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『料理通信』秋田発見ツアー その1 : ごっつお玉手箱列車は旅と食のエンターテイメント

『料理通信』2012年11月号。

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本号掲載の「食の文化遺産巡り 第12回 秋田」、最後のページにあった「秋田発見」プロジェクト・モニター募集に応募したら、当選した。

記事で紹介されていた麹蔵やブルワリー併設レストランなどを中心に、角館、田沢湖、乳頭温泉、大曲、横手を巡りながら、秋田の食を満喫する一泊二日のツアーだ。

個人的に秋田というと、しょっつる、はたはた、なまはげ(食べ物ではないけど・笑)、の3つが即座に思い浮かぶが、これらはすべて日本海側に突き出た男鹿半島の名物。一方、今回はどちらかというと岩手寄りの内陸部を行くコースで、恥ずかしながら何があるのかあんまり知らない。そのぶん楽しみでもある。

11月某日、一行はまず東京から秋田新幹線こまちで、みちのくの小京都、角館へ。

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昼ごろ、角館で秋田内陸線に乗り換え。

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三両編成の先頭には、桜と紅葉がペイントされた要予約のお座敷列車が連結している。

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これこそ、本ツアー最初のアトラクション、「ごっつお玉手箱列車」

角館を出発し、つぎつぎ駅に停車するたび沿線農家のお母さん(一部、お父さん)が、ごっつお(ごちそう)を運び込んでくるという、開催日限定のイベントお座敷列車だ。

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各席に、おしながき。

毎回、テーマがあるようで今回のお題は「栗・くり・クリ」。

ちなみにパンフレットにあった別の日のテーマを紹介しておくと、9月が「夏バテ解消」、12月が「年越し・正月料理」、1月が「もちもち寄せて」、2月が「雪国保存食」、3月が「春よ来い!」、といった感じ。

まず出てきたのは、

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「弘子さんの焼き栗」。

おしながきには、持ってきたお母さんの名前も書いてある。栗はつぶが大きい地元の西明寺栗。

つづいて羽後太田駅では、

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「けい子さんの干し柿」。

かじると中はジャムのようにトロりと柔らかく、とても甘い。

かわいらしいピンクのリボンで袋をとめてある。

さらに西明寺駅からは、

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「佳子さんのつけもの」。

つけものは秋田弁で「がっこ」。左手前の茶色いのが、燻製にした大根をつけた秋田名物いぶりがっこ。

八津駅からは、

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「節子さんのおそば」。

羽後長戸呂駅からは、

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「富士美さんの栗ご飯」。

松葉駅からは、

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「勝子さんのおかず」。

煮物や、きのこソースがかかった鮭のムニエル風や、かぼちゃのグラタン風、いちじくの甘煮など、じつに家庭料理っぽいおかずの数々。

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「昭子さんの栗のスイーツ」は、西明寺栗の渋皮煮。赤ワインをつかった、なんだかおしゃれな味。

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さらに、おやき。

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お土産に、生の西明寺栗。

こうやって順々に出されると、すべての食べ物を一度に写真に収められない。そう不満を抱く観光客がいることを知っている主催者は、

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撮影用「ごっつおセット」を、端の席に用意してくれていた。なんとまあ親切な。

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漢字の読みが変ってる笑内(おかしない)駅に着けば、1時間あまりにわたって展開されてきた「ごっつお玉手箱列車ツアー」のゴールも間近。

県内最長、一直線で中ほどから入り口と出口が見える十二段トンネルを通過すると、絶景ポイント、大又川橋梁へ。

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列車も徐行して景色を眺める時間を作ってくれる。

ごっつお玉手箱列車は、手作りフィーリングあふれる旅と食のエンターテイメントだった。

移動しながら景色を楽しむ感覚にプラスして、通過するそれぞれの場所から微笑ましい手料理が届けられる楽しさが折り重なる。一見素朴なようでいて、実はこれ、けっこうリッチな移動の楽しみ方だ。列車に乗って土地の名物駅弁を食べたりするのは普通だけど、その楽しさが列車に乗っている間じゅう駅ごとずっと続くわけだから。

干し柿を作ったけい子さんは、この日の宿の夕食に参加してくれた。そこで、玉手箱列車のあるお客さんが「食べ物を出す順番が違うんじゃないか?」と言ってた、と笑う。

ある程度出すものの順番は考えてるんだろうけど、基本的に農家のお母さんたちは自分の近い駅に料理を届けるわけで、出てくるものの順番はしょうがない。「そのお客さんは秋田の人だった」と言って、けい子さんは2度笑っていた。

そもそも玉手箱なんだから、何がどう出てくるかわからないのが醍醐味だ。

けい子さんによれば、もっと速度を落とした、ゆっくり走る玉手箱列車の計画もあるとか。

確かに、駅に着いて手作り料理が運び込まれ、写真撮影してから食べて、仲間と感想を言い合ったりしていると、ゆっくり外の景色を見る間もなく、次の駅に着いてしまう。

もっと長閑な、ゆっくり列車でいい。

しかし、別の車両には一般乗客も乗ってるんじゃなかろうか。ゆっくり列車はまずいか。

そんなことを考えている間に、阿仁合駅へ到着。

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一行はここで下車。

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盛大に見送られながら、観光バスに乗り換え、内陸線と併走する羽州街道を、もと来た方向に戻る。

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ほんとうに熊は出るのだろうか。

内陸線、比立内駅ちかくの、道の駅「あに」内の「またたび館」で土産を探す。

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おぉ、いきなり熊肉。そして、馬ホルモン。

ここはマタギの里。

内陸線に「阿仁マタギ」という駅もあった。

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熊の油も。

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これは見慣れぬ、トンビ舞茸。

「お茶っこにして飲んできゃんせぇ」とラベルに。

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こちらは、茶色いトンビ舞茸。

きけば、いわゆる舞茸とは違う種類の茸らしい。

味比べをしようということで、ある参加者が茶色のトンビ舞茸を購入したので、こちらは黒いのを。

あとで飲んだら、お茶というより茸だしがでたスープみたいな感じ。塩を入れてもいいよ、と店の人。

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またたびラーメンは、またたびの粉を麺に練りこんであるらしい。どんな味なのか。

「またたび館」の店名どおり、またたびの産地らしい。

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たわむれに、またたびの木を購入。近所の猫に効果絶大。

土産物色が楽しい。

道の駅をあとにし、さらに走って田沢湖を通過。一行は乳頭温泉郷へ。下車して小雨ぱらつく山道をてくてく歩くと、孫六温泉にたどり着いた。

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硫黄の香りが漂う露天に浸かると、ピリッと肌にしみるようなここちよさ。

人里はなれた風情は、まさに秘湯。

あぁ、ゆっくり命の洗濯・・・なんて時間はもちろんなく、よくばりツアーは早々に次の目的地へと向う。

つづく。

<2012年11月>

(よ)

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by brd | 2012-11-22 02:29 | 秋田


旅の食卓と食卓の旅。ferment booksより『サンダー・キャッツの発酵教室』『味の形』発売中。ツイッターは @oishiisekai @fermentbooks


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