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バンコク : プログレッシブ・インディアン・キュイジーヌ 「Gaggan ガガン」

Visited Gaggan in Bangkok, a restaurant operated by Gaggan Anand, a Calcutta native chef who has been trained at El Bulli, a closed restaurant in Spain very famous for the most experimental cuisine in the world. We ordered normal and vegetarian lunch courses respectively and enjoyed the experimental and progressive Indian cuisine..  [September, 2012]


これ、なんだかわかる?

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大きさや形、質感は、ちょうど卵黄のよう。

でも真っ白。

口に運んでプチュっとなかの液体が出てくる感覚も、生の卵の黄身のごとし(生の卵黄をそのまま口に入れたことはないけれど・・・)。でも、口のなかに広がるのは、カルダモンでスパイシーに風味づけされたヨーグルト。かるい驚きとともに味わう、ひとくちのソルティ・ラッシー。

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バンコクで“プログレッシブ・インディアン・キュイジーヌ”を標榜するレストラン「Gaggan ガガン」のランチタイムに行ってきた。

オーナーシェフのガガン・アナンドさんはカルカッタ出身。故郷インドではタージ・グループのレストランに勤務し、その頂点をきわめ、渡タイ。さらにスペインで武者修行。かの「エル・ブジ」で研修したのちバンコクにもどりモダン・スパニッシュ的にインド料理を解釈するGagganをオープンしたのだそうだ。

El Bulli + インド料理。

そのコンセプトだけで、もうすでにクラクラしてしまう折衷モノ好きな(よ)。前日にホアヒンのワイナリーで飲みすぎ相当に二日酔い状態だったが、もちろん予約キャンセルなんて選択肢はナシ。ばっちり午後1時には着席。

飲み物は、二日酔いだしインド料理ということもあるし、アルコールじゃないものにしてみた。
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パッションフルーツがメインとなるノンアルコールのカクテル。料理に合うワイン以外の飲みものは?と訊ねたら、これを勧められた。

10品+デザート2品のテイスティングコースは、4つのパートにわかれていて、まず最初のパート、

Act1 ~ Fun ~

からスタート。

はじめに本記事冒頭の“Yogurt”が出て、おつぎは、

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“Papadums”

Papadumはインド料理で出てくる豆粉で作られたパリパリの丸いスナック、パパドのこと。これは米から作った、変ったかたちのパパド。この形状は医療用注射器で作った、というようなことがメニューに書いてある。食べた感じ、日本にもよくあるスナック菓子のような・・・(笑)。

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メニューに載っていない、「コンプリメンタリーです」と言ってサーブされた、よくわからないカクテルのような一品。

失念したがフルーツのピュレのようなものがワイングラスに盛りつけられていて、テーブルで液体窒素を注ぐ。するとブワーッとスモークが出て、グラスのなかがソルベ状に。

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“Crisp and Crackling”

ベンガル風の鱸のフライを「レモン・プラスチック」でくるんで、キュウリのチャトニにつけて食べる。

じつは本コース、ベジタリアンバージョンも用意されていて、ベジ版のほうは鱸の代わりに、コーンとチーズで作った「ケバブ」。

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ベジ版のほうを齧ったところ。

バリバリ!パリパリ!と音を立てて割れる「レモン・プラスチック」とケバブの食感が楽しい。

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“Naanizza”

「ナーンニザ」? たぶん、「ナーン」と「ピザ」の合成語。“Naanizza”と検索すると、ティアドロップ型のナーンにピッツアの具を乗っけた“Naanizza”の画像がいっぱい出てくるので、一般的な呼称なのかも。

ここで出た品は、クリスピーなナーンにトリュフがぬられている豪華版。カップのなかはマスカルポーネとトリュフのクリーム。

ここで第1パート終了。

Act2 ~ Exotica ~

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“Truffle Air”

トリュフのエスプーマ(泡)。これにグリーンチリのオイル、Waynaudのオーガニックペッパー。かなりスパイシーで、けっこう辛い。トリュフなのにすごくスパイシーってあまりないような気がして新鮮。ただし、味の構成要素的に直前の料理とかぶる気が。Waynaudはケララ州にある有名な胡椒産地。

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“Goose liver”

ガチョウのレバー。つまりフォアグラ。表面はキャラメリゼされてパリパリ。下に赤玉ねぎの「チャトニ」が敷いてある。添えられたパウダーは、フォアグラとラズベリーを粉雪のように冷たくさらさらに加工したもの。

連れに同時にサーブされたベジバージョンは、

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“Made in India”

グリルしたパニールに、グリーンの泡。

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“Viagra®”

バイアグラ、だって(笑)。薬箱に見立てたのか、木箱に入った牡蠣はココナッツやペッパーと一緒にとグリルしてあり、上にのっているのはレモンの泡。牡蠣やココナッツに強精作用があるとでも言いたいのだろうか。こういうファニーなギャグをはさんでくるのは、ちょっとインド人ぽい気もする。添えられた一枚の葉は、牡蠣の味がするオイスターリーフ。先に食べてください、とサーブのとき指示された。

以上と一緒にサーブされたベジ版は、

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“Lotus stem”

カリカリのレンコンとトマトなどの、ちょっとメキシコ風なスパイシー・サラダ。

ここで第二楽章終了。

第三楽章は・・・、

Act3 ~ Food at last!!!! ~

「ついに食べ物が!!!!」って、じゃあ今までのは食べ物じゃなかったのかい!? とツッコミを入れたくなるユーモア。インド人ってかなり大食のイメージがあるけれど、彼らのフツーの感覚からしたらモダン・キュイジーヌ的チマチマした料理は食べ物に見えないのかもしれない。

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“Soul food”

チキンティカとマカニのエスプーマ。要するにデリーなどでよく食べられているタンドリーチキンや、バターチキンなど北インドのソウルフードを換骨奪胎。エスプーマはすごくなめらかで、スパイシーに焼きあがったチキンのソースとして絶品。

ちなみにタンドリーチキン、バターチキン、ナーンに代表されるティピカルな北インド料理のオリジンは、インド独立時にパキスタンとの国境パンジャブ地方からデリーに流れてきた人たちの料理であり、彼らが首都で始めたレストランの料理スタイルが、遠く日本にまで影響しているんだとか。

そのためか、日本人はナーンなどタンドール料理がないと本格インド料理店ではないと思いがちだけれど、パンジャブ/北インドスタイルはインド料理の一流派でしかなく、ほかにもタミルナドゥやケララといった南部の料理など無数のスタイルがある、ということが渡辺玲さんの『新版 誰も知らないインド料理』に書いてあった。蛇足でした。

上記のベジ版は、

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モリーユとポルチーニのスパイシーなリゾット。

これは、どういう“Soul Food”なんだろうか?

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“Burger on the rocks”

テーブルで実演調理のショーアップ。小さなラムのミンチのケバブを、かんかんに熱く焼けた石の上で焼く。これを、ものすごく軽くてサクサクした「バンズ」にはさんで、マイクロ・インディアン・バーガーの完成。

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こんな感じ。

ベジ版はラムではなく、レンズ豆のベジケバブ。

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“Something is Fishy”

63℃のカレーオイルで長時間調理された鱸は、口に入れたとたんに溶けて消えてしまいそうな夢のような柔らかさ。そんな鱸のフィッシュマンゴーカレー。

上記ベジ版は、

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“Home food”

丸一日煮込んだダールと、コーンやほうれん草などが入ったベジカレー。

以上カレーには、

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焼きたてサクサクのガーリックナンが一緒にサーブ。

そして最後に、デザートパート。

Act4 ~ Almost there ~

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“Toothy Fruity”

インディアン・バニラのアイスを、アプリコットなど果物のもろもろでデコレーションしたサンデー。

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“In the end”

ダークチョコのしっとりした濃厚なクッキーにロックフォール。サマートリュフを散らしてある。

これを食べていると、厨房の人が出てきて「チョコとチーズ、つまりこれならデザートとチーズが一緒に食べられるでしょう」と、このゴージャスなプチフールの説明をしてくれた。

名刺交換すると“Chef de cuisine”という肩書きのプラシャントさん。エルブジの話や、南インドの話などをしてくれた。

ところで、通された席は二階だった。本棚に囲まれた書斎のような感じで、本棚にはエルブジやムガリッツ、エル・セレール・デ・カン・ロカ、さらにはデンマークのノーマなどガストロノミックなレストランの料理本、くわえてインド料理関係、バンコクの食に関係する書籍が並んでおり、じっくり見たかったがそんな時間もなく残念。

さらに付け加えておくと、隣の席ではかなりハイレベルにかわいい20代くらいのタイ人女子ふたりが、短いコースのランチを食べていた。「アロイ!」を連発。

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風の噂で「一時期より味が落ちた」との情報も得ていて、まあそんなこともあるかなーとも思ったが、インド風な皿に関して言えばインド料理としても十分美味しく、さらにもちろん数々のサプライズはとても楽しかった。

液体窒素やエスプーマ、パコジェットなどをこれ見よがしに使用するのは、最先端の料理のトレンドとしては、もうすこし遅れている感じもするのだが、それでも十分楽しめた。

話はかわるが、

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いまタイでは日本でやっていた人気テレビ番組「料理の鉄人」そっくりそのまんまタイ・ローカライズした「アイアン・シェフ」なる番組をやってる。

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けっこうクリエイション系のにおいが・・・。

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ソースは、せいろに入った鉄瓶でサーブ、とか・・・。

これから奇抜で面白い不思議なタイ料理やインド料理が、どんどん登場してくるといいと思う。

(よ)

<2012年9月>

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by brd | 2012-10-06 11:27 | タイ


旅の食卓と食卓の旅。ferment booksより『サンダー・キャッツの発酵教室』『味の形』発売中。ツイッターは @oishiisekai @fermentbooks


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