインのページを紹介したら、ワインの持参率が高くなってしまった(笑)。

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都内の某カレー店に勤務の参加者は、メドックマラソンに参加するほどワイン好きの奥さんに、インド料理に合いそうなワインを選んでもらったそうな。それが上のボルドーの赤。シャトー・トゥール・カロン'09。ほどよい甘味と果実味とスパイシーさもあり、誰でも飲みやすそう。なるほどカレーにもマッチしていた気がする。

別の参加者は、ポルトガルワインの「ヴァスコ・ダ・ガマ」スパークリングの赤を持参。ヴァスコ・ダ・ガマといえばインド航路の発見というわけで、とてもオシャレなチョイス。実際、赤のスパークリングはスパイシーなアジア料理に合う。夏のイメージだ。

そういえば、前にランブルスコ+タイ料理をやってみた。非常にイイ感じだった。

いま自然派ワインに興味があるわが家からは、ル・フェルム・ド・ラ・サンソニエール プティ・ルージュ2011を。有機な味わいは、インド料理に合うような、そんな気もする。

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バーミセリウプマ。

南インドの軽食、ティファンの一種。あまりインド料理を知らない人にしたら、インドに麺料理があるなんて、これまたけっこう意外かもしれない。

マスタードシードのアクセントや、カレーリーフの香りがなんとも南インド的な感じがする。

調理法だが、バーミセリはまず乾燥した状態で炒めて、具と一緒に蒸し煮にするそうだ。

このバーミセリウプマに合わせるのが、

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トマトチャトニ。

チャトニというのは、日本でいうチャツネのこと。カレーやティファンに添える薬味のような存在だ。今回のトマトチャトはトマトにココナッツや香草もあわせてミキサーにかけてある。

これを、バーミセリウプマにかけて食べる。

うーん、南インド!

やっぱりカレーリーフの香りと、ココナッツのニュアンスだろうか。自分としては強く南インドを感じる、というか、南インドへの旅の記憶が呼び起こされる。

さきほどのチキンピックルは、このバミセリウプマに添えて食べてもよいそうだ。

自分のインド料理遍歴を考えると、そもそも南インドの「ティファン」なるカテゴリーがインド料理にあることを教えてくれたのが渡辺さんの著書だった。もっと言えば、インド料理というのは北と南で大きく違う、いや、広大なインドは各地に料理のバリエーションが無数にあって面白い、その認識自体を与えてくれたのが渡辺玲さんだったのである。

はじめてインドを訪れ、タミルナドゥ州へ向かったときのガイドブックは渡辺さんの『ごちそうはバナナの葉の上に』だった。

その流れで、なぜプットゥ(ケララ州名物のティファン)って、あんなにモロモロ崩れるんだろう、という話をしていたら、渡辺さんのキッチンにプットゥメイカーがあった。写真を撮らせていただくのを忘れてしまったのだが、こんな形の器具

変形したエスプレッソマシンみたいで不思議だ。上の筒のなかに材料のココナッツと米を入れて、下からの蒸気で蒸しあげるのだろう。この大それた器具で、たった1本のプットゥしかできないのも、ちょっと笑える。と思ったら、2~3本できるのもあるそうだ(リンクは渡辺さんのブログから引用させていただきました)。この器具の形も独特。面白い。

なんでわざわざ筒状に蒸すんだろう?

参加者の誰かが「むかしは竹筒で蒸していたんじゃない?」というと、渡辺さんが「そうなんでしょうね」とおっしゃっていた。

今回のメンツは、ブックデザイナー、フードアナリスト、タイ料理研究家、カレー店勤務、翻訳家、編集者などなどの8名で、みんな料理関係の話題ならなんでもござれ。

フードアナリストの女性は、偶然にも数日前に渡辺さんとお仕事を一緒にされていたそうだし、サザンスパイスに置かれていた渡辺さんの著書巻末の出版社自社広告にタイ料理家の方の著書が掲載されているという偶然まで発覚。

カレー、インド、アジア。

こういうキーワードで、みんなどこかでつながっている。

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パオバジ。

おお!これは存在は知っていたが、いつか食べたいと思っていたムンバイの名物料理ではないか。

マッシュポテトとトマトソースをあわせたようなものを、ナンなどではなく西洋式のブレッドにつけて食べる。現地ではかなりオイリーなパンが出てくるというが、ここでは普通のバゲットで。

これはメンバー全員に大好評!

たしかに未知なるインド料理の味というより、なにか食べなれたスナックのよう。すぐになじんでくる。ムンバイでも庶民的な扱いの一品だそうだ。たしかに、嫌いな人が少なそうな定番素材であるマッシュポテトとトマトソースの組み合わせは強力。

ギーをたっぷりつかってあるそうで、スパイスはカイエンペッパーとガラムマサラくらいだとか。けっこうシンプル。トッピングされた生タマネギが味わいのよいアクセントになっている。

もちろんカレーのカテゴリーには入らないような気がするし、ティファンでもない。メンバーからは「アメリカ料理でマッシュポテトにグレービーソースをかけて食べるのがあるけれど、それを思い出した」などの声も。ちょっと面白い。

パオ=パン、バジ=野菜、のことだそうだ。「パオ」はどこか中国語を思わせる。中国では包子(パオズ)で饅頭、面包(ミェンパオ)で西洋式のパンの意味だ。

このパオバジは、渡辺さんの近刊『スパイスの黄金比率で作るはじめての本格カレー』にも、「マッシュポテトとトマトのカレー」として、簡略化されたレシピが掲載されている。

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マハーラシュトラ風フィッシュマサラ。

トマトベースのグレービーに、魚はメカジキ。

これもバケットと一緒に食べると美味しい、と渡辺さんのサジェスト。たしかにトマトの酸味を感じる濃厚なカレーにはパンが合う。今回は出なかったけれど、きっとナンやチャパティなどインドのパン類にもマッチするに違いない。

マハーラシュトラといえば州都にムンバイを抱える州。インドは、実はデリーとタミルとケララにしか行ったことがないけれど、さきのパオバジも食べたいし、ムンバイには近いうち訪問しなければ(一晩トランジットしたことはある)。

さらにムンバイといえば、渡辺さん曰く、グジャラートターリーが美味しいのだとか。グジャラート州はインド西部、マハーラシュトラ州の北に位置する。渡辺さんがムンバイで体験したグジャラート風菜食ターリーのリポートは、こちら。

上記リンクの記事にも書かれてあるが、グジャラートターリーでは食事の前半に甘いものが出されたりする。たとえばインドの一般家庭に訪問した際など、食事の最初にデザートが出てきたりしてビックリすることがあるとか。こういう食文化の相違に思いをはせるのが好きだ。

さて、次は本日のメインのカレー。

つづく。

<2013年7月>

(よ)

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by brd | 2013-08-02 07:48 | 東京のインド | Comments(4)


旅の食卓と食卓の旅。ferment booksより『味の形 迫川尚子インタビュー』発売中。姉妹ブログ【ワダ翻訳工房】もどーぞ。ツイッターは @oishiisekai @fermentbooks


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